そうか、今日は成人式か。俺が成人式に出たのは、もうというかたったというか、10年前のことだったな。今日は色んなおっさんから、アレコレ説教くさい話を聞くだろう。10年分しかお前さんより長く生きちゃいないが、このおっさんにも、これだけ言わせてくれ。
世の中には、色んな目には見えないルールがある。
勿論、そうしたほうがいいから決まってるってものが殆どだ。だけど中には誰が考えても不合理なものだってある。それに法律で決まったルールがあったとしても、有名無実化しているものだって多い。
例えば、近頃話題になった『待機児童の問題』や『長時間労働の問題』なんてまさにそうだ。こうした話は、もうずっと変わること変えることもできないと、誰もが諦めていた。それでも少しづつ解決に向けて、みんなが動き始めている。
それは、声を上げ始めるひとが出てきたからだ。
今日多くの式典で、大人になることの責任とか自覚とかそんな話を耳にタコが出来るほど聞くだろう。そんな話ばっか聞いてたら、何もかも自分の力で解決しなきゃいけないのか?と思うかもしれない。んなこたーない。これは文字を大にして言わせてくれ。
大人になるということは、助けを求められること
だ。困った時、苦しい時に、誰かが気がついてくれることを期待したり、自分ひとりで解決しようとするのは子供のすることだ。
例えば、目の前で急に苦しそうにして倒れた人がいるとするだろう。
君がまずすべきことは『おい、誰か手伝ってくれ!』と大声で叫ぶことだ。その後、みんなで安全な場所に倒れた人を移し、119番に連絡をし、AEDを探しに行けばいい。
社会に出ると、とても一人じゃ背負いきれないことが目の前で起こる。それが自分のことであれ、他人のことであれ、一人じゃどうしようもない事態になったときに、見て見ぬふりをして先送りせず、率先して声をあげていくのが大人の責任だ。
自分だけじゃないぞ。子供や傷ついて自分で声を上げられない人が目の前にいたら、代わりに君が声を上げてほしい。
勿論、"やり方"は大事だ。でもこの国には沢山の能力を持ったひとがいるんだ。声をあげるのは、その場にいる君にしかできない仕事。問題を解決するのは、みんなの仕事だ。
君たちの前には、これからの人生、山あり谷あり、辛いことも苦しいこともあるかと思う。自分ひとりの力では乗り越えられないものもあるだろう。そんなときは、ぜひ他の大人を頼って欲しい。
困ったときはお互い様だ。いつの日か、君に頼る日も来るだろう。ひとは一人じゃ生きていけないから、社会を作った。だから俺は、君の成功と幸せを心から祈っているよ。それじゃあ、君たちの門出が、希望に満ちたものとなることを祈念し、おっさんからの祝いの言葉としよう。
らくからちゃ