先日、数年ぶりにスーツに袖を通す用事があり、「やべえ……ネクタイって、どう結ぶんだっけ……」と、1分ほど試行錯誤するハメになりました。僕です。いやー、感覚的に覚えてるもんかと思ったけど、一瞬焦ったわー。すぐに思い出せてよかったよかった。
――とまあ、そんなスーツとは無縁な自分ですが、2018年に劇場で観た1本目の映画がこちら。
『キングスマン:ゴールデン・サークル』。キレッキレのスタイリッシュアクションが話題になったスパイ映画の、第2作目。あんなん見せられたら、そりゃあスーツは仕立てたくなるし、傘を持ち歩きたくなるのが男心ってもんでしょう。なお肝心のマナーは
観てきたのは、前作に引き続き立川シネマシティの「極上爆音上映」版。アクションもそうですが、今作は複数のシーンで「音楽」が劇中で大きな役割を果たしている印象があったので、個人的にはおすすめ。特に終盤、怒涛の展開のさなかで流れるボーカル曲を堪能できたのがよかった。
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「エルトン・ジョン役」のエルトン・ジョンの存在感
一口に言えば、エルトン・ジョンがエルトン・ジョンだった。
何を言っているかわからないと思うが、『キングスマン:ゴールデン・サークル』の半分は、きっとエルトン・ジョンでできていた。
キレッキレなアクションがあり、映像的になかなかグロい描写があり、軽く涙腺が緩む感動シーンまであったのに、びっくりするほどエルトン・ジョン。エルトン・ジョン役のエルトン・ジョンが、すべてをかっさらっていってしまったのだジョン(※語尾)。
エンドロール後、明るくなった館内から聞こえてきた感想の第一声が、そのエルトン・ジョンっぷりを示していたように思う。「エルトン・ジョンがヤバかった」「だいたいエルトン・ジョンだった」「エルトン・ジョンはヒロイン」「エルトン・ジョン……おともだち……」などなど。
敵のボスに悪態をつきまくったかと思えば、下っ端相手にライダーキックをかまし、歌って踊るスーパーヒロイン。ちょっとしたゲスト枠かと思いきや、重要なシーンの背景でも圧倒的な存在感を発揮し(映像的にも音声的にも)、割とやべー場面でも状況を打開するキーマンに。
映画本編の感想もそこそこに、「エルトン・ジョン」の存在を語らずにはいられない。古くからのファンもそうでない人も、ぜひとも映画館で『キングスマンGC』を観て、エルトン・ジョンのフレンズになろう。そういや、ちょうど観に行ったのが “土曜日” でなく水曜日だったのでちょっと笑った。
「音」でも楽しめるアクションと、繰り返されるあのメロディ
思わぬエルトン・ジョンに不意打ちを食らったものの、映画全体を通しても、むちゃくちゃおもしろかった本作。
冒頭からノンストップのカーチェイスに始まり、前作に負けず劣らずのキレのよすぎるアクションは超爽快。さらにグロさ・エグさを増した暴力的なシーン――はちょいと苦手な人も多そうだけれど、テンポよく移り変わるシーンとコメディ調の描き方が、一応はマイルドにしてくれている……はず。
アクション面ではカウボーイが加わったことで、 “投げ縄” の可動性に焦点を当てた立体的なカメラワークが目立っていたような。回りこむようなカメラの動きと俳優さんの体捌きとがあわさった、メリハリあり、疾走感ありのアクションに興奮しっぱなしだった。
また、『キングスマン』と言えば欠かせないのが「音楽」の存在。
前作では、行進曲『威風堂々』にあわせて頭が花火のように打ち上がるシーンに、( ゚д゚)ポカーンとしたり爆笑したりした人も多いのではないかしら。笑えば良いのか気味悪がれば良いのか困り、でも「音MAD」的な映像と音楽のシンクロっぷりに、に不思議な魅力を感じたのが前作だった。
対する今作はウェスタンな曲調の劇伴と、あとはやはりエルトン・ジョンの歌が目立っていた印象。前作同様、銃撃音や打撃音がリズムっぽく響くバトルシーンでは、アクションで魅せつつメロディも聴かせるようになっているようにも感じられ、目と耳が幸せ。メカメカしい敵も多かったしね!
そして何より、映画冒頭に始まり、中盤終盤と、繰り返し流される『Take Me Home, Country Roads』の旋律が忘れられない。どうしても『耳をすませば』のイメージが強い曲ではあったけれど、最後にはホロリとさせられてしまった。めっちゃええ声で歌うんやもん……そら泣くわ……。
ところで、「観たらハンバーガーを食べられなくなる」という噂を聞いて、「じゃあ先に食っとけば問題ないな!」と、お昼にチーズチーズダブルチーズバーガーを食べていった自分。結果、劇中の描写のグロさがより際立ち、思わず少し目を逸らしてしまったので、気になる人は観る前にバーガーっていこうな! パティ多めのバーガーがおすすめだゾ!
トンデモアクションあり、バイオレンスヒャッハーあり、ブリティッシュギャグあり、エルトン・ジョンあり、そしてその中心には、スタイリッシュ英国紳士スパイあり。
あらゆる要素を盛りすぎて聞くからに胸焼けを起こしそうな、でも最高に刺激的だった映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』。
前作を観た人が必見なのは言うまでもなく、未見の方はぜひとも『キングスマン』からどうぞ。そのうえで、「始まりの終わり」という含みのあるエンディングから続くだろう次回作を、楽しみに待ちましょう。続編ではエルトン・ジョンがキングスマンになるんでしょ?
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