セクションナイン の 吉田真吾(@yoshidashingo)です。
最近日本でも勃興著しい印象のAlibaba Cloudに関するトピックを集めてみます。まず、グローバルのIaaS市場のシェアを見ると、AWSが40%以上の圧倒的なシェアを占め、その次にMicrosoft、そしてGCPやAlibaba Cloudが位置づいているという調査が多いです。最近はグローバルのカンファレンスでの登壇などが増えていて中国国内以外の露出も増えていますね。
トピック
日本国内でのユーザーコミュニティ
まぁ何を隠そう、私が言い出しっぺなわけですが。開発者のコミュニティがないのもAlibaba Cloudでアーキテクティングを行ううえで不健全(サクッと聞きたい情報がやりとりできない)だなと思ったので、MasterCloudで豊富なサービス群や基本的なアーキテクチャについてお話ししたうえで、参加者を募り、12/25(月)に0次会を開催しました。
www.slideshare.net
仮想サーバー(ECS)のインスタンスの選びかた
中でもECSは日本国内で展開されていないインスタンスも含めるとたくさん種類があって、とにかく選びにくい。違いがいまいちわかりにくいというのが自分の印象でした。
第III世代
日本リージョンの主要な世代がこれです。まずこの中に「入門用」と「商用」の2つがあると思ってください。
入門用(第III世代)
これらがなぜ入門用かというと、いわゆる仮想化ホスト上でノイジーネイバーの影響を受けやすいとされています。アイソレーションの方式がいまいちなのかもしれない。その分お安めです。開発環境用やパフォーマンスがシビアでない場合に利用するべきインスタンスです。
- xn4.small:1vCPU:1GB Mem構成のみ。お試しレベル
- mn4(汎用):1vCPU:4GB MemからスタートするCPU:メモリ比率が汎用的なインスタンス
- n4(CPU):1vCPU:4GB MemからスタートするCPU:メモリ比率がCPU寄りなインスタンス
- e4(メモリ):1vCPU:8GB MemからスタートするCPU:メモリ比率がメモリ寄りなインスタンスですが、現在は提供されていなさそうです。
商用(第III世代)
商用で利用すべきなのはこれ以降のグレードのインスタンスになってきます。こちらは上記の入門用とは違ってノイジーネイバーの影響は受けません。
- 汎用:sn2 / sn2ne (vCPU:Mem=1:4)
- CPU最適化:sn1 / sn1ne (vCPU:Mem=1:2)
- メモリ最適化:se1 / se1ne (vCPU:Mem=1:8)
上記のインスタンスファミリー名に ne
がついているものとついていないものがありますが、ne付きはないものに比べて、インスタンスネットワーク帯域が2倍の割り当てになっています。
第Ⅳ世代
今後主流になってくるインスタンス世代です。CPUの世代も新しく、Intel Xeon Platinum 8163をベースにしています。
- g5(汎用):2 vCPU 8 GB 構成から
- c5(CPU):2 vCPU 4 GB 構成から
- r5(メモリ):2 vCPU 16 GB 構成から
これ以外にもAWSでいうt2ファミリーにあたるt5、エフェメラルディスクに大きめのSSDを搭載しているi2、ビッグデータ処理のためにメモリとネットワークを拡張しているd1ne、Intel Xeon Gold 6149のクロック数の高いCPUを利用してシングルスレッドな処理に適したhfg5/hfc5、Tesla P100のGPUを搭載しているgn5などがあり、それぞれの特徴によってインスタンスを選択することができます。
日本リージョンでも第Ⅳ世代が主流になるとコスト効率の高いクラウドプラットフォームとして認知が進むんじゃないでしょうか。
Alibaba Cloud という謎なクラウドサービス。
思ってたよりたくさんのサービスがあるよね、という話。
認定資格制度
クラウド各社ともすでに展開していますが、Alibaba Cloudもプライベートベータで開始しはじめていますよという話
Meltdown&Spectreについて
世界中で大騒ぎになっているMeltdown&Spectreについてですが、1/4アナウンスがあり、1/13までにプラットフォーム側のパッチ作業をホットアップグレード(ダウンタイムなし)で行うとアナウンスがありました。
www.alibabacloud.com jp.alibabacloud.com
クラウドの重要機能 MessageServiceを理解する
- クラウド上での分散処理を実現するために重要なPub/Sub機能を提供するMessage Serviceの機能について
MVPプログラム
AWSでいえばコミュニティヒーローやAWS SAMURAIのようなMVP制度がはじまったそうで、SBクラウドの2名が受賞してます。Alibaba Cloudのことで困ったらこの人たちに相談しましょう。
その他
IoT、コネクティッドカー分野での提携
- フォードやBMWがアリババと提携し、音声認識による車の情報(燃料残量など)へのアクセスができるようにすると発表。
- 今後はテレメトリや遠隔制御などにも発展していくことが期待される。
IoTデバイス開発
- NXP Semiconductorsと提携してデバイス開発を促進
- このニュースに限らず、Alibaba Cloudはたとえば動画の認識技術をNVIDIAと提携して利用していたり、時間をお金で買うことで短時間に広範囲のソリューションをカバーしてきた節があるように見えます。その分、分かりにくいサービスが多くなってるのと、それぞれの提携の行く末によってはサービス自体が負債になりうる点だけが心配ですが、シェアが高く洗練された製品がOEMで組み込まれているという安心感もあります。
ということで今回は以上ですが、2月初旬くらいにまたデベロッパーミーティングをやりたいと思いますので、興味があれば参加してください。