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滋賀

美術館の大津絵、数百円~8000円だった 展示に疑問の声

大津絵美術館を運営する円満院の宸殿=大津市園城寺で

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 大津市園城寺の円満院が運営する「大津絵美術館」に展示されている大津絵の一部を専門家が鑑定したところ、一点当たり数百円~八千円だったことが分かった。観覧者や地元住民からは「大津絵を冠した美術館なら、価値のある作品を並べるべきだ」と疑問の声がでている。

 鑑定されたのは、大津地裁が昨年十一月に差し押さえた二十六点。内訳は模写が五点で四千円~八千円、版画が二十一点すべてで二万円だった。差し押さえは、地裁が僧侶二人に仮払いなどをするよう寺院に命じた決定に対し、寺院側が従わなかったため実施され、十一日に売却先を決める。

 大津絵師の五代目高橋松山(しょうざん)さん(47)によると、江戸時代に描かれた原画では二百万円を超える作品もあるものの、「古美術として価値が高いのは、明治時代まで。それより新しいと価値が付きにくい」と話す。鑑定額が低かったのは、いずれも大正時代以降の作品だったためとみられる。

 寺院関係者によると、二十年ほど前に寺院が多額の負債を抱えた際、価値の高い大津絵は売却されてしまったという。観覧していた大阪市の四十代男性は「大津絵は民画だからピンからキリまであるだろうが、低い価値の展示は違和感がある」と語った。

 入場料は、国重要文化財の宸殿(しんでん)などの見学も含め、大学生以上五百円、高校生三百円、小中学生以下無料。円満院の担当者は「美術館は外国人も来て人気の施設。美術館は宸殿に付随した施設のため価格設定に問題はない」と説明した。

 (成田嵩憲)

 <大津絵美術館> 1971(昭和46)年、当時の門主らのコレクションを公開しようと開館した。宸殿に隣接し、1階で近くの三井寺を頻繁に出入りした江戸時代の絵師円山応挙らを紹介したコーナーがあり、2階に大正時代の版画を中心とした60点以上の大津絵を展示。掛け軸やうちわに描かれた作品もある。

 

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