通常の市場であれば長期的な経営が難しい、言い換えれば実質的には価値が落ちている中古マンションを、査定額の誤差をうまく利用して売り込むシステムともいえるのだ。
長嶋氏は、多くの購入者が陥りやすい誤解があると指摘する。
「金融機関が貸してくれるのであれば、その不動産に担保評価があると思いがち。しかし、金融機関の担保評価と中長期的な不動産市場の評価は、全く異なる。
金融機関は5年後、10年後の評価を見ているわけではないので。ここで購入できる不動産の価値は元々が高くなく、下火になっていくものが圧倒的多数を占めるのが現実です」
長嶋氏によれば、今後の不動産投資で価値上昇、維持できるのは全体の15%ほど。残り70%は下落の一途を辿る。最後の15%は無価値で経費分だけマイナスになるという。冒頭のような銀行の融資物件は、この最後の15%に相当するものだ。
◆絶望的な利回りで、数年後には破綻確実
スキームが浸透した当初は、うまく軌道に乗せたケースもあった。しかし、物件の質が徐々に落ち、レントロールが前提条件と違うなどの問題が多発し金融庁からの注意も受けている。現状で利益を出すことは論理的に難しく、今後も好転する可能性は低いという。
「よほどの場合でないと、どう考えてもこの仕組みで利益を出すのは難しい。例えば中古のRCを表面8%くらいで買うと、実質の利回りは5%台。そこから金利分4%台を引くと、手元に残るのは1%程。…
いよいよ始まるのか。