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沢尻エリカのビンタ事件は笑える? 男性への暴力は「笑っていい」空気がある

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不能犯 沢尻エリカ

映画『不能犯』公式Twitterアカウント投稿画像より

 女性が男性に暴力をふるうのは、笑える話として“アリ”なのだろうか。12日放送の『新春大売り出し!さんまのまんま』(フジテレビ系)に、21日公開予定の映画『不能犯』(白石晃士監督)に出演している松坂桃李(29)と沢尻エリカ(31)がゲストとして登場し、沢尻が若手の男性助監督に「ビンタ」したエピソードについて話していた。

 松坂・沢尻が語ったところによると、同作品の撮影では刑事役の沢尻が連続殺人犯役の松坂をビンタするシーンがあり、本番前にはビンタテストなるものがあったという。このビンタテストで、沢尻は松坂ではなく助監督の男性をビンタすることになった。あくまでテストなので、どの角度から撮る、どの程度の力・手つきで頬を張る等の確認のためだったのだろう。

 沢尻いわく、「(助監督の男性を)思いきりビンタして、すっごい入ってそれが。うわ決まったーみたいになって」。その助監督は「1週間くらいしたら(撮影現場に)来なくなっちゃっ」たそうで、その仕事を辞めてしまったのかもしれない。当該男性は新人で現場に出るのも初めて、何もわからないまま、いきなり沢尻のビンタを受けるハメになったという。ともすればパワハラや傷害として扱われるような事案であるが、番組としてはこれを“笑えるネタ”あるいは“武勇伝”のように扱った。

 このエピソードを聞いた明石家さんま(62)は、待ってましたと言わんばかりに身をよじらせ手を叩いての大爆笑、松坂も「かわいそうでしたよ」と言いつつ笑みを浮かべていた。当該の助監督男性が「来なくなった」原因が、本当に沢尻の“ビンタ”にあるのかどうかは不明だ(ただし少なくとも今回のトークでは“ビンタ”が原因とされている)。しかし“何の説明もなくいきなり殴る対象にされる”ことは笑えるというより引く話だと思うのだが、さんま・松坂・沢尻にとっては、つまり業界的には問題視されない笑える話なのかもしれない。

 また、これは“女のビンタぐらいで来なくなるなんて、いまどきの若い男子は情けない”という文脈の笑いでもあっただろう。これが若い女性の新人助監督だったら、同じような展開にはならないはずだ。男性へのあたりがきつく、やたらと暴力的で過酷、だからそのぶん「女性には優しくしてやってるんだ」という意識が蔓延する職場はテレビや映画の業界に限った話ではない。男女同権の話になると「女も男と同じように扱えというのなら、男同様に暴力的な扱いをするぞ」、と脅す声が出たりもする。新人の男性にも女性にも暴力的にあたらず、仕事を教えていくことが“普通”であればいいはずなのだが、それでは「人は育たない」と考えられているのだろうか。

 少なくともビンタエピソードで笑う『さんまのまんま』出演者たちに悪気はなさそうで、「そういうものだから」でこれからも慣習がまかり通っていくことを予想させた。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

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