はじめに
アニメ好きにとって好きなアニメを他人に話すという行為は自己紹介に等しい。
真っ先に「自分はガンダムやコードギアスが好きです」と言えば軍事系のロボアニメを好んで視聴しているということだし、「ごちうさやきんモザが好きです」と言えば女の子たちの日常を描くアニメが好きということがわかる。
若い女性が「ワンピースやナルトが好きです」と言えば大抵のオタクたちは「ああコイツはニワカだな」と連想するだろうし、そのあとで「好きなカップリングはゾロサンとナルカカです」と女性が付け加えれば、彼女がアニオタ一年生ではなく腐海より舞い降りた貴婦人ということをオタクたちは察することだろう。
このように「自分の好きなアニメを他者に知ってもらう」という行為は、アニメオタクたちにとって名刺交換、つまりは自己紹介に等しい効果をもたらす。
そんなわけで今回は僕がアニメ作品を意識的に視聴し始めた2007年から2017年の間に僕が視聴したアニメの中から、ジャンル一切不問で「何も考えずに挙げた好きなおすすめアニメ10本」をご紹介する。
これが、「ニコニコブロマガからの転校生である僕の自己紹介」である。
作品一覧
- プリンセス・プリンシパル
- 瀬戸の花嫁
- 血界戦線
- 探偵オペラミルキィホームズ
- 人類は衰退しました
- のんのんびより
- 城下町のダンデライオン
- Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-
- フリップフラッパーズ
- 結城友奈は勇者である
※番号はあくまで紹介する順であって、好きなアニメ順だったりおすすめ度合い順というわけではありません。
1.プリンセス・プリンシパル 2017年
「嘘つきは、スパイの始まり」
どれくらい面白かったかというとあまりに面白すぎて解説動画なんて恥ずかしいものを作ってしまったくらい。(良い子はマネしないようにしましょう)
→プリンセス・プリンシパル 第一話 解説&考察動画 【モザイク版】 by あまくり - ニコニコ動画
覇権国家となるも、革命によって東西に別れてしまった架空のロンドンを舞台に、影で暗躍するスパイ達の物語。
スパイ×美少女×スチームパンクというマニアックな設定の上、放送局は少なく無料配信がニコ生のみ、さらに一話完結型とはいえストーリーごとの時系列がシャッフルされている難解な構成という人知れず消えていく爆死アニメのお手本のようなムーブを見せつけたこの作品。
が……断言できる。2017年アニメ作品の中で間違いなくトップクラスに面白かった。
『嘘』をテーマにやさしさと厳しさがうまい具合で混じりあった伏線盛りだくさんの緻密な脚本。
それらの雰囲気を壊さないギリギリまで攻めたアクションや演出。
黒星紅白の可愛らしい絵柄と声優の熱演よって作り上げられたキャラクター達。
物語を盛り上げてくれるメカデザイナー渾身のスチームパンクガジェット達。
リサーチャーの監修によって、架空ながらもリアルさを兼ね備えている世界観。
一度見ただけでは決して拾いきれないほど細部のいたるところにちりばめられた要素の数々。
そして、ありとあらゆる百合厨が灰燼に帰した主人公アンジェ(左)とシャーロット(右)による超ド級高火力の「尊い百合」
これらの濃い要素を全12話毎週叩きつけてくるのである。面白くないわけがない。
「かわいい女の子が活躍するところが見たい!」
「でもよくあるキャッキャしてるだけじゃないちゃんとした作品が見たい!」
そんなわがままな欲望を持った僕のような人は絶対に見た方が良い。
そこには理想のアニメが待っていることだろう。
2.瀬戸の花嫁 2007年
「『任侠』と書いて、『にんぎょ』と読むきん!」
人魚の極道「瀬戸内組」の一人娘『瀬戸燦』とごく普通の中学生『満潮永澄』がひょんなことから許婚の関係となってしまう学園ラブコメ。
「何でもいいからおすすめアニメは何?」と人に訊かれたら真っ先に挙げるのがこのラブコメアニメ。
10年以上経った今でも次回予告だけで笑って泣けるのはこの作品くらい。
(水島大宙が叫んでるだけなんだけどなあ……)
おすすめの理由はいくらでもあるのだが、まずキャラクターたちが真っ直ぐで嫌いになるようなキャラが一人もいない。
さらに任侠ものということもあって「極道の女」たる女性陣がとにかくカッコイイそしてめっちゃ可愛い。基本バカでろくでなしな男性陣も決めるときはキッチリ決めてきてくれる。
脚本も素晴らしく、分単位で差し込まれるアニメ、任侠、洋画パロディと秒単位で差し込まれるギャグが声優達の怪演と共にテンポよく津波のように押し寄せ、よじれた腹を治す暇すら与えず、きちっと甘々なラブコメもこなしながら、少年漫画的くそ熱い展開も見せてくれる、ラーメン大盛トッピング全部乗せライス付きみたいなアニメ。
特に2クール目は13話で「実質最終回じゃねーか」と言われ上がりに上がりきったハードルを毎週のように飛び越え、本当の最終回に至っては「原作すら超えた」とまで評された怒涛の展開が待っている。
笑って、燃えて、泣ける、ハイテンションラブコメの基本にして真理を完璧に体現した作品である。
3.血界戦線 2015年
4.探偵オペラミルキィホームズ 2010年
「美しさを競い合う二つの花、その名を『探偵』と『怪盗』といった」
『現代に甦ったギャラクシーエンジェル(アニメ版)』とまで言われた原作ゲーム雰囲気完全無視パロ盛りだくさんのハイテンションギャグアニメ。
可愛らしいキャラデザインと作画、まだギリギリ理性を保っていた1話からはとても想像できない顔芸や30代以上にしか伝わらないようなパロネタの応酬、どう考えてもスタッフが狂っているとしか思えないストーリーや演出で視聴者を虜にする。
さらにこのアニメ、10話から最終回Aパートにかけては熱い展開の応酬で冗談抜きに感動できてしまうので本当に、本当にタチが悪い。
そしてこのアニメを話すにあたって外せないのが伝説の第4話。
この「ジブリネタが津波のように襲ってくる」というありとあらゆる意味で危ない回で人気に火が付き、その後も順調に狂い続け人気が加速、最終的にその脅威の追い上げっぷりは、ダークホースアニメを意味する「ミルキィ枠」という単語が誕生したほど。
一言でいえば『狂気の沙汰ほど面白い』を地で行くアニメ。
え、というかこのアニメもう7年以上前なのか……。
5. 人類は衰退しました 2012年
「人類は本日も絶賛衰退中♪」
急速に発展を遂げていた人類が、特に何が起こるでもなく緩やかに衰退した世界。
新人類である妖精さんの引き起こす珍妙不可思議な事件に、妖精さんとの調停官である旧人類「わたし」が巻き込まれていく話。
ファンタジックでのほほんとした世界観のなかで、ノベル原作者の田中ロミオの得意とするシニカルでダークなセリフ回しがスパイスとなり独特な雰囲気を醸し出している。
SFの要素をちりばめつつ、人間そのものや人間社会の嫌な所をさりげなく突いてくるストーリー(それでいて説教臭さはない)が特徴で、テンポいいブラックジョークで面白おかしく笑っていたら、ふっと本当の意味に気付いて背筋が寒くなる――かもしれない作品。
何より主人公である「わたし」の腹黒いがどこか人間臭さが抜けきらないキャラクターが中原麻衣の演技も相まって非常に魅力的で最高。
……というか作品におけるセリフの多分7割くらいが中原さんのセリフなので、ずっと中原さんの声を聴いていられる。
正直、この時点で名作であると言わざるをえない。
6.のんのんびより 2013年
「にゃんぱすー」
実はきらら枠でも4コマ枠でもない日常アニメ。
緩やかな田舎に暮らす4人の少女とその周りにいる人々を描いたお話。
これは決して、キャラの関係性や見た目だけが売りの粗製濫造作品ではない。
とにかく間のとり方やセリフ回し、キャラごとの距離感が絶妙な作品。
またキャラはそれぞれ個性的だが、話自体は自転車を練習する話や友達の家にお邪魔するお話など、田舎や子供たち特有の誰もが一度は経験するありふれたネタが多い。
だが、なぜか笑える。そしてなぜか時折泣けてしまう。
(誰もが経験するようなネタだからこそ笑ったり泣いたりできるのかもしれない)
アニメ的な演出のところどころに入る「お風呂のフタ閉じた?」や「ちゃんときれいにしなさいよ」というあるあるでさりげない一言が「田舎で普通に暮らしている」のを感じさせてくれる。
田舎に帰った時の、まさに「実家のような安心感」を与えてくれる作品である。
7.城下町のダンデライオン 2015年
「つまるところ私達一家は この国を治める王家の一族なのです」
実はきらら枠で4コマ枠だったりする日常アニメ
日本とよく似たとある国の王族たちの日常を描いたお話。
まず、主人公が可愛い。
王族、選挙、超能力、学園、大家族と普通なら間違いなく盛り過ぎと言われるくらい多くの要素が詰まっているが、なんと驚くことに死に設定が一つもない。
王族なのに視線恐怖症で人見知りな三女、櫻田茜を中心として一癖も二癖もある9人兄弟がストーリーを織り成していく。
日常ものというよりは、いわゆるファミリーものの側面が強く、くすっと笑わせに来たかと思えば、家族ネタや兄弟ネタで時々泣かせに来るのが本当に卑怯。
また国王選挙という制限時間ギミックがあるため、いわゆる「時間の止まった」日常ものとは違い「成長」や「変化」が重要な要素としてかかわってくる。
まさに「王道」な作品です。
……正直1話はちょっとパンチが弱くて微妙なので2話までは見てください。
ホント、ホントお願いします……。
8.Occultic;Nine -オカルティック・ナイン- 2016年
「――世界は インチキで 溢れてる!」
シュタインズ・ゲートの生みの親である志倉千代丸の小説が原作のオカルティックサスペンスアニメ。
9人の登場人物がとある出来事をきっかけとして、オカルティックな事件に巻き込まれていく物語。
速い、とにかく速い、アニメ全体のテンポがすさまじく速い。
しかし明らかに足りない尺で無理に詰め込んでいるのがわかるのに不思議と説明不足感は感じない。
(とはいえそのスピードと情報量はプリンセスプリンシパル同様とても一度で見切れるものではない)
12話という尺とタイトルと画面とセリフを限界まで使いこなし、それっぽい単語と伏線と緊張感をばらまきながら楽しませてくれる。
また演出や展開が海外ドラマを強く意識しており、その系統が好きな人やオカルトネタが好きなら間違いなくハマることだろう。
僕は第1話のバラバラな9人の行動がラスト3分で一つの線となり次回に繋がる展開で一気に引き込まれてしまったので、もし試しに見るのならぜひそこまで見てほしい。
9.フリップフラッパーズ 2016年
「突き抜けよう!この世界を! ふたりなら、どこにだって行ける!」
パピカとココナ、二人の主人公が「ピュアイリュージョン」と呼ばれる様々な異世界を冒険するお話。
公式では主人公のパピカとココナによる「SF冒険活劇」と銘打たれているが、
・全体的な雰囲気はプリキュアのようなニチアサアニメ。
・冒険の舞台となる異世界「ピュアイリュージョン」は幻想的な美しい風景でありがらどこか奇妙なおかしさや恐ろしさを内包している。
・実は設定はかなりブラックなSF。
・人間関係や過去にも不穏さや狂気がちらちらと見え隠れしている。
などなど、一言では語りつくせない設定や要素が数多く存在する。
しかも「ピュアイリュージョン」はその世界ごとに雰囲気や世界を縛る法則が全く違うため、話数によって雰囲気や話のスタイルがかなり違う。
(具体的にいうと3話で北斗の拳のような世紀末アクションをやったかと思えば5話は露骨なホラー回、8話ではロボットアニメになっている)
「様々な世界を運命によって惹かれあった2人の女の子が冒険する」とでも言うのだろうか?
えっと、なんていうか……その……面白いんだよ!
……色々小難しい要素も多くかなり人を選ぶ作品だが、動きまくる迫力満点のアクションシーンや背景の美麗さ、細々とした所作の美しさなど作品全体の実力は間違いなくホンモノ。
2人の女の子が喧嘩したり落ち込んだり、大きな壁にぶち当たりながらも、仲睦まじく冒険している姿をどうか一度見守ってみてほしい。
10.結城友奈は勇者である 2014年
神世紀300年、「勇者部」と呼ばれるボランティア部に所属する、少女達が世界を守るべく本物の「勇者」となる物語。
可愛い女の子たちのかけがえのない日常と、その中で見え隠れする不穏さや異質さ。
どこまでも優しくて他人想いな五人の女の子と、どこまでも残酷な現実。
相反する要素が「勇者」というキーワードを主軸に絶妙な匙加減で描かれている。
声優の喉が心配になるレベルの熱い演技、神々しいBGM、細部まで作り込まれたハードSFのような世界観、全く読めないストーリー展開など見どころは山のようにあるが、やはり一番の魅力は『決して諦めない少女たちの強さ』だろう。
確かにこの作品はラストの展開など、決して理屈にあっているとは言い難い部分もある。
だがそれらが全く気にならない圧倒的なパワーをこの作品は持っている。
理屈の上ではどうしようもない問題に対して、時に悩み、時にくじけそうになりながらも、諦めず、「うるせえ黙れ」と言わんばかりに真っ向からぶん殴って破壊していく少女たちの姿は子供の時に戦隊ヒーローや魔法少女に夢中になっていたあのころの感動によく似ている。
これも人を選ぶ作品だが、ハマる人には徹底的にハマるタイプの作品だろう。
以上、10作品である。
傾向としては、ぱっと見「女主人公」や「女性が強い」作品が多いので、そういう系統の作品に弱いのは間違いないだろう。
おそらくこのブログで取り上げるアニメもそういうものが中心なると思われる。
それにしてもなんというかまあ……おすすめ記事にしては私情が挟まりまくっていて何とも言えないし、自己紹介にしてはジャンルが割とバラけててどうしようもない感じではある。
だが少なくとも僕が面白いと感じたのは紛れもない事実だ。
もし、この記事を読んで1人でもこの作品たちのファンが増えてくれたのなら、作品のファンとしてこれより嬉しいことは無い。