「バーチャル婚」は新しい家族の形か

匿名性が生み出す恋愛事情

2018年1月11日(木)

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 人と人が同じ空間で対話するという、従来のコミュニケーションから遠い位置にあるものの一つがオンラインゲーム。スマートフォン向けゲーム市場の拡大も相まって、 名前も顔も知らない他人と遊ぶというコミュニケーションが当たり前になった。そんな匿名性の高いゲームの中には、プレイヤーがその中の世界で結婚できるものがある。この「バーチャル婚」は新しい家族の形になり得るのだろうか。

 オンラインゲーム開発を手掛けるネクソンの「マビノギ」は、多人数が同時にインターネットに接続してプレイする。プレイヤー同士が協力して敵を倒したりできるほか、好きなプレイヤーと結婚することもできる。

 なぜプレイヤー同士で結婚するのか。 結婚式というイベントに参加してみたいという単純な好奇心によるものもあるだろう。ただゲームの世界とはいえ、結婚式を開くにはその世界のお金が必要なうえ、結婚したからといって特にメリットがあるわけではない。運用本部の阿曽沼義典氏は「現実世界と同じように、好きという感情から結婚しているプレイヤーもいる」と話す。実際にゲーム内で結婚した人に、その動機を聞いてみた。

彼が戦闘で強かったところに惹かれた

 玉越駿さん(27歳)と菜摘さん(23歳)はマビノギのゲーム内で結婚した。二人のマビノギ歴は10年以上。プレイし始めた当初はそれぞれ高校生と中学生だった。最初はゲームの中に結婚という仕組みがあることを知らなかった。

ゲームと現実の両方で結婚している玉越夫妻。今は夫の駿さんの弟をゲーム内で養子にしている

 2人はゲーム内の戦闘チームで出会った。菜摘さんをリーダーとするチームに駿さんが参加。「単純だけど、彼が戦いで強かった」(菜摘さん)ことがきっかけで駿さんに惹かれるようになった。一緒に遊びながらオンラインの通話ツールを使って会話するうちに、学校生活などゲームとは関係のない日常の話題も話すようになる。自然と心の距離が近づいていった。

コメント3件コメント/レビュー

バーチャル婚って、始めて聞いたような気がします。
これって、出会いのあり方の一つであることは理解できますが、これからのカップリングを示唆するモノではないようにも思います。
違った意味では、出会い系SNSなどのように、浮気などを助長させる仕組みとして、活用されないことを願います。(2018/01/11 09:29)

「「家族」を考える」の目次

「「バーチャル婚」は新しい家族の形か」の著者

浅松 和海

浅松 和海(あさまつ・かずうみ)

日経ビジネス記者

2013年日本経済新聞社入社。整理部で2年間紙面編集をしたあと、証券部で化学業界や株式相場を担当。2017年4月から日経ビジネス記者に。ウリ科が苦手。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

バーチャル婚って、始めて聞いたような気がします。
これって、出会いのあり方の一つであることは理解できますが、これからのカップリングを示唆するモノではないようにも思います。
違った意味では、出会い系SNSなどのように、浮気などを助長させる仕組みとして、活用されないことを願います。(2018/01/11 09:29)

「バーチャル婚」の対極は野生動物の生物としてのシンプルな営みだと思う。それが家族や群れを作って生活するのは、子孫を残すこと、そのために食糧を得ること、そして様々な外敵から身を守ることに収れんされるのではないか。バーチャル婚はそのどれも満たすものではない、現実婚に代わるものでも必要とされるものでもない。(2018/01/11 09:18)

仮想の世界にはハマれない中年から見ると何とも言えない世界ですが(一応、VRも体験はしてみましたが、装着感が鬱陶しくて10分で投げ出しました)、ネットがなかった頃に現実の恋愛や結婚の機会がない人が小説や映画等のフィクションの世界に慰めを求めたのとスタート地点は似たようなものなんでしょうね。
ただ、画面の向こうにいるのはリアルな人間なので、ごっこ遊びが幸せな出会いに結びつくチャンスもあれば、深刻な犯罪の入口になってしまうリスクも同時にあるのが現実世界に物理的な害を及ぼさない本やTVとは違うところですね。
まあ、昔は住所を明かすのが前提の文通という、今考えれば相当に危険なやり取りもあった訳ですが。(2018/01/11 08:18)

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