ときどき勘違いしている人がいるけど、イタリアと日本でイタリア製の服の値段が同じはずがない。
それに日本でイタリア製の服がイタリアの二倍の価格だったとしても、それは一概にはボッタクリとは言えないのである。
とは言え日本で売られているスティレラティーノとかそういうブランドは高すぎなのでは?と思って、色々考えてみたことがあった。
最近日本で人気になりだしたルカグラッシア、パイデア、スティレラティーノとかそういうものをナポリ仕立てに含めるのは日本のファッション業界のやり方だが、これは本来はナポリ仕立てではない。
ナポリ仕立てはあくまでサルトリアが仕立てるものだから。
ちなみにルカグラッシアはともかく、パイデアやスティレラティーノといったマシンブランドの仕入れ値が安い。
それをナポリ仕立てと言ってハンドメイドのスーツと同じような値段で売るのはどうなんだろう。
例えばだが、BRオンラインというストアで売っているパイデアは24万円のスーツでポリエステル混生地。スティレラティーノもそのくらいの値段でナイロン混などの生地が多い。
知られていないことだが、良い生地はかなり高いし、粗悪な生地は驚くほど安い。
もしスキャバルとかホーランドシェリーとかの生地をプレタポルテに使おうとすると、高ければメートル単価1万円以上になって、スーツ1着の生地代が3万とか4万円になる。
それに対して安いウールはメートル1000円からあるし、ポリエステル混の生地を大量に発注すればメートル500円にもなる。
こういう生地をスーツに使えば、一着分の生地代が1500円になる。
スティレラティーノとかパイデアのようなマシンメイド〜セミハンドメイドのナポリ製プレタポルテの仕入れ値は、だいたい高くても5〜10万円くらい。
だから高級生地を使ってセミハンドメイドで仕立てれば仕入れ値は14万円(仕立て10万+生地4万)になるし、ポリ生地を使ってフルマシンメイドにすれば仕入れ値は51500円(仕立て5万+生地1500円)になる。
もちろんこれは極端な例え話だが、ある程度事実。
こうなれば販売価格も変わるわけだ。
仕入れ値14万円の高級生地スーツだったら、輸入関税やそのほかの経費、リスク、店の取り分などを考えてセミハンドメイドスーツなら、20〜25万円くらいになるのが自然だろう。
しかしこの5万円のスーツは?これも同じように20〜25万円で売られている。
スティレラティーノがそうというわけではないけど、自分でしっかりと仕立てとか生地の良さを確認しないと、こういうものを掴んでしまう。
どうせナポリのプレタポルテに同じ金額を使うのなら、しっかりとしたものを買いたいところ。
タイトルはスティレラティーノやナポリブランドの日本での値段は妥当かという風にしたけど、結局妥当かどうかはブランドじゃなくて、自分で判断しなければならない。
ポリ混でマシンメイドならスティレラティーノでも10万円が妥当で、無名ブランドでもホーランドシェリーでセミハンドメイドなら20万円出すべきなんじゃないの?と僕は思うのだ。