パキスタン少女の強姦・殺害に抗議広がる デモで2人が死亡
パキスタン中部パンジャブ州のカスールで7歳の少女が強姦され殺害された事件を受け、当局の対策が不十分だとする人々の抗議デモが拡大している。
10日には、カスールの警察署に突入しようとしたデモ隊に警察が発砲し、2人が死亡した。カスールは州都ラホールから南20キロにある。
殺された少女ザイナブさんは数日間行方不明だったが、8日にごみ集積場で遺体となって発見された。ザイナブさんの遺体には、強姦され首を絞められ殺害された跡があった。
デモ参加者たちは、拉致とレイプ、殺人が相次ぐにもかかわらず、当局が十分な対応をしていないと、怒りの声を上げた。
カスールの警察によると、過去2年間で同様の殺人事件が12件起きている。このうち5件については1人の容疑者が関与したとみられ、容疑者の可能性がある90人からDNAサンプルを採取するなど、数百人体制で捜査しているという。
ザイナブさん殺害への怒りはパキスタン全土に広がっており、著名な映画俳優やクリケット選手たちが犯人の逮捕を求めるコメントを出した。軍は警察に捜査への協力を申し出た。
ザイナブさんはイスラム教の聖典コーランの朗読会に向かった後、行方が分からなくなっていた。ザイナブさんの遺体は自宅から2キロ離れた地点で発見された。
しかし、ザイナブさんの家族は、行方不明の届けを出しても警察は捜索に着手しなかったと批判している。失踪前のザイナブさんを撮影していた防犯カメラ映像を入手したのも、警察ではなく親族の1人だったという。
男性に手を引かれている少女の姿が映っている防犯カメラの映像は、ソーシャルメディアで幅広く拡散されている。
ザイナブさんの父親は巡礼で訪れていたサウジアラビアからパキスタンの首都イスラマバードに戻った際、地元民放ジオ・テレビに対し、「もし警察がすぐ行動を取っていたら、犯人は捕まっていた」と語った。
警察関係者は、カスールでは同じような事件が2カ月に1度の頻度で起きているようだと述べた。
報道によると、先月には9歳の少女がカスール中心部の自宅近くにある商店街に出かけた後、行方不明になった。少女は犯人から逃げ出すことに成功し、自宅に戻れたが、激しいトラウマ(心的外傷)に悩まされているという。
ザイナブさん殺害のニュースにソーシャルメディアではハッシュタグ「#JusticeforZainab(ザイナブさんに正義を)」が使われ怒りの声が集まっている。ハッシュタグは世界の注目トレンドの一つにもなった。
女優のマヒラ・カーンさんはツイッターで、「そいつ(犯人)を見つけて!!! 頼むから見つけるために何でもして、見せしめにして!! こんなことをするのを考えるのも怖くなるような見せしめに」とコメントした。
クリケットのパキスタン代表選手、モハンマド・アミールさんは、「こんな社会で私たちは生きているんだと、胸が張り裂ける思いで、とてもショックで、嫌悪感に満ちた気持ちだ。ご両親に本当に同情する」とツイートした。
同じ代表選手のモハンマド・ハフェーズさんも、「同じ父親として、ご両親の心痛はいかばかりか想像もできない。お悔やみを言いたい。私たちの社会は残念な状態にある。犯人を捕まえてザイナブさんに正義を与えるため、政府は行動を起こすべきだ」とツイートした。
(英語記事 Zainab murder: Riots in Pakistan's Kasur after child rape and killing)