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次世代の新幹線N700S 細かすぎる5つの変更点

日経トレンディネット

2018/1/10

愛知県豊川市の日本車輛製造で報道公開されたN700S。手前は完成予想の模型
日経トレンディネット

 東海道新幹線の次世代車両「N700S」が2018年3月に完成する。各種試験を経たあと、東京五輪が開催される2020年をめどに営業運転を始めるという。現在の主力車両N700系がデビューしたのは2007年のこと。10年経つのでフルモデルチェンジ車両といっていいはずだが、いざ実車を目にすると、正直どこが変わったのか分かりにくい。今回はそんなN700Sの「細かすぎて伝わらない」5つのポイントを紹介しよう。

■ポイント1:なぜ今回もN700系?

 まず分かりにくいのが、「N700S」という名前(鉄道業界では「形式」と呼ぶ)だ。現在の主力は「N700」であり、2013年に登場した改良版は、後ろに「Advance」を意味する「A」を付けて「N700A」となった。今回はフルモデルチェンジ車両なのに、なぜよく似たN700Sという名称になったのか。ちなみに「S」は最高を表す「Supreme」を意味するという。

 JR東海は「N700という名称が広く親しまれているため」と説明する。それは一理あるものの、新車ということは伝わりにくいのではないだろうか。

 700の次の800が九州新幹線で使われており、続く900は「ドクターイエロー」など事業用の車両に割り振られているため、頭打ちにならざるを得ないのかもしれない。ただJR東日本が山形新幹線用の400系の後、E1系に先祖返りしたように、付番ルールを大きく変えるという選択肢もある。

 ちなみに北陸新幹線用のE7・W7系も、各車両に割り振られている番号は700番台。しかも714~726で、N700の前の主力車両だった700系の719~727と被っている。実際にはその前に「E」(JR東日本保有車)もしくは「W」(JR西日本保有車)が付くうえ、線路がつながっているわけではないので良しとされているようだ。

東海道・山陽新幹線の700系(左)と北陸新幹線のE7系(右)。どちらも700番台のナンバーが使われている

■ポイント2:エラが少し張っている

 報道公開で展示されたのは、塗装前の先頭車両。ぱっと見、N700系との違いは分からなかった。

 説明によると、先端部の左右、つまりヘッドライトの部分が少し盛り上がっているのだという。たしかに言われてみるとそうだ。すこし「エラが張っている」という表現になるだろうか。

左右のライトの上部がツンと尖っているのが分かるだろうか

 素人考えでは、凹凸をなくしたほうが空気抵抗が減っていいように思えるのだが、そうでもないらしい。あえてエッジを立てて風を集めることで、車両の振動を抑える効果が出るのだ。今回の形状変更により、最後尾となったときの左右の揺れが軽減できるという。

 それにしても、そんな間違い探しのような細かな違いに留まったのはなぜか。JR東海の新幹線鉄道事業本部車両部の古屋政嗣担当部長に疑問をぶつけてみたところ、「N700系とは、座席の数もドアの位置も変えていない。そのような条件の中で最新の技術で解析したところ、この形状が最適と分かった」とのこと。つまり、N700系の「顔」は技術的にほぼ完成したものだったということだ。

 
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