古代魚としての系統

硬骨魚の分岐点

初期の硬骨魚が登場した中生代 デボン紀。すでに海水域には捕食者が闊歩していたため、安全な大陸内部の淡水域に生息していました。 広大な海水域と異なる過酷な水域でしたが、適応した体構造を手にしたとき、地球史の中で登場したどの魚類たちも生息することのできなかった環境にも適応するようになっていました。 彼らはその骨格から硬骨魚とよばれ、筋肉と関節のヒレを持つ肉鰭綱、鰭条のヒレを持つ条鰭綱に分類されています。

肉鰭綱 シーラカンス目  1目1科2種
デボン紀に出現。内骨格は ほぼ軟骨で形成、胸ビレ・腹ビレは手足のような関節でつながる骨に筋肉がついた肉鰭、頭骨・背骨なども魚類より原始的な両生類に近い構造をしている。 現生種のシーラカンス目 ラティメリア科(Latimeriidae)は、エラ呼吸のみ行い、ウキブクロには脂肪質が充満している。
肉鰭綱 肺魚亜綱  2目3科3属6種
デボン紀初頭に出現。内骨格は軟骨と硬骨で形成、胸ビレ・腹ビレは肉鰭。 幼魚期には呼吸を助ける両生類の幼体と同じ外鰓(がいさい)があり、成長とともに肺が発達すると四肢動物と同じ内鼻孔を使い空気呼吸を行う。 左右に分かれた心臓により体循環と肺循環を行う血液循環系、一部の骨格は両生類に近い構造をしている。
条鰭綱 腕鰭亜綱  1目1科2属 種
肉鰭綱と古い系統の条鰭綱の中間に位置し、両方の特徴を合わせ持つ。胸ビレには肉鰭を持つ。空気呼吸を行うが、幼魚期には呼吸を助ける両生類の幼体や肺魚亜綱の幼魚と同じ外鰓(がいさい)がある。 軟質の内骨格や初期発生は肉鰭綱や条鰭綱 軟質亜綱と類似する。ガノイン鱗は新鰭亜綱の一部と類似。
条鰭綱 新鰭亜綱  41目429科 約4000属
ナイティア
Knightia sp.
現在大繁栄しているグループ。魚類の95%を占めている。新鰭亜綱の中で古い系統の全骨類 ガーパイク目・アミア目、真骨類 オステオグロッスム目の他に 軟質亜綱のチョウザメ目もココに含まれている。
内骨格は硬骨で形成され、多くは 3~4対のエラ、第5鰓弓が下喉頭骨に変化、歯と平たいヒレを持っている。

生物種の遺伝子の総和をゲノムと呼び、全ての遺伝情報はココに収められています。 遺伝子の並び順は基本的な構造や機能を保ちつつ進化の過程で一部分が逆転したり、染色体が分裂・融合しながら少しずつ変化し、 種間が近ければ少しだけ異なり遠ければ大きく異なります。例えるなら ヒトとテナガザルは似ていますが、ヒトとメダカは大きく異なっているようなもの。
近年では多くの脊椎動物・無脊椎動物ゲノムを解読し、それらを比較することで生物進化を解析する有力な手がかりとしてきました。 条鰭を持つ魚類が登場し、初期段階で肉鰭綱と条鰭綱が派生出現、その条鰭綱の初期に腕鰭亜綱が派生、続いて軟質亜綱 チョウザメ目と内骨格の硬骨化が進んだ軟質亜綱 ガー目・アミア目が同時期に派生したと考えられています。

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