北海道庁の内定辞退者が6割に達したことが大きな話題になっています。かつて公務員は安定している代わりに給料が安い仕事の代名詞でしたが、民間の給料が下がったことで公務員は今や高給取りです。人気の公務員で内定辞退者が続出しているのはどうしてなのでしょうか。

写真:アフロ

 北海道庁は2017年度の採用試験で採用予定者を大幅に上回る人数を合格させました。内定を辞退する人が6割にも達しており、これを見込んで採用者数を決めざるを得ないというのがその理由です。北海道庁の内定を辞退した人がどこに就職したのかについて正確に把握する手段はありませんが、各種報道によると、北海道庁ではなく、道内の市町村に就職している人が多いとのことです。

 学生の地元志向が強まっていることもありますが、市町村であれば大きな転勤はありません。北海道の場合、道庁ではなく札幌市役所に入れば基本的に職場は都市部のみとなります。生活の安定を重視し、広域を管轄する自治体には入らない方がよいと判断した学生が増えた可能性は高いでしょう。

 公務員志望者は、民間企業ではなく他の役所と併願する傾向が強いと言われていますが、首都圏の自治体では民間企業に流れるケースも多いようです。

 こうした傾向は今後、さらに顕著になる可能性が高いと考えられます。総務省が発表した2017年11月の完全失業率(季節調整値)は2.7%と、何と24年ぶりの低水準でした。このところ景気は多少、上向いていますが、これほどの低失業率は景気拡大だけでは説明できません。慢性的な人手不足が原因となっているのはほぼ間違いなく、そうであるならば、この傾向は長期にわたって継続する可能性が高いと考えられます。

 もっとも、売り手市場だからといって学生の就職活動がラクになるのかというとそうとも限りません。優秀な学生はより条件のよい職場を求めてさらに競争することになりますから、買い手市場の時と同じような努力が求められます。企業や役所の側はさらに大変です。自治体の中には内定者を引き留めるため、SNSを活用したり、イベントを開催するなど、民間企業並みの工夫を凝らすところも出てきています。

(The Capital Tribune Japan)