イスラエルとヨルダンの国境にある死海。ヨルダン川の終着地点でもあるこの湖の水は、外海の10倍ほど、約30%になる塩分を含んでいる。
死海沿岸の一部は観光化されている。補助器具なしに死海に浮かぶ人や、泥浴をする人の写真は、おそらく多くの人が目にしたことがあるだろう。
しかし、そのような光景は、死海の持つ様々な姿のほんの一部でしかないのだ。このたび、死海のまた別な顔が、ドローンによって撮影された。
地球上とは思えないほどの異世界を見ているようだ。
撮影したのは、イスラエルの写真家、ツヴィカ・シュタイン氏だ。
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地上では撮影が困難な死海の全貌
死海は私の気に入りの撮影地で、しょっちゅう撮影に出かけています。塩の構造体にも、すばらしい水面の反射にも魅了されまして
と語るシュタイン氏だが、実は、一部の観光地を除き、死海付近はアクセスが容易ではない。徒歩で到達できる範囲の向こうには何があるのか、それを知りたいというシュタイン氏の熱意が、このような、鮮やかな写真という形で結実したのである。
「近年では、この付近を歩き回るのは危険と考えられています。まあ、敢えて行う写真家もいますけどね」とシュタイン氏。観光地化やミネラル製品の工場などによって、死海の水位は急速に下がっており、残った水溜りの周囲では崩落の危険が増しているのだ。
「私自身は、徒歩で撮影して回るのは安全な地域内のことにして、遠くの水溜りの撮影は、安全な場所からドローンを操縦して行っているのです」
異世界のような、抽象画のような世界
ドローンによる撮影は、シュタイン氏に新しい視点をもたらした。
「魅惑的な体験でした」とシュタイン氏は語る。「この付近の空中撮影は最近始めたのですが、乾燥した地域の上空で、驚異的な形状と色に出会いました。抽象的な絵画のようです」
image credit: Tzvika Stein/Bored Panda
「しばらく見とれた後に、脳が見慣れた図形を探し始めました。最初に見つけたのは、ハート型と、目です」
まるで着色されたような土壌と水の色。でもこれはリアル
だが、写真に収められた死海の光景がすばらしいのは、見慣れた形があるから、だけではもちろんない。
image credit: Tzvika Stein/Bored Panda
土壌と水の色が最も驚きだった、とシュタイン氏はいう。「地面からでは気づきにくいのですが、強い日差しの中で上空から見ると、それぞれの色がとても生き生きと見えるのです」
「赤や緑、黄、それらと並ぶ青を見るのは、私の目にとっても特別なできごとでした」
image credit: Tzvika Stein/Bored Panda
シュタイン氏の一番のお気に入りの写真は、ハート型の水溜りの写ったものだそうだ。水の色が好みであることが一番の理由だが、一番多くの閲覧者を集めてくれたということも、理由のひとつに数えられるそうだ。
シュタイン氏の撮影した写真は、フリッカー、インスタグラム、フェイスブックなどで閲覧可能だ。死海のみならず、世界各地の様々な光景や、動物たちの写真が並んでいる。
via: Lonely Planet / Mental Floss / Bored Panda など / translated by K.Y.K. / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
大理石の様な、マーブリングの様な…凄いな
2. 匿名処理班
サムネが可愛らしいフォントで「V.X」と書かれてるみたい。
3. 匿名処理班
青は工場廃液の色だな
かなりひどい
中国にもあるね
4. 匿名処理班
健康状態がなんであれ、生きた地球の姿だね。
5. 匿名処理班
※3
周囲の土壌と水の塩分濃度が塩害とか言うレベルじゃないので周囲は工場どころか観光以外建物も建ってない、写真の青は空のを反射してたり光彩の関係でなってる、もっとも現地人が生活排水を棄てて汚い所もあるけど、中国のような科学薬品ではない
6. 匿名処理班
補則するとミネラル製品として需要のために死海の水の需要があってタンクで大量に採集するのが増えたのが原因で、付近はそういう採集可能な死海の一部が雨季や降水量で水面高さが上下するので工場はなかったはず、この辺りの地域では塩害で鉄筋コンクリートが持たない
7. 匿名処理班
左側の湖がハート型になってるのでデートスポットになること間違いなし
8. 匿名処理班
凄いな…馴染みの無い奇抜な色合いだ
9. 匿名処理班
将来的には死海は干上がりそうですな。
10. 匿名処理班
衛星写真とどう違うん?もっと人目線とかで撮れや無能カメラマン