ゴールデングローブ賞でスターの衣装は黒、黒、黒 性的暴力に抗議
米ロサンゼルスで7日、ハリウッド外国人映画記者協会がテレビ、映画の優秀作品を選ぶゴールデングローブ賞の授賞式が開かれた。例年は華やかな色のドレス姿が居並ぶ会場は、今年は性暴力被害者との連帯を示す黒衣姿の女優たちであふれた。テレビドラマ部門の作品賞には、近未来の独裁国家による女性の抑圧を描く話題作、「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」が選ばれた。
式典に出席した女性の多くは、性的加害行動とその容認や沈黙を糾弾する「タイムズ・アップ」運動を支持し、被害者との連帯を示すため、黒いドレスを着ていた。多くの男性も黒いスーツに黒いシャツとネクタイで黒一色にするか、ないしは「タイムズ・アップ」などのピンバッジをつけていた(以下、特に記述がなければ名前は写真左から)。
「アウトランダー」のカトリオーナ・バルフェさん、「ウィル・アンド・グレース」のデブラ・メッシングさん、「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」のイボンヌ・ストラホフスキさんも、黒いドレスで登場。
歌手ケリー・クラークソンさん、「This is Us」のマンディ・ムーアさん、「ゲット・アウト」のアリソン・ウィリアムズさんのように、黒に少し色を足した人たちもいた。
エンターテインメント業界の性的加害行動や性の不平等と闘う、「タイムズ・アップ」や「50:50」運動のピンやバッジをつけた人も大勢いた。上の写真では、「ストレンジャー・シングス」のデイビッド・ハーバーさん(左)とウィリアム・H・メイシーさんが「タイムズ・アップ」のピンをつけているほか、「ザ・クラウン」のクレア・フォイさん(中央)が「50:50」のバッジを袖口につけている。
ジェシカ・チャステインさん、ジリアン・アンダーソンさん、ミリー・ボビー・ブラウンさんは黒一色を選んだ。
ケイト・ハドソンさん、アリシア・ビキャンデルさん、リリー・ジェイムズさんも黒いドレスだった。
ザック・エフロンさん、アビー・コーニッシュさん、アンセル・エルゴートさんも黒一色を着て連帯を示した。
ドイツ人女優のベロニカ・フェレスさん、エマ・ストーンさんとストーンさんが演じたテニスの女王、ビリー・ジーン・キングさん、シャロン・ストーンさんも黒を選んだ。
自分を題材にした映画が話題の元フィギュアスケート選手、トニア・ハーディングさん、マギー・ジレンホールさん、レナ・ヘディさんも抗議に参加。
リーズ・ウィザースプーンさん、エバ・ロンゴリアさん、サルマ・ハイエックさん、アシュリー・ジャッドさんも黒で連帯を示した。
アンジェリーナ・ジョリーさんと息子のパックスさん、性暴力被害者に連帯を示す「#MeToo」運動を2006年に立ち上げた人権活動家タラナ・バークさんと並ぶ女優ミシェル・ウィリアムズさん、アメリカ・フェレ-ラさんとナタリー・ポートマンさんも、黒い盛装だった。
ニコール・キッドマンさん(右)と夫でミュージシャンのキース・アーバンさんも黒の装いで連帯を示した。
ゴールデングローブ賞の映画部門は、アカデミー賞の前哨戦とも言われる。マーティン・マクドナー監督・脚本、フランセス・マクドーマンド主演の「スリー・ビルボード」が映画(ドラマ)部門の最優秀作品賞と脚本賞、主演女優賞、助演男優賞を受賞。映画(コメディ・ミュージカル)部門では「レディ・バード」が最優秀作品賞で、シアーシャ・ローナンさんが主演女優賞を得た。最優秀監督賞には「シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロ監督が選ばれた。
テレビドラマ部門では、女性が一切の人権を奪われ「産む機械」にされる近未来の神権独裁国家を描き、社会現象ともなっている「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」が、最優秀作品賞と主演女優賞を獲得した。テレビドラマ部門の主演男優賞には、「This is Us」のスターリング・K・ブラウンさんが史上初の黒人男性として選ばれた。
映画界への長年の功績をたたえる「セシル・B・デミル賞」を、黒人女性として初めて受賞した人気司会者・女優・実業家・プロデューサーのオプラ・ウィンフリーさんもやはり黒いドレス姿で登場。自分は独裁や抑圧と戦い、真実や自由と平等のために戦うと強調した受賞スピーチで、差別に抵抗してきた黒人や女性を次々と称え、「#MeToo」運動への連帯を強力に示した。
(英語記事 Golden Globes 2018: Stars wearing black on the red carpet)