コインデスクの報じるところによると、米国証券取引委員会(SEC)に提出されたビットコインETF申請に対し、SECが難色を示したので、ビットコインETFの申請が、次々に取り下げされているそうです。

具体的にはプロシェアーズ(ProShares)、ディレクション(Direxion)とELF(Exchange Listed Funds)がこれまでに申請を取り下げました。

ここからは僕の考えですが、まずこの3つのETFは全てビットコイン先物を原資産として設計されたETFです。

ビットコイン先物は、CMEやCBOEという、ちゃんとしたデリバティブ取引所に上場されている関係で、「SECが却下する理由がなくなる」ということで、ETF認可への希望が膨らんでいました。その夢が打ち砕かれたのです。

しかし……

今回の取り下げのグループに入っていないウィンクルボス・ビットコインETFの場合は、先物ではなく、現物をベースにした商品設計となっています。これまでSECは現物ベースのビットコインETFには難色をしめしてきたものの、CBOEの先物価格のレファレンス先に、ウィンクルボスのジェミナイ(Gemini)が採用された関係で、以前よりは少し「箔がついた」と考えられています。

なおウィンクルボス・ビットコインETFは一足先にSECから申請を却下され、それに不服申し立て中です。私見を述べれば、このようなカタチでSECに不服申し立てしてもムダだと思います。なぜなら、SECは極めてプライドの高い政府機関だから。イチから出直した方が得策。

なおこれでビットコインETFの夢が全部消えたわけではないと思います。

それと……

プロシェアーズ、ディレクション、ELFの3社は、大手ではありません。従って、SECは大手運用会社からの申請があるまで、これらの企業からのリクエストをシカトすることを決め込んでいたフシもあります。

実際、ETF承認の歴史を紐解くと、先ず大手がシンプルなETFを売出し、それに続くカタチで今回、申請をひっこめた各社のような、どちらかといえば冒険的な商品設計に訴える企業が、チャラチャラした商品を出す……というのが常でした。

その意味では、今回、そういう「王道ではない」各社がSECからつれなくあしらわれたのは(やっぱり!)という感じがなきにしもありません。

ビットコインETFは機関投資家がビットコインに投資する際のおもな投資経路だと考えられています。機関投資家は90兆ドルもの運用資産を持っています。だからそのマネーが取り込めるかどうかは、ビットコインの価格形成に大きな影響を与えます。

これで「アウト!」だとは僕は思っていません。ただ今回のニュースは厳粛に受け止めるべき。



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