米国株、ピーター・リンチ氏の基準なら割安に向かうとの分析が可能に

  • 利益の伸びで算出するPEGレシオ、株価上昇でも過去2年間に低下
  • 米企業の利益予想、アナリストは7年ぶりに新年に上方修正

米国株が割高なのは、すべての指標が示すも同然となっている。ノーベル経済学賞を受賞した米エール大学のロバート・シラー教授が普及させた景気循環調整後PER(CAPEレシオ)は、株式市場がドットコムバブルの時代を除き過去100年で最も割高であることを示す。CAPEレシオは企業の過去10年の平均利益を基に算出するPER(株価収益率)だ。

  だが強気派に歓迎される指標がないわけではない。伝説的な投資家、ピーター・リンチ氏が好むPEGレシオがそれだ。PEGレシオはPERを1株利益の成長率で割って算出する。

ピーター・リンチ氏

撮影: Michael Springer/Bloomberg

  例えば、米S&P500種株価指数のPERは現在23倍近辺にある。だが指数構成銘柄の利益は増加する見通しで、アナリストは今年の1株利益増加率を15%と、7年ぶりの高い伸びを予測する。さらにヤルデニ・リサーチとブルームバーグがまとめたデータによると、2023年まで年13%近くの増益が見込まれている。

  これをPEGレシオの計算に加えると、株価は実際のところ割安になりつつあるとの分析が可能になる。現在のPEGレシオは1.43で1985年以降の平均値である1.24を上回るが、2016年初めにつけた過去最高の1.72よりは低い。85年以降に同レシオが現水準より高かった期間は4回ある。

  184億ドル(約2兆700億円)を運用するハンティントン・プライベート・バンクのジョン・オーガスティン最高投資責任者(CIO)は、「確かに歴史的に見れば株式相場は間違いなく割高だが、企業利益だけでなく経済成長も加速している現在の環境は市場の注目を集めている」と述べた。

  今年は2010年以降で初めて、アナリストが企業の利益見通しを上方修正して始まった1年となった。それまでは7年連続で9月末に出した予想を翌年早々に引き下げる動きが続いていた。クレディ・スイス・グループで米国株チーフストラテジストを務めるジョナサン・ゴラブ氏は、税制改革の影響が浸透するのをアナリストらは待っているため、年内いっぱいは上方修正が続くとの見方を示している。

Earnings Optimism

Analysts raise estimates for the first time since 2010 heading into a new year

Source: Bloomberg

原題:Forget CAPE Ratio, Peter Lynch Tool Has S&P 500 Getting Cheaper(抜粋)

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