「キリギリス」になれない日本人

前年より消費支出を「減らす」50%超

2018年1月9日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

とりわけ日本では、勤勉でぜいたくをしないアリが美徳とされてきたが…。
(写真:eyeblink/123RF)

「普通の人々」は今、消費支出について何を考えているか?

 消費者庁が月次で結果を発表している「物価モニター調査」は、全国の物価モニターの見取調査による生活関連物資の価格動向把握(特売品等の廉売価格を含む)など、文字通り物価に関する調査結果が主となっている。だが、参考として公表されている今後3カ月の消費支出を前年同期と比べてどのようにするつもりかをたずねた設問への回答も、筆者は毎回、必ずチェックするようにしている。それは、「普通の人々」が消費支出について何を考えているかが、実によくわかるからである。

 昨年12月20日に発表された同月の物価モニター調査(速報)によると、今後3カ月の消費支出を前年の同期間と比べて増やすか減らすかをたずねた設問への回答分布は、「増やそうと思っている」(8.6%)、「特段増やそうとも減らそうとも思っていない」(40.2%)、「減らそうと思っている」(51.2%)になった<■図1>。多数派は「減らそうと思っている」であり、2015年4月の調査以降、一貫して5割を超えている。日本人の倹約志向の根強さが浮き彫りになっている。

■図1:「物価モニター調査」消費についての意識をたずねた設問:「あなたの世帯の消費への支出額を、今後3カ月の間について、去年の同期間と比べてどのようにしていこうと思っていますか。1つ選んでください」への回答分布
(出所)消費者庁

 国民一般の消費支出に対する姿勢の違いから、日本人を「アリ」、米国人を「キリギリス」に例えることが、昔からある。米国の個人の貯蓄率の推移を見ておきたい<■図2>。

■図2:米国の個人貯蓄率
(出所)米商務省

コメント10件コメント/レビュー

景気は悪いですよ。株が上がれば景気がいいというのは、成り立ちません。
給料は上がらず、税金や社会保障費が大幅増、物価も上昇傾向で、実質賃金はどんどん減っています。
これで消費しろというのは、経済を理解していないということでしょう。(2018/01/09 12:07)

「上野泰也のエコノミック・ソナー」のバックナンバー

一覧

「「キリギリス」になれない日本人」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

景気は悪いですよ。株が上がれば景気がいいというのは、成り立ちません。
給料は上がらず、税金や社会保障費が大幅増、物価も上昇傾向で、実質賃金はどんどん減っています。
これで消費しろというのは、経済を理解していないということでしょう。(2018/01/09 12:07)

「所得が減ると思うから」と答えた人の所得とは、実際には可処分所得のことでしょう。
実際に、好景気と謳われている近年においても、実質所得と可処分所得は漸減している状況です。
バブル期が良いとは言いませんが、当時の状況も踏まえて、日本人が「キリギリス」になる為には、下記の条件が必要ではないでしょうか。
①不労所得も含めて、収入が支出を上回ること
②実感するレベルでの資産効果があり、その資産をキャッシュに変えやすい状況下にあること
③マスコミや世論が将来について明るい展望を語ること
④(結果かもしれませんが)将来や老後についての心配をしなくてもよいと多くの人が考えられる世の中となっていること
例えば、財政破たん論の様なありえない理論をマスコミが否定することや、(財政破たん論の否定と関連しますが)教育費や年金・保険を国債で負担して勤労世帯の負担を低減すること、消費税減税などで実質所得を増やすこと、もしくは労働分配率を向上させるような政策を実施する(派遣法の規制強化や法人税増税と労務費減税の組合せなど)ことなどが挙げられます。
いずれにしても現在は個人が景気回復を実感できるようなフェーズではないでしょうし、金利や実質所得が増加するまでは個人消費に期待できないという点は同感です。
ただ、そこで提言がないことが相変わらずの上野節ですね。
【あん肝】(2018/01/09 11:51)

日本では、バブル崩壊時に大事な自宅を銀行に取られ、さらに借金を背負った人々が、どうして預金より消費に走るでしょうか。米国のローンは、払えなければ自宅を差し出すだけで、借金ゼロから再スタート出来ます。人口が増え続けるので住宅価格も自ずと上がります。自宅担保で消費するのもよいでしょう。 つまりわが国の借り手責任100% と米国の借り手貸し手50%ずつの違いです。
 日本の銀行はリスクを取らず、リスクはすべてお客に振り替えています。火傷を負った消費者は、決して浮かれた消費には走らないですね。今でも銀行は危ない外国通貨建ての証券を一般主婦に売りつけ、高い手数料を稼いでいます。(泣いている人の数の多さ)
 金融業の人の意見など参考にはなりませんよ!(2018/01/09 10:53)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

どんな陳腐なネタでも光の当て方で輝いてくる。

内田 貴之 法政大学キャリアセンター課長