この連載では、これまで何度か「人工知能に仕事を奪われる」という脅威論を取り上げてきました。鉄腕アトムのような“万能”な人工知能が生まれるには、まだ多くの時間がかかると予想されますが、特定の単純作業など、ミクロな視点で考えれば、人工知能による自動化によって、人間の手が要らなくなる仕事は出てくるでしょう。
仕事の対価としてもらえる賃金が、人工知能によって得られなくなる――これが人工知能に仕事を奪われることを「脅威」と捉える理由の1つだと思います。
では、人工知能に仕事を奪われたとしても、お金がもらえるとしたらどうでしょうか。近年では、そんな社会保障施策である「ベーシックインカム(Basic Income=最低所得保障)」が国内外で注目を集めています。
国内では、堀江貴文氏や西村博之氏などが導入を主張していますし、世界に目を向けると、テスラCEOのイーロン・マスク氏やFacebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏もその必要性に言及しています。実際にフィンランドでは導入テストが始まっており、米国カリフォルニア州のストックトンも2018年に試験導入を行う予定です。
「働いている人も、働いていない人も、政府から無条件で一律の金額が給付される」――。ある意味で“夢”のような施策ですが、今のところは「財源はどうする」「働かずにお金をもらうのはずるい」といった反対論が多く、多くの国民がベーシックインカムを冷めた目で見ています。しかし、本当にこれを「異端の政策」ですませてよいのでしょうか?
ベルギー出身の哲学者であり、ベーシック・インカム・ヨーロッパ・ネットワークの幹事であるフィリップ・ヴァン・パレース氏が、彼の著書である『ベーシックインカムの哲学―すべての人にリアルな自由を』の中で、ベーシックインカムを次のように説明しています。
(1)その人が進んで働く気がなくとも、(2)その人が裕福であるか貧しいかにかかわりなく、(3)その人が誰と一緒に住んでいようと、(4)その人がその国のどこに住んでいようとも、社会の完全な成員全てに対して政府から支払われる所得である。
つまり「この世に生を得たからには、一定の購買力を政府が給付する」というのが、ベーシックインカムの基本的な考え方というわけです。
ただし、富める人への給付はやめた方が良いのではないか、一定以上の所得がある場合は減額したほうが良いのではないかなど、ベーシックインカム推進論者の中でも細部で意見が異なります。今のところは「誰もが政府からタダでお金がもらえる」程度の理解にとどめておくのが無難でしょう。
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