ブリーディング

外見上から雌雄を見分けるのは難しく むしろほぼ皆無。繁殖期に入ると数匹の群れを作って泳ぐようになるので、先頭を泳ぐのがメス、追尾して群れをつくるのがオスといったような見分け方になります。 メスの方が大きく成長し成熟までの期間が長いこと、多数飼いの必要があることから、国内での繁殖例は少ないようです。

ガーの繁殖期は、四季の温度変化がある地域では水温が上昇しはじめる頃に、雨期・乾期の地域では雨期の大雨による河川氾濫に促され始まります。
分かっている範囲の繁殖・産卵期、成熟年月は以下の通り。

成熟年齢 産卵期 産卵数 孵化日数
アリゲーター
オス:6年
メス:11年
4~7月 77,000~
 138,000
6~8日
マンファリ
メス:約50㎝ 春~夏 --- ---
トロピカル
--- 雨期後
4~10月
--- ---
スポッテッド
オス:1年
メス:1年
2~6月 1,772~
 13,789
7日
ロングノーズ
オス:3~4年
メス:4~6年
春~夏 ~30,000 3~9日
ショートノーズ
3年 5月中旬~7月頃 --- ---
フロリダ
オス:2年
メス:3~4年
2~4月 ~6,000 ---
 US イリノイ州 付近
州の大半は夏暖冷帯湿潤気候(Dfa) 暑く湿潤な夏~冷涼から寒冷までの冬
南部は温暖湿潤気候(Cfa) 冬は温暖。
 US バージニア州 付近
州の大半は温暖湿潤気候(Cfa) 年間平均気温:14℃ (夏:27℃~冬:4.5℃)
関東地方と非常によく似た気候らしい


 US ミシシッピ州 付近
温暖湿潤気候(Cfa) 年間平均気温:18℃ (夏:27℃~冬:10℃)
温暖で四季がある。
 US フロリダ 州 付近
雨期:5~10月 乾期:11~4月 年間平均気温:24.6℃
北部・中部の気候は亜熱帯多湿の温暖湿潤気候(Cfa)、南部はサバナ気候(Aw)。6~11月にかけてハリケーンが発生
 キューバ
雨期:5~10月 乾期:11~4月 年間平均気温:25℃
雨期の雨は短時間スコールで降り続くことは少ない
 メキシコ
雨期:5~10月 乾期:11~4月
亜熱帯の海岸、砂漠や高原、ジャングルなど地域により気候差がある。ハリケーン通過時は1日の中で最高・最低気温差が約10℃になることも。
 グアテマラ
雨期:5~10月 乾期:11~4月
雨期の午後はスコールの様なまとまった雨が降り、ハリケーンの発生しやすいのもこの時期。
 ニカラグア
雨期:5~11月 乾期:12~4月
低地のカリブ海側や太平洋側の低地部は年平均気温30℃の熱帯、中央盆地の平均気温は25℃前後。年間を通して大きな変化はない。雨期の午後はほぼ毎日雨が降り蒸し暑くなる。
 コスタリカ
雨期:5~11月 乾期:12~4月 両方の季節ともに低地の平均気温:25~30℃

繁 殖 → 産 卵 → 孵 化

産卵期が近づいてくると1匹のメスに数匹のオスが取り囲むように集まるようになり、一婦多夫の群れをつくりあげます。 群れのオス達はケンカする事なくメスに寄り添うように泳ぎ産卵場所まで移動すると、浅瀬の砂利や岩場、水草、流木などに直径4㎜ほどの緑色の卵を産み付けます。 産卵行動は3~9日の間に何回か分けて行われます。

ガーの卵
ガーの卵は強い粘着力があるため、孵化まで水に流されることなくその場に留まります。 またこの卵の厚いゼラチン質は有毒で、哺乳類が誤って食べると食中毒のような症状をひきおこします。 実験投与されたマウスが致死的に作用するほど毒性は強いですが、哺乳類より捕食する可能性の高い魚類に対しては無毒で、生態学的にどのような意味をもつのかは不明なところです。
ガーの卵

7日~10日ほど経過すると、短い吻と尾ひれの上葉部だけ伸びたような仔魚が孵化します。 孵化したばかりの仔魚の吻(ふん)の先端には粘着腺があり、流木や水草の裏などにくっついて卵黄嚢を栄養に成長します。
ガーの卵
多くの条鰭類の魚類より栄養価の高い卵であることや、孵化したばかりの仔魚でも飢餓耐性に強いことから、自ら捕食できるようになるまでの間に、より大きく成長できるため仔魚期の生存率は高いようです。
やがて卵黄嚢の全てを吸収してしまうと、ボウフラやミジンコ その他の動物プランクトンを捕食するようになり、成長スピードもぐんと伸び、1日に1㎜~4㎜ずつ成長していきます。
スポガーの稚魚
孵化後1週間で、擬態模様の数本の縦ラインが入りはじめ、小枝や水草に擬態して隠れ、捕食者から身を守ります。硬鱗も確認できるので少しだけガーらしい姿になります。
さらに食欲旺盛になり活発に泳ぎまわって水生昆虫や小型の甲殻類・魚類を捕食し、ときには自分より小さなガーの仔魚も狙うようになります。