都会の自治体のふるさと納税ってどんな感じ?文京区の「こども宅食」に密着してきた [PR]

地方の自治体に寄附するイメージの強いふるさと納税ですが、今回の記事では東京都文京区のふるさと納税に関する取り組み「こども宅食」を取材してきました。

※この記事は、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」の提供でお送りいたします。

大学3年生の高野りょーすけと申します。

皆様はふるさと納税に、どんな印象をお持ちでしょうか?

 

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地方の税金で育った人が都会で働くことが多いから、都会の税収は増えるけど地域は困る

この地域間で起こっている税収の格差を少しでも無くすために生まれ、自分が育った場所や応援したい地域に寄附できるふるさと納税。

利用する人は、実質2000円で寄附先を選んで応援…
寄附してもらった自治体は、増えた税金で行政サービスを良くできる…

まさに一石二鳥な制度、のハズでした。

 

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ですが最近、「返礼品が注目されすぎている」と聞くことがあります。

実際、テレビやネットの特集では、ふるさと納税=2000円でコスパよく買い物する という印象があり、皆さんも「黒毛和牛を実質2000円で食べられる方法」「高コスパの返礼品ランキングBest50」といったものを、なかなかの頻度で見かけるのではないでしょうか。

元々は応援したい地域への寄附だったはずなのに、気がつけば返礼品目当てにもなっていたふるさと納税。

加えて、「ふるさと納税のせいで都会からお金が流出しすぎて、必要な政策ができなくなる」「そもそも制度自体を見直して、皆自分が住んでいる自治体に払うべきでは?」といった声も聞こえてきます。

ふるさと納税は一体どうあるべきなのか、これからどうなるのか…。

 

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……そこで今回は、都会の自治体が行っている「ふるさと納税で政策に寄附してもらう」取組みに、密着したいと思います。

熊本地震の復興支援など、政策を公開してふるさと納税で直接寄附してもらう流れは、自治体の中で進んでいるとのこと。

ふるさと納税は地方に寄附するイメージですが実は東京でも行われていて、さらには返礼品がなくても使い道をちゃんと示せば、寄附が集まると言われています。

……そんな例としてこの記事で取材するのは、ふるさと納税で税収が減った、東京ドームや湯島天神で有名な「東京都文京区」。

 

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https://www.furusato-tax.jp/gcf/155

現在、「こども宅食」という政策を公開し、ふるさと納税で寄附を募っています。

この「こども宅食」は、文京区で暮らす生活の厳しいひとり親家庭など約1,000世帯のご自宅に1-2ヶ月に一度食品を届け、それをきっかけにご家庭の困りごとを解決する仕組みを作るという取組みです。文京区が5つの民間団体と一緒に進めていることでも有名で、返礼品はありません。

寄附は全てこども宅食に使われ、文京区で成功事例を作った後に全国の自治体へ拡大することを目指されているとのこと。

実態を知るため、まずはボランティアとして現場に潜入してみました。

 

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朝9時、ボランティアの皆さんと集合。
本日は、子どもたちに届ける食品を箱詰めして行きます。

 

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たくさんある食品を、

 

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箱に入れて、合計150世帯分を用意。

 

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1世帯にお届けする食品はこのような感じ。お米、調味料、缶詰、お菓子など、あわせて約10キロ。
2ヶ月に1回の頻度で、ご家庭に発送していく予定とのこと。

 

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まずは箱を

 

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並べて、

 

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二人一組で食品を入れていきます。

 

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箱がいっぱいになったら新しいのをセットして

 

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また食品を詰めていき……。

…。

 

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せっかくなので、ボランティアさんに「ふるさと納税」についてお聞きしました。
普段は、都内のほかの区役所で働いている男性。

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「都会の自治体さんの、リアルなご意見をお聞かせいただければ…」

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「私は正直、ふるさと納税そのものに懐疑的です」

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「なぜでしょうか…?」

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「だって、住んでいる自治体に収められるはずだった税金がほかの地域に行く制度ですよね。返礼品自体がもので釣ってお金を集める仕組みになっていますし、東京に住んでいる人がよその自治体に納税した上で美味しいものを食べるのはどうなんでしょう」

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「…ああ。ほかの自治体に納税したせいで税収が減ったのに、『もっと税金を使って保育園作ってよ!』とか言われたら、『ふるさと納税してないで自分の自治体に納めてよ!』と言いたくなりますもんね」

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「だからこそなのか、東京の一部の自治体には、『ふるさと納税には乗っかりませんよ』という空気感があるんです」

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「自治体の中でも温度差が…。使い道を公開して、ふるさと納税で寄附を集める活動についてはどう思いますか?」

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「『この問題にお金を使います』と言って、その社会問題が知られるきっかけになれば健全だと思います。あとは…税金って集めた後に政治家や行政が使い道を決めますけど、この仕組みで税金の使い道を自分で決められるのは、良いのではないでしょうか」

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「なるほど…」

 

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東京都杉並区で、「ふるさと納税で住民税が流出しています」と書かれたチラシが配られていたのは記憶に新しいかと思います。住民税が約14億円減ってしまった自治体にとって、行政サービスが低下するかもしれないということ。

一方で、文京区も税収が10億円ほど減ったそうですが、トップである文京区長はどのようなお考えで今回の取組みを実施されているのか…。

 

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と思い、お時間を取っていただきました。

 

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成澤文京区長:全国の首長の中で、男性として初めて育休を取られたことでも有名

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ふるさと納税について、区長はどのように感じていらっしゃるんでしょうか?」

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「もちろん、ふるさと納税の制度自体は決して否定しません。ですが、普段は近所のスーパーで足りているものを返礼品として買うのはかなり悪質な節税だと思います。そのような返礼品を目的にふるさと納税をやることについては、絶対に反対します」

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「たしかにその場所にしかないものはさておき、すでに家のもので足りていればもっと考えるべきですよね」

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「こども宅食や熊本地震の災害支援のように、政策を目的にしたふるさと納税は、皆さんご自身が必要だと思う政策に直接納税していただくのが特徴です」

 

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「こども宅食なのですが、豊かな文京区で『子どもの貧困』と言われても正直イメージがわかなくて…」

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「根本にあるのは、経済的に厳しいということを知られたくないという気持ちです。文京区でも生活の厳しい子どもたち向けの学習支援をいくつかの場所でやっていますが、普通は家から近い場所に行くと思いますよね。ですが、あるお子さんは周りの目を気にして1番遠い場所へ行っていたんです。誰しも、経済的に困難なことを知られたくないんですよ」

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「なるほど…。文京区では裕福な家が多くて、周りのご家庭との差が大きそうですね」

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「その通りです。このため、『こども食堂』(※厳しい生活を送る子どもたちのために安価で食べられる食堂)を運営していても、『経済的に困難な方向けの食堂です』と大々的には言えず、誰でも来ていいことにしているんですね」

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「結果的に、本当に支援が必要な子たちには、完全に支援が行き届いているかどうかわからなかったと…」

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「はい。なのでこども宅食では、民間の団体さんと提携している強みを活かして、周囲に支援が気づかれないようにサポートします。食品の配達は民生委員ではなく物流企業さんにお願いしますし、煩わしい行政の手続きも無しにして、LINEでご家庭とやり取りできるようにもしました」

 

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「経済的に困っている方が自分で手を上げるのは本当にハードルが高いんですよ。特にひとり親で支援を受けている方に対し、『好きで結婚して、好きで子どもを産んで、好きで離婚したのに甘えるんじゃない』と言われる可能性だってゼロではありません。絶対にそう言わせないためにも、周りから見えないような支援が必要なんですね」

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「『離婚して生活が苦しくなっても自己責任』というご意見があるんですね…」

 

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…豊かに思える地域にもある「貧困」。

 

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なぜ生活が大変になり、今はどんな暮らしをされているのか…。

 

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夕方4時、箱詰めのボランティアが終了。

 

〜1ヶ月後〜

 

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現場を知るため、実際にこども宅食を利用されている方にお時間を取っていただきました。
小学生のお子さんがいらっしゃる、シングルマザーの田中さん(仮名)です。

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「ご離婚されたのは、いつ頃でしたか?」

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「1年くらい前です。それまでは文京区にいたのですが、離婚してから別の街に引っ越しました」

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「文京区の家賃、お高いですもんね」

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「はい。ですが、子どもが引っ越した先の学校に馴染めずに、不登校になってしまい…。学校の雰囲気が合わなかったり、先生が厳しすぎて怖くなったみたいなのですが、学校に相談してもちゃんと対応してくれなくて」

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「なんですかその学校…」

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「それで、子どもが昔から知っているお友達もいる文京区に戻ろうと思い、なんとか築年数が古くて安い今のアパートを見つけました」

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「お仕事はなにをされていらっしゃるんですか?」

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「10年ほど会社員として働いていましたが、なかなかお給料が上がらず…。収入が足りなかったので、独立して自営業をしています」

今は児童扶養手当(月2~3万円ほど)を受けていらっしゃる田中さん。普段は家でお仕事をされていますが…

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「お仕事が自営業ですと、かなり大変なような?」

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「そうですね。忙しい時は深夜3時頃まで働いて、仮眠して5時に再開したりしています」

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「育児もされるとなったらとてもお忙しそう。もう一度会社員になって働いてみようとは思いますか…?」

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「探していても、年齢が正直若くないので、今よりも収入が下がってしまうんです。条件の合った仕事があれば行きたいのですが…」

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「今はお仕事を継続して受けられているんですか?」

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「波がありますね。月によってはゼロだったり、逆に、普通より多かったりする時もあります。食べるものが無くなったりしたことはないのですが、短い期間に2回続けて引越したのでその時の費用と、元夫の借金の返済などがあって、貯金がとにかくたまらないのが悩みです」

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「なるほど…」

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「子どものことを考えて仕事を増やしていましたが、一緒に過ごす時間が減ってしまったので、今は育児に多めに時間を割くようにしています。これからはもう少しお仕事の単価を上げていかないと、ですね…」

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「ほかのママさんたちと交流はありますか? かなりお忙しいとは思うのですが」

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「子育てと仕事で1日が埋まってしまうので、実はほとんど関わりがないんです。ランチとかでママ友同士のお付き合いがあるみたいですが、私はあまり行かないです」

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「その…周りの目は気にされたりしますか…? 生活が厳しいことでなにか…」

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「私自身は平気なのですが、子どもが自宅にお友達を呼んでくる時は気にします。周りのお子さんはお医者さんのご家庭だったり、立派なお家の所が多いので、変に思われないかと…」

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「裕福な方の多い地域だからこそ、ですね…」

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「こども宅食にお菓子も入っていたのは嬉しかったです。子どもがお友達を呼んでたくさん食べたり飲んだりして、お菓子の費用が結構かかっていました」

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「普段の暮らしの中で、周りの方々からなにか言われることはありますか? いわゆる『貧困』や『離婚』に厳しい方がいたりとか」

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「子どもが喧嘩してしまって、向こうの親御さんから『やっぱりひとり親だから』と言われたことはありました。それから、裕福なお家のお子さんと遊んでいたら、ほかのお母さんから『あなたと違う家柄だし、怪我でもさせたら大変よ』とお電話いただいたことも」

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「え…。そんなことが…」

 

〜後日〜

 

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フローレンスの山崎さん(左)、菊川さん(右)

文京区と一緒にこども宅食を運営している5つの民間団体のひとつ、「認定NPO法人フローレンス」さん。
普段から子どもの貧困問題や待機児童問題などに取り組まれていて、こども宅食では企画全体を取りまとめています。

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「こども宅食を受け取っている方々は、ほかにどのような暮らしを…?」

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「意外な例で言うと、オートロック付きの綺麗なマンションにお住まいの方もいらっしゃいますよ」

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「え。それなら、支援を受けなくても大丈夫じゃないですか?」

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「最初は私たちもそう思っていました。ですがお部屋の中に入ってみたら、部屋が真っ暗だったんです」

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「? どういうことですか?」

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「節電なんですよ」

 

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「以前は稼ぎがあったこともあり、そのお部屋を購入されたそうなんです。しかし、後々になってお父さんの勤めていた会社が倒産してしまって。退職金が出ないままほかの会社に再就職されたのですが、以前よりもお給料が低くなってしまったそうなんですね」

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「そういうのって本当にいきなり起きるんですね」

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「さらに、お子さんに発達障害があり、特別支援の塾にも通われていて、塾代を払うためにお母さんは1日1食の生活で切り詰めているそうなんです」

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「1食って…。引越しはされないんでしょうか…?」

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「学校や塾の先生がお子さんへ理解が深い方々なので、お子さんのためにも今の場所に住み続けたいとおっしゃっていました」

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「……。恐ろしい話のような…。生活がいきなり厳しくなるのって誰にでも起こっちゃって、そのあともお子さんのためにギリギリまでがんばるということですよね。田中さんのお話もずっとお子さんが中心でしたけど…」

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「お子さんのことを思って今の所に住み続けている、というのが印象的ですよね。けれど背景を知らなければ、裕福な文京区でどうして無料の食品をもらうのかとか、なんで引っ越さないのかなどと思われてしまいます」

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「別の方で、同じ建物に住む大家さんがお子さん見守ってくれているから引っ越さないという方もいらっしゃいましたね。仕事が忙しい時なんかに、代わりに大家さんが保育園にお迎えに行ってくれるそうなんです」

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「引越したら、お子さんを見てくれる方がいるかわからないですもんね」

 

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「食事以外には、なにか支援をされるんですか?」

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「実は、こども宅食では食事を届けることが1番の目的ではないんです。たとえば高野さん…都営交通無料乗車券って知っていますか?」

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「いえ。初めてお聞きしました」

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「条件はありますが、児童扶養手当を受けられている方……簡単に言うとひとり親で子育てされている方などが手続きをすると、都営交通に無料で乗れる券がもらえるという制度なんです」

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「え」

 

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「本当だ」

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「前にお話を伺った方は、ご自身のシングルマザー友だちの半分はそもそも存在を知らないし、残りの半分は知っているけど使ったことがないと言っていました。行政の支援は結構手厚いのですが、『知らない』『知ってもわかりづらい』『わかっても行く時間がない』というのがあるようなんです」

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「たしかに、ホームページは文字がすごく多いし、区役所の張り紙も読むかと言われれば…」

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「サービスを利用しようとしても、平日に会社を休み、役所に行って書類を提出するのはハードルが高いという意見も聞きます。こども宅食では利用者の方が手軽に使えるLINEでやり取りしながら信頼関係を築き、ニーズに合わせて必要な支援をご紹介します。食品をお届けする時の会話の中でも、なにかお困りごとがあれば気軽に相談してもらう…そんな”つながり”を作るのが目標です」

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「おお…」

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「実は、前回の配送であるお家に食品をお届けしたドライバーさんから『ご家族が大家さんとモメてるみたいです』と連絡がありまして。詳しく聞いてみると、マンションの改修工事を大家さんが勝手に進めていて、何十万円かを請求されて困っていたらしいんです」

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「やばくないですか?」

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「はい。こういった事例を発見したら、例えば弁護士の無料相談をご紹介したりできますよね。食品も大事なのですが、生活が立ち行かなくなるようなお困りごとを事前に防いだり、問題が起きても素早くサポートしていくことが1番の目標なんです」

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「いろいろ要望を言えるのは良いですよね。食品のその先と言いますか…。田中さんにお話を伺った時も、『こども宅食を利用している方やシングルマザー同士で、実際に会って情報交換できたら嬉しいです』とおっしゃっていて。偶然知り合ったシングルマザーの友人と連絡し合っているのが、すごい励みになっているそうで。『ご夫婦が仲いいお家だと抱えている悩みが違って、お互いに遠慮しちゃうんです』と」

 

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「それ…良いですね。参考になります」

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「こういう要望も直接言えるのは、素敵ですね」

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「生活の厳しい、いわゆる『貧困』の方々へ支援されていると、周りからなにか言われたりしますか? 特集や記事などで、貧困や離婚は『自己責任だから』この人は支援しなくていい、本人がもっと努力していたらどうにかなったはず、という意見がありますよね」

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「そうですね…。個人的には、親に責任があるかはあまり関係ないと思っています。大事なのは、たまたまその家に生まれてきたというだけで、子どもたちに責任はないということです。周りの友達が皆できていることが、自分だけできないというのを、こども宅食で変えていきたいんです。喜ぶお子さんを見て、親御さんの抱える『私は子どもに悪いことをしているんじゃないか…』という罪悪感も、和らいでくれればいいなと思います」

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「…そういえば。ボランティアでお会いした、ひとり親のご家庭で育った方が…

 

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『大人になってから母に、”私たち貧乏だったよね!”と笑いながら言ったら、結構引っかかるみたいなんですよね。私自身は、ひとり親で生活の厳しい家庭で育つのも個性のひとつだと思ってたけど、母はずっと気にしてたんだろうな…』とおっしゃっていて。親御さんの心のサポートにもつながると良いですね」

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「ちなみに今回の取組みですが、文京区がフローレンスさんたち5つの民間団体と連携して運営していますよね。自治体と民間が力を合わせれば、やっぱり今までできなかったことができるようになったりするんですか?」

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「はい。各団体のそれぞれの強みを活かして、1つの団体ではできなかったことが形になっていると思います。わかりやすい例を出すと、今までは私たち民間の団体がお困りごとのあるご家庭を支援しようと思っても、名前や住所を一覧で把握しているわけではないので、広告や広報をがんばっても情報が行き届かないことがあってすごく大変だったんですよ。それが今回は、所得制限のある支援を利用している文京区のご家庭に対して、区役所からの一斉通知の際に、こども宅食のチラシを同封して送ってくださったんです」

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「おお…。肝心の、支援を必要としている方の情報が手に入りづらいというのは、民間団体さんのあるあるっぽいですね」

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「逆に、私たちが一緒に取り組むことで、行政の方々だけではできなかったであろうことが実現できたという側面もあると思います。ITのより良い活用やマーケティング力の強化、企業連携などいろいろですね。もちろん、組織文化や価値観が違うので、仕事を進める中でぶつかることもよくありますが、お互いを尊重して歩み寄りながら進めています」

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「…自治体と民間の連携、進んでほしいです」

 

…最後に、この記事のスポンサーでもある、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営されているトラストバンクさんを訪ねました。

 

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株式会社トラストバンクの浪越さん

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「ふるさと納税について、実際に反対の意見をお聞きすることはありますか?」

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「イベントなどでは、本来の趣旨に反するからやりませんとお聞きすることがありますね…。応援したい地域への寄附のはずが、必要以上に返礼品が注目されてしまっていて」

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返礼品はその地域にとってもお得なんでしょうか? 時々、返礼品自体が良くないという意見も目にしまして」

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「地域のためになっていることは、間違いないと思います。それこそ、ふさぎこんでいらっしゃった農家の方が元気になられたりとか、今まで予算を切り詰めることしかできなかった首長さんが新たなチャレンジをされるといった例はたくさんお聞きしますし、地域の特産品が全国へ広がるきっかけにもなりますから」

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「返礼品を用意する中で、お仕事が生まれていくと…。有名ブランドのドライヤーや掃除機はどうでしょうか? 地域に工場があるからといって、近所のヤマダ電機で買えるモノを返礼品にされている自治体もあるような」

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「はい。地元の方々にちゃんと喜んでいただくためにも、家電のように換金性が高かったり地域にお金が回らないモノは、弊社独自の基準でサイトに載せないようにしたり、検索の制限をかけるなどの対応をしています」

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「『ふるさと納税で都会からお金が流出しすぎたら、必要な政策ができない』『そもそも制度自体を見直して、皆自分が住んでいる自治体に払おう』という意見はどうでしょうか? 趣旨そのものへの疑問だと思うのですが…」

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「もちろん、お金があまりにも極端に移りすぎれば可能性はゼロでありませんが、ふるさと納税で寄附できる地方税は2割前後ですので、全体の割合から見れば抑えられているとは思います。地方の自治体さんは人口の流出も重なり、一気に行政が届かなくなることがありますが、その分お金が回ればガラッと変わり、実際に高校生までの教育費が無料になったりとか、ご年配の方向けのインフラ整備を進めて人口が増えている所が出てきているんです」

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「……都会も大変な一方で、全体で比べてしまったら地方の自治体の方が困っているのかもしれないですね…。そもそもは、皆が住んでいる所に税金を払い続けていたらまずくなったんでしたっけ…」

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「地域の税金で育った人が都市部に移り、都市部に税金を納めて…定年などで地元に戻ってからは地域の税金で養ってもらう…。この地域間の税の格差を少なくしましょうというのが、ふるさと納税の意義でした。お礼の品は元々なかったものの、自治体さんの『恩返しをしたい』という想いから生まれたものです。ふるさと納税の制度には賛否両論ありますが、我々も自治体も寄附者も、この制度の本来の趣旨や、お礼の品の意義に立ち返ることで、より良い制度になると思います」

 

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「今回の文京区さんのように、ふるさと納税で自治体と民間が社会問題を一緒に解決する取組みは、自治体さんの間では進んでいますが、皆さんに知っていただくためにはまだまだ努力が必要だと感じています。犬の殺処分数が全国ワーストだった広島県をゼロにした神石高原町さんや、1年間に3000本の注射を刺さなければいけない小児糖尿病の予防研究に励む佐賀県さんなど、ふるさと納税を通じて社会問題を解決する活動を、多くの方に知っていただければ…」

 

 

【まとめ】

都会の自治体の、「政策(使い道)を公開してふるさと納税で寄附してもらう」取組みに密着してきました。

地方で育ってから都会で働く人が多く、地方がコストを背負っても都会に税収が行ってしまう…。その格差を縮めるためにも、ふるさと納税自体はあってしかるべき…。だと個人的には思うのですが、必要以上に返礼品に注目されすぎたり、税収が減る自治体もあったりします。

どの自治体にも大変なことがある中で、自分が実現してほしいと思った政策にふるさと納税で直接寄附して社会問題を解決していくことも、良い方向に進んでいけばと思います。

その上で、今回のように自治体と民間が力を合わせ、世の中を良くしていく政策がたくさん生まれることを願ってやみません。

 

こども宅食https://www.furusato-tax.jp/gcf/155

使い道を選んでふるさと納税する(ふるさとチョイス)https://www.furusato-tax.jp/use_category.html

 

協力:認定NPO法人フローレンス / 文京区
編集 / 撮影:SPOT編集部
ライター高野りょーすけ

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