いよいよ2018年が始まった。日経平均株価は2万4千円台に向かって力強い動きをみせており、年初の株式市場は順調にスタートした。
日々、ニュースを追いかけながら株価をみていると、年末から今年初めにかけての日本株の上昇は、米国で大型減税法案が成立したことによる米国株高の効果のような印象を強く持つが、昨年終盤以降、日本企業を取り巻く環境が好転し続けていることも株価好調の理由なのではないかと考える。
昨年12月8日に発表された2017年7-9月期の実質GDP成長率の2次速報値は、前期比年率換算で+2.5%と1次速報値の同+1.4%から上方改訂された。この1.1%ポイントの上方改訂幅のうち、民間設備投資の寄与が0.8%ポイントを占めた(寄与率だと73%程度となる)。
GDP統計をみると、2014年4月の消費税率引き上げ以降、国内の最終消費支出は低迷したままである。さらに、足元(2017年7-9月期)には、日銀によるマイナス金利政策開始以来拡大してきた住宅投資に息切れ感が出てきた。
家計部門の経済活動の停滞の一方で、企業部門は息を吹き返し、経済活動が活発になってきた。特に、設備投資は2016年10-12月期から4四半期連続の前期比プラスで推移している。
昨年の4-6月期からは、非製造業の設備投資拡大が顕著になってきている。この多くは人手不足対応の省力化投資(業務効率改善のためのIT投資なども含む)であると推測される。これに加え、アジア(特に中国)向けの電機、資本財の輸出も大きく拡大しており、設備投資と輸出が日本経済を支える2本の柱となっている。
このような設備投資の拡大を支えているのは、「実質金利」の低下であると思われる。ただし、ここでの「実質金利」とは、金融機関の新規の平均貸出約定金利から企業の「予想インフレ率(ここでは、企業の将来の販売価格の見通しから算出)」を引いたものである。
この「予想インフレ率」を用いた実質金利は(実質)設備投資の伸び率とかなり高い逆相関関係にある(図表1)。すなわち、「実質金利」の低下が設備投資の伸び率の上昇をもたらしているという状況が長期間にわたり、かなり明確に現れている。
この「実質金利」の低下は、日銀のマイナス金利政策による金融機関の平均貸出約定金利の低下も寄与していないことはないが、その大部分が「予想インフレ率」の上昇によるものである。