教育の淵源

2016年11月01日

1.     教育と学校の存在について

(1) 教育の存在

 西郷隆盛「偶感」

 幾たびか辛酸を歴て志始めて堅し

 丈夫玉砕甎全を恥ず

 一家の遺事人知るや否や

 児孫の為に美田を買はず

 

明治維新の元勲、西郷隆盛はこのように詠って

います。要するに財産を残すことよりも精神を

残せということであります。この流れこそが教育

の必要性であります。ではどのような精神を残す

のかということが大切になります。

元来教育は人を育てる事であると言われています。

親がいなくても子は育つことが出来、学校へ行か

なくても働けば食べて行けるのです。

 しかし学校があり教育が存在するのは、「善く

育てたい。」という目的があるからです。人生観に

理想があり、価値観に善悪があり、国民生活に

理想と目標があるからこそ、特にこのことについ

て確信があるからこそ、学校が存在し教育が存在

するのであります。我々に次代の青少年を「この

ように育てたい。」という目標と信念がなければ、

学校も教育も存在しないのです。ということは

地球の在り方、日本の在り方、地域の在り方、

家族の在り方、要するに「世界諸国民国際的共存

の現状に於て、『世界の平和と人類の福祉』に

貢献せんとする我が祖国民の協力の世活を如何に

導くべきか。」

この重大事に関する原理定まる時、教育は初めて

存在の理由を生じます。私の経営する日本航空学

園は、次のような信念で教育活動をしたのです。

歴史的発展に因って生まれ来た一国民に特有な

国民文化がないならば、教育の必要はありません。

又教育を行わんとした所で教育の力の湧き出づる

源がない。国民文化を創造する所の伝統的国民精

神、これぞ教育の本体です。国民精神の威力に

よって、国民精神を将来に伝えるのが教育であり

ます。教育の本質は、祖国民不朽の生命の伝達で

はないでしょうか。

 私の祖父義三は、「航空教育を通して愛国の

精神を培う。」と決めて日本航空学園を創立し、

父鋭蔵は次の校訓5箇条を、生涯を通して説き

ました。

校訓

一、礼節を尊び忍耐努力の精神を体得すべし

一、熟慮断行以て風林火山たるべし

一、至誠一貫信義を重んずべし

一、質実剛健文武両道に徹すべし

一、敬神崇祖以て伝統を承継し祖国を興隆すべし

 

(2) 教育の目的

 国民精神の威力によって、文化を伝えるのが教育

であります。西郷隆盛の「偶感」から思うことは、

独立自営、財力に勝る精神の力を如何なる困苦にも

負けず万難を排除して我が意図を貫かんとする土根

性から来る業績を、名を残したかったのであります。

 「武夫は玉も黄金も何かせん、命に代へて名こそ

惜しけれ」

 人間は所詮死にます。その死期が来たなと気が付

いた時、我々は何を感じるのでしょうか。我々の

後輩が、子供が教え子が、民族伝統の精神を受け

継ぎ、正の為、義の為には命をも捨てる覚悟を持ち、

「後は引き受けます。」「これからの世界は、

日本はお任せ下さい。」と言うに及んで我々は安心

して死んで逝けるのではないでしょうか。

 吉田松陰は幕府によって捕らえられ、江戸送りに

なって、小塚の原で打ち首となりました。処刑

される直前、幕吏に頼み、塾生伊藤俊助

(伊藤博文公)に辞世の歌として

  身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも

  留め置かまし 大和魂

と書いて送り、従容として死に就きました。吉田

松陰は萩の松下村塾で僅か2年半という短期間の

指導にも拘わらず、幾多の明治維新の基幹となっ

た人物を育てました。松下村塾八畳の間は現在の

幾千、幾万坪の大学より遥かに偉大であります。

教育は、肉体の命より大切な精神の命を子孫に伝

える働きであります。国際問題も経済問題も政治

も、次代に引き継ぐ子孫の為にあるのです。唯こ

の事の為に意義があるのですから、教育ほどまた

学校ほど重要なものはないのであります。学校は

人間を作るのであり、品物の製造工場ではありま

せん。

 学問学習の目的は「生きる力」を習得すること

にあります。日本人としての生き方、国際人とし

ての生き方。家族の一員としての生き方、企業人

としての生き方等を学び、健康なる肉体を作ること

が必要です。知識、技術、道徳、健康等を備えた

人を養成することに、その目的はあります。しか

し多くの父母、学校の先生が心得違いをしており

ます。

 我が子や教え子の学校選択時に「あの学校は進

学率が良い。」「有名だから。」などと言って指導

していることです。有名大学に何人入れるかによっ

て、学校の価値が判断されているのです。良い

小学校(進学の)から良い中学校(進学の)、そし

て良い高校(進学の)から良い大学(有名で就職

の良い)に進めることにしか頭がないのです。

求める所は安易なる生活、地位、財産、名誉であり

ます。学校を以て、我が子が富貴、贅沢なる生活に

至る一番の早道と考え、心得ているのであり、学校

は人間らしい人間を作る神聖な場所であるという

考え方はありません。合格、就職、安楽生活しか

頭にないのです。友情と信頼、先生への尊敬、両親

への感謝、公共心の発達等どうでも良いのです。

贅沢を好み、勤労を嫌がり、義理を弁えず、義務を

果たさず、権利のみ主張し、自分勝手に行動する

柔弱不良児の多き事、愛国心の基本である愛校心の

成長などおぼつかないのであります。今の教育基本

法を読んでも日本人としての誇りと力強さは何も

感じられません。早期に改正すべきと考えます。

真の自由は厳格な規律から育つものと信じておりま

す。父母の利己的な教育要求に押し流されて、気力

もなく、本来の教育から逸脱し、世の親も子も学校

へ行く事は、出世栄達の関門と考えるならば誠に嘆

かわしい限りであります。競争によって自己の出世

のみ考える者ばかりの世の中であると、結局は一時

的に高度成長からバブルの夢は見たが、今日のよう

な不安定、深刻な経済、景気となってしまうのでは

ないでしょうか。それは国家の基本である自主独立

の精神が、政治家を始めとして外務省、農水省に至

るまでなくしてしまっているのです。教育は設備に

非ず、建物によらず、生徒は先生が何を語り、何を

教えるかによって教育されます。

先生の人物に影響されるのです。

 

(3) 教育の成果

 今日本は、北朝鮮の核に怯えています。国を護る

ことが今更ながら議論のポイントになってきました。

では自衛隊だけに頼れば良いのでしょうか。イージ

ス艦を出発させれば良いのでしょうか。

最も大切なことは愛国心を教えること、国に誇りを

持たないと愛国心は芽生えません。更に国家防衛

教育をすることだと思います。今や民族精神なし、

故に真の教育、真の芸術は生まれません。唯外国の

模倣とインチキ芸術に過ぎません。あるいは唯点

取り主義の知識の切り売りと出世主義の学校教育、

形式的な道徳教育で、親の嘆きを他にお茶を濁し

ているに過ぎません。国破れても領土はあります。

国民が残ります。法律もあり、国語もあります。

然らば国破れたとは何か、即ち其の国民の自由、

独立、国民精神が滅んだ時、その国家は滅びたの

であります。もし戦いに破れてもその国民特に

青少年の民族精神盛んにして、立ち上がらんと

意気盛んであるとするならば、其の国は、断じて

破れていないと思うのであります。日本精神が

滅んだ時、日本という国は最早滅んだのである。

日本精神を守る事、それが国防の本体であると

確信しています。

 明治天皇の御製に「よとともに語りつたへよ国

のため命をすてし人の勲を」とあります。現在の

国があるのは、今の私達があるのは御先祖様の

お陰であり、国の為に尽くして頂いた諸先輩方の

お陰であります。

 靖国神社には御祭神として246万6332名の方々

が祀られています。靖国神社の神様は、日本の

独立と平和が永遠に続くように、そして御先祖様が

残して下さった日本の素晴らしい伝統と歴史が

いつまでも続くように、と願って戦いに尊い生命を

捧げて下さいました。日本が平和で栄えているのは、

靖国神社の神様になられた方々のお陰なのです。

この方々が戦争の時、ご自分の生命まで捧げて守っ

て下さった「私達の日本」を、これからも大切に

すべきです。天皇陛下はお参りしなくなりました。

内閣総理大臣の参拝も外国に遠慮しながら行って

います。自衛官も制服では行きません。学校で

堂々と制服で団体参拝をするのは日本航空学園だけ

ではないでしょうか。教育とは何かを議論する前に、

このことから考え直さなければ結局中途半端に

なってしまうと思うのです。

 

 我が国は地図にて見れば小さき国なり。

それを大日本と呼びてはずかしからぬわけを

知れりや。大とは形の大小のみをいふにあら

ず質のりっぱなるをこそ、まことの大といふ

べけれ。人についてはば、善き人はにて、悪

しき人はなり。

 いかほど躰大きく、腕力強く、身分高く、

財産多く、才智、学問優れたりとも、心だて

悪しき人は小人なり、卑しむべし。小人、悪

人とは、自分勝手のみを行う者をいふ。大人

善人とは、他人を思ひやる心深く、道理に明

るく、勇気ある人をいふ。

 

 世界に国は多いけれど、我が国は古来君、

親を思ふ心深きによりて知られ、家、国を

思ふ心深きによりて知らる。日本に生れたる

を幸福と思へ。

 我が国は国は善人多く、大人多しと褒めら

れたる国ぞ。

 さりながら、これをして行末長く、まこと

の大日本たらしめると否とは、ひとへに国民

の心がけによることなるをわ忘るべからず。

 2.     人財の育成と我が国の将来

①        自由と規律 規律を守って自由がある

②        長所伸展  国も個人も良い所を探し、

そこを伸ばす

③        共感共創  日本は世界最古の皇室を中心

とした国家、「家」である

 

     メディアのいじめから赦しの文化へ

④ 観光立国  世界の公園となる。四季があり

自然があり神道に根ざし た自然愛の素敵な文化

がある。

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