日英路線図会談
『Transit Maps of the World(トランジットマップ オブ ザ ワールド)』という、路線図鑑賞業界では伝説となっている書籍がある。
この本には、ロンドン在住のジャーナリスト、マーク・オーブンデン氏が集めた、世界各地の地下鉄やトラムなどの路線図がひたすら掲載されている。 路線図を鑑賞することが好きなぼくのようなものにとって、様々な路線図がひたすら載っている本は、まさに路線図のハーレムといってもよい。(美女がたくさんいるという意味で)
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。
前の記事:「レトロフューチャーがすぎるブリュッセルの「アトミウム」」 人気記事:「あの「HG創英角ポップ体」の元となった直筆生原稿を見た」 > 個人サイト 新ニホンケミカル TwitterID:tokyo26 言葉はわからなくてもおもしろいこちらが、その本だ。ほんとうに、ただただ、ひたすら路線図が載っている。
表紙からしてヤバイ。これ、世界地図のように見えるが、よくよくみてみると、実は、ロンドン地下鉄になっている! すげえ!
路線図界の鬼っ子、ニューヨークの地下鉄路線図も、最近のものだけではなく、古いものもカバー
まったく知らない町のまったく知らない地下鉄路線網を愛でる至福のとき
目次も路線図でかっこいい
解説はもちろん英語だが、そもそも、文章は読まなくても、路線図の絵としてのおもしろさやかっこよさはじゅうぶんに伝わってくる。
最高すぎる書籍。路線図を眺めるのが好きな人にとってはまさにバイブルである。 ここで、みなさまにうれしいお知らせ実はこの『Transit Maps of the World』、一昨年に日本語版が出ている。
日本語版こちら
タイトルは『世界の美しい地下鉄マップ』(ナショナルジオグラフィック社)となっており、内容はほぼ『Transit Maps of the World』を翻訳したものだが、いくつか路線図が差し替わっているものもある。
いずれにせよ、路線図好きが路線図を眺めるには本当によい本なのだ。 作者の人はどんな人なのか?こんな素晴らしい本を作った、マーク・オーブンデンというひとはどんな人なんだろうか?
イギリスにも路線図マニアはたくさんいるのか? やっぱりロンドンの路線図に詳しいのか。いろいろと興味はつきない。 これはいちど会ってお話してみたい。 というわけで、『Transit Maps of the World』の著者・マーク・オーブンデンさんに、取材を申し込んだところ、快諾してもらえたので、ロンドンにやってきた。 工事中だった
あいにくビッグベンは修復工事中だったが、念願のロンドンの地下鉄には乗ることができた。
うん、狭いな
事前に「狭い」という噂だけは耳にしていたが、実際に乗ると本当に狭く、これがあの……となって笑ってしまう。
去年乗った中国の北京や上海の地下鉄は、どこも新しいので駅も広くて車両もでかいけれど、100年以上前に建設されたロンドンの地下鉄が狭いのは仕方がない。 乗っている人はみんなバリっとしたおしゃれな格好をしており、さすが太陽の沈まぬ国、イギリス連邦首都の地下鉄……とおもったが、車内でみかんをむいて食べてたりしてるひとがいたり、シートとシートの隙間にゴミがツッコんであったりして、なんとなく親近感はわいた。 ロンドンの地下鉄そのものについては、こちらの記事をご覧いただくとして、路線図の話である。 交通博物館で待ち合わす取材場所として指定された、コベント・ガーデンにあるロンドン交通博物館にやってきた。
おれのスキだらけのポーズが悔やまれるが、ここがロンドン交通博物館です
コベント・ガーデンは、もともと青果市場だった建物を改装したショッピングモールだ。ロンドン交通博物館は、その近くにある。
指定の時間よりすこし早めについたので、ミュージアムショップをみてみたのだが、これがことのほか血圧のアガる危険な場所だった。 コップ、Tシャツ、パスカードケース、枕、ボールペンにノート……とにかくありとあらゆるものがチューブマップ柄になっているのだ。 なんでもあるぞ、マップ柄のグッズ。気が狂いそう
ロンドンっ子、マップ柄、好きすぎではないか。まあ、ぼくも好きなんだけど。で、グッズはマップ柄だけにとどまらない。
チューブマップ柄のグッズがもりだくさん
駅名標がプリントされた子供用Tシャツ。なるほど「Angel」とか、ちょっとかわいい感じの言葉を入れて子供にこれを着させるのねー。と思ったら、本当に「Angel」という駅があるらしい。
アルファベットが印刷されたマグカップ
アルファベットが印刷されたマグカップ。別に地下鉄関係ないだろとお思いの方も多いかもしれないが、さにあらず。このアルファベットは、ロンドン市内のバスや地下鉄などの公共交通機関で使われる「Johnston」と呼ばれる書体である。つまりこれは、もじ鉄というやつだ。
何だこの柄は
このおしゃれな柄のクッション。地下鉄車両のシートの柄らしい。通訳をお願いしたロンドン在住の方が、「あー、これは地下鉄のシートの柄ですよ!」と感動してたので、多分そのとおりだとおもう。
とにかく、あの手この手でロンドン地下鉄のグッズを売りまくったろという強い意思は感じた。
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