私は先天性の色覚異常である(wiki先生によると色覚多様性という言い方もあるらしい)。
もっとも、「最後の赤と緑、赤い方を切れ!そうすれば爆発を回避できる!」……みたいな経験もないので、仕事や日常生活にはさほど困ってはいない。
ただ、興味本位と日常の些細な問題(靴下の色を取り違える、焼けてない肉を食べそうになる etc.)から、先日、色覚補正用レンズを購入した。
色覚異常を持つ人は男性で約5%の割合でいるそうだ。強弱はともあれ、佐藤・鈴木・高橋姓を足した人数くらい、先天的にその特性を持っているはずである。
まぁ、日常生活で気付くことはまず無理だし、赤の他人から指摘するのも(たぶん)躊躇われるし、で同様に困ってる人にはまだリアルで遭遇していない。
自身の場合は母方祖父がそうだったため、家族からの指摘で比較的早い段階で気付くことが出来た。
早い段階で気付けたことと、見分けのつきにくい色もバンバン他人に聞くことができるので、生活のしづらさはない。
ユニバーサルデザインというのもだいぶ浸透していて、色だけで何かを区別しなければ行けない状況もほぼない。
職業により多少の制限はあるものの、この制限自体は絶対的に必要だと思うから、あとは世間の理解さえ追いついてもらえれば楽かなぁと思う。
ただ、世間に対して偉そうに言ったものの、自分自身もよくわかっていない。
色認識のズレがどの程度のあるかなどは、結局は自身の経験則でしか語れず、
しかもその経験則でさえ「この色とこの色は見分けづらい」と言うと、一般人でも見分けづらいと言われてしまうこともあり、いまいち説明しづらい。
webにも幾つか判定ツールが転がっているが、画面の発色とかの環境依存によるところもあると思っていて、あまりあてにしていない。
ということで、自身の色覚異常の検査とともに、結果次第では補正用レンズの購入をしようかなと思った次第である。
お世話になったのはここ↓(というかそういうレンズをちゃんとした所から買うなら、現状ここ一択にならざるをえないと思う)
聞いたこともない会社に電話するのも勇気がいったのだが、思っていた以上にあっさり予約できた。
予約の際に年齢・職業も聞かれて、ちょっと怪しいなぁ……とその時は思ってしまったが、
検査で低年齢の人には遺伝の話は嫌がられるからしないだとか、職によっては制限があるとかの理由を聞けて一安心。
一日の対応件数も限られているらしいので、あっさり予約できたのはラッキーだったとのこと。
検査を終えて、自分はここ(http://www.neo-dalton.com/side/check/)でいうA7(中程度)だった。
強い異常でもなければ弱い異常でもないとのこと。
そのままレンズ購入を勧められ、まぁ何だかんだで買ってしまった……。
補正レンズで幾つかの風景や静物の写真を見たが、少し色が鮮明になったかなくらいの認識で、正直、財布から失われたレンズ代(70,000円)の衝撃の方が大きかった。
私は近眼用のメガネを常用しているので、そこの近所のメガネ店で売っている跳ね上げ式のメガネフレームとかも紹介されたが、
流石にこれはないだろう……と思って、フレームは自分で探すことにした。
フレーム探しは思っていた以上に大変だった。
受取のことも考えて、まずはHPにも載ってるレンズで業務提携している大手のメガネ屋さんを当たってみた。
「これくらいしかありません」と、定員さんに言われて見せられたのが、
種類は金属フレームのみでそこそこのお値段、出来上がりも10日程と、非常に考えさせられるような内容だった。
(ここまで不遇なのか……)
その後、色々お店を回った結果、普段からお世話になっているお店の別店舗で何とかフレームを見つけ、1時間程度で仕上げてもらった。
これも運が良かったと思う。メガネフレームの流行り廃り次第では、ジジババがかけているようなメガネしか見つからないかもしれない。
出来上がったメガネを装着し、周囲を見渡したが、それほど変化もなく、こんなもんかと思った。
(まぁ、せっかく買ったし、これを付けて外に出てみるか……)
(ん……!!)
(空が青い)
(深みが増したというか分かんないけど、明らかに青い!)
補正レンズの原理の詳細はここ(http://www.neo-dalton.com/genri/)に記されているが、要はRGB(赤緑青)のバランスを矯正するためのレンズで、
自分の場合は緑の感度を大幅に弱め、青の感度を少し弱めることでバランスをとっている。
ということは、今まで大して緑っぽく見えてなかった色や青っぽく見えていなかった色が突然鮮明な緑や青として見えるようになった、みたいな話らしい。
Chromeのアイコンの中央の青と左下の緑がくっきり見えるし、LINEのアイコンもあんなに緑々しい色をしているとは夢にも思わなかった。
当初は赤緑の区別ができれば、まぁいいかなくらいに思っていた補正レンズだったが、まさかこういう派生効果が生じるとは。
押し切られて買ってしまったときは、流石にどうなることかと思ったけれど、いい買い物をしたなぁと思った。
同時に、世間一般にありふれてる配色の妙を少しでも感じ取ることが出来てよかったなぁと思う。
企業のロゴ、街中の看板、周りの人の服装、……多くのことで、実はこんな色だったんだな、こっちの配色の方がしっくりくるなと感じる。
願わくは、色覚補正レンズがもっと普及し、もっと手頃な金額でこの感動を得ることが出来ますように、と。
性格異常補正レンズはどこかに売ってないんですかね…