世界初 四肢まひ患者、脳に埋めた電極の信号で自ら食事 報告

四肢まひ障害を持つウィリアム・コッフェバーさん。英医学誌ランセット提供(2017年3月29日提供)。(c)AFP/THE LANCET/Case Western Reserve University〔AFPBB News

(英エコノミスト誌 2018年1月6日号)

ブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI)は、「人間とはこういう生き物だ」という認識を変える可能性を秘めている。

 テクノロジーには変化を起こす力があるとよく言われる。

 ウィリアム・コッフェバー氏にとっては、正当化できる指摘だろう。コッフェバー氏は自転車事故のせいで肩から下が麻痺してしまっているが、食事は何とか自分の手で取ることができる。

 この見事な離れ業は、右腕に埋め込まれた電極が筋肉を刺激してくれるおかげでもある。しかし、本物の魔法が使われているのはもっと上の部分だ。

 コッフェバー氏は、自分の考える力で右腕を操ることができる。

 つまり、腕を動かそうと思うと、その意図が大脳の運動皮質にある神経の動きに反映され、その信号が脳内に埋め込まれたインプラントによって捕捉されたうえで、腕の電極を刺激する命令に変換されているのだ。

 人間の考えをこのように解読する能力は、サイエンスフィクションのように聞こえるかもしれない。

 だが、コッフェバー氏が使っているブレインゲートのシステムのようなブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI)技術は、心による機械の操作がうまく機能し得る証拠を示している。