語り掛けるように写真の息子の田中蓮ちゃんを見つめる了士さん=1月7日夜、福井県越前市

 福井県越前市内の田中蓮ちゃん(3)が行方不明になり1月9日で丸1カ月。父の了士さん(30)が1月7日夜、現在の心境などを語った。

 【画像】田中蓮ちゃんを探す公開資料

了士さんとの主なやりとりは次の通り。

 ―今の心境は。

 僕のせいで蓮がいなくなり多くの人にご迷惑をかけている。(車内に子ども1人にしたことについて)自分の意識が低かった。悔やんでも悔やみきれない。今回のような事態が頭をよぎらなかった。

 ―行方に結びつく物や情報が出てこないことは。

 警察や消防、地域の人、面識のない人までが協力してくれているのに進展や手掛かりがない。歯がゆい気持ち。先が見えない。このまま一生見つからないのかもしれないと考えることもある。家族にとって今の状況は本当につらい。

 ―なぜ会社に連れていかなかったのか。

 土曜日だが出勤している人もいた。蓮は上手にあいさつできないし、小さい子どもを連れて行くことに後ろめたさもあった。罰が当たったと思っている。もしかしたら僕が車を出た後、すぐに追いかけてきていたのかもしれない。

 ―車に戻った時の状況は。

 車内に蓮の姿が見えず、助手席側が半ドアだったので、直感的に自分で出たんだと思った。(1人の蓮ちゃんが)事故に遭うのが怖くて、近くの住宅街や付近の通りを捜した。5分ほど後に妻、10分ほど後に警察に連絡した。

 ―川への転落の可能性は。

 当初は川の可能性が高いと感じた。しかし民間のプロのダイバーを含め、川の中を何度も捜してくれているのに服や靴など一つも出てこない。家族の中では川じゃない確率の方が高いと思っている。

 ―駐車場は人通りが少ない場所だが。

 小さい子が1人でいるのを見つけて、誰かが優しさから保護したのかもしれない。今も言い出せずにいるという可能性はあると思う。とにかく蓮を無事に帰してほしい。

 ―蓮ちゃんはどんな存在か。

 どれだけ疲れて帰っても蓮の顔を見れば疲労がふっとんだ。最近ますますかわいく感じていた。長女が昨秋に誕生し、蓮の風呂や寝かしつけは僕の担当。行方不明になる少し前、添い寝した後でベッドから出たとき、すぐに抱きついてきたことがあった。蓮は寂しがり屋だが、今では「僕を1人にしないで」という予兆だったのかと思う。

 ―大勢の人が捜索に協力してくれている。

 蓮のことを思い、動いて下さっている。ありがたいの一言。子どもが見つかった後、自分ができる恩返しをしたい。

 情報提供は福井県警越前署生活安全課=電話0778(24)0110まで。

CASA
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