夢追う若者が注目する「半農」という働き方

2018年1月10日(水)

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 農業に携わる人が減っている。2010年には約261万人いたが、2017年には182万人まで落ち込んだ。しかも65歳以上が121万人いる。農業従事者の3分の2が高齢者で、若者の就農者をいかに増やせるかが課題となっている。

 だがほかの産業から農業に転職するのはハードルが高い。機械化は進んでいるものの肉体労働が中心で、事務職からの転職は難しい。だが、ここにきて新しい働き方を提案することで、若者を呼び込もうとしている動きがある。自身の夢を追いかけながら、空き時間で農業に従事する働き方を受け入れようという動きだ。

 その代表例が米どころ新潟県にある。米を生産する農業法人、穂海農耕の実践だ。同社が手がけるのは業務用米で、協力農家を含め、1500トンの米を生産している。

 同社が採用した制度は、春から秋まで米作りに従事すれば、冬は出勤しなくてもよい、という仕組みだ。具体的には正社員として雇い、春から秋にかけて自社で農作業に従事してもらう冬期は長期休暇とし、スキーなど自分のやりたい仕事に就いてもらうのだ。穂海が社会保険料などを負担することで、自分の夢を追いかけながらも生活が安定する。丸田洋社長は「正社員になることでマイホームや自動車のローンも通りやすくなる。自分の夢をあきらめない働き方を提案したい」と話す。

 最近ではスポーツ選手の引退後の受け入れ先としても強化している。実際、プロスキーヤーやスノーボーダーだった人が働いている。「引退しても体力もあるし何より熱心」(丸田社長)という。

 丸田社長は大学卒業後、大手メーカーにエンジニアとして就職した。2年後に退職し、スキーコーチや雪山ガイドなどをしていた。だがシーズンオフとなる夏場は、アルバイトで食いつないでいた。この経験が変則的な働き方を導入するきっかけになった。ウィンタースポーツが盛んな新潟県にはこのような働き方の人たちがたくさんいる。丸田社長は事業拡大に合わせ、こうした働き方を希望する人材を増やしていく考えだ。

穂海農耕は冬場になると社員は農業を離れ、自分のやりたいことに集中する

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「夢追う若者が注目する「半農」という働き方」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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