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SCROLL 私たちは、いま二度目の「維新前夜」を迎えている 歴史が繰り返し、社会は進化する 私たちは、いま二度目の「維新前夜」を迎えている 歴史が繰り返し、社会は進化する 私たちは、いま二度目の「維新前夜」を迎えている 歴史が繰り返し、社会は進化する

人工知能(AI)の躍進、スマートフォンの浸透、IoTの進化…
テクノロジーの普及によって、働き方、生き方、コミュニケーション方法など、
身の周りのあらゆるものが激変する時代に、私たちは生きています。

人間は、これからどうなるのか。AIに仕事を奪われるのか? 何を目指せばいいのか?
加速度的に変わり行く世の中に、漠然とした不安が尽きないのは仕方のないことかもしれません。

AIなどのテクノロジーを支える「科学」と「技術」、そして「社会」は、密接な関係性にあります。
新しい「科学」が新しい「技術」を生み、それがインパクトとなって「社会」の変貌を促す、
また逆に、「社会」のニーズが新しい「技術」の開発を促し、それが新しい「科学」への展望を開くのです。

このような関係性を理解していれば、激動の時代に映る“今”を俯瞰で捉え、
不安とは異なる視点で見つめることができるのではないでしょうか。

時代を俯瞰する2人の識者の対談から、「今」を捉えなおし、
「未来」のイメージを共有したいと考えます。

角田さん写真

バラエティープロデューサー角田 陽一郎

1970年、千葉県生まれ。東京大学文学部西洋史学科を卒業後、東京放送(TBSテレビ)に入社し、数多くのバラエティ番組の制作を担当。2016年12月、東京放送を退社後は、「好きなこと」を創造するフリーのバラエティプロデューサーとして活躍している。
著書に『「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史』、『「好きなことだけやって生きていく」という提案』など。

竹内さん写真

サイエンス作家竹内 薫

1960年、東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科(専攻、科学史・科学哲学)、東京大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(専攻、高エネルギー物理学理論)、理学博士(Ph.D.)。大学院を修了後、サイエンスライター・作家として活動。科学評論、エッセイ、講演などを幅広くこなす。NHK「サイエンスZERO」ナビゲーターなどテレビでも活躍。著書に『文系のための理数センス養成講座』など。

螺旋(らせん)イメージ

すべては、螺旋(らせん)的に進化する。
だから歴史は繰り返すが、同じことは二度と起こらない

角田:
「歴史は繰り返す」という言葉がありますが、より正しく表現すると「歴史は繰り返すが、同じことは二度と起こらない」なのだと僕は考えています。

たとえば、2017年は、ちょうど大政奉還150周年なんです。「黒船」がもたらしたテクノロジーによって社会が揺り動かされて日本が開国し、明治維新に向けて、いわゆる“幕末”という激動の時代が来た。スマホやIoT、人工知能(AI)などのテクノロジーによって社会の変容が迫られている現代は、まさに幕末のような時代に入っているのではないでしょうか。まさに“繰り返しているがまったく同じではない”のです。

以前、YouTubeで「太陽の公転」をCGで表現した面白い映像を観ました。地球は太陽の周りを公転していますよね。私たちは無意識に太陽を不動のものと考えていますが、太陽系も銀河系の一部。銀河の中を公転し、猛スピードで移動しているのです。映像で観ると、移動する太陽の周りを回る惑星たちの動きは、螺旋状になっています。1年を過ごし、「春夏秋冬を巡ってまた春がきたな」と思っても、実はすでに同じ座標にはいないのです。
この動画は、専門的な観点からは間違いを指摘する声も多いのですが、とても美しい動画で、素人が“時の流れ”をイメージするには良いものだと感じています。僕は、「歴史は繰り返す」というのも、このような進み方なのではないかと考えているのです。一直線に前進するのではなく、螺旋を描きながら進む。
角田さん写真
竹内:
螺旋と言えば、アインシュタインの相対性理論の教科書に出てくるんですよ。一般的によく見る、太陽を中心に惑星が円を描く太陽系の図は、物理学の考え方から描かれたものです。一般相対性理論ではそこに時間の概念が入ります。すると、時間と空間が相互に関連する“時空”という概念が出てきて、すべてが螺旋上にぐるぐる周りながら時間が過ぎていくイメージが生まれます。

少し見る角度は変わりますが、科学史でも最初に学ぶのは、「科学技術が直線状には進歩しない」ということです。成果が上がり期待値が高まっても、見直されて期待が急激に落ち込み、研究が停滞するかもしれません。しかし中には、後に再び脚光を浴びて研究が進むものもあります。浮き沈みを繰り返しながら進むんです。いま私たちが直面している大きな転換でも同様に、期待と失望が繰り返されるのかもしれませんね。
竹内さん写真
角田:
未来学者アルビン・トフラーが提唱した『第三の波』の概念では、第1の波が農業革命、第2が産業革命、第3が情報革命と考えられています。そしてまさに、現在は情報革命という大転換の時代にあります。
この情報革命についてお話したいのですが、いまやAIが加速度的に進化し、将棋や囲碁でプロに勝てるようになりました。幾多の高段者がこれまで思いつかなかったような手が、コンピュータによって発見されているわけです。歴史という時間の螺旋の中で人類が積み重ねてきた経験知の“穴”をくまなく探してくれているように思います。
竹内:
AIは人類が持っている棋譜を全部知っていて、忘れることがありません。その上で、自分対自分で対戦を繰り返して強くなり、最高の棋士の方が発想しなかったような手を生み出しています。決して自分との対戦を含む過去の棋譜だけを見ているわけではなく、対戦中にAIが自ら考えて、最善と信じて次の手を決めるところに、面白さを感じますね。
角田さん写真 竹内さん写真

情報革命の本質は、
価値の主体をモノから
関係性へと転換したこと

角田:
農業革命では、それまで採集してきた自然物を、労働によって生産するようになりました。産業革命では、労働を機械に任せるようになりました。どちらもモノを生産し、モノの生産力を上げるという革命だった。
しかし、現在の情報革命では、モノより情報に価値がある、という発想の大転換を迫られています。
角田さん写真
竹内:
「モノからコト」という考え方があります。情報革命では、物質そのものではなく、それが持っている情報や情報のネットワークのほうが大切になってくるんです。ただ、いまでも、「価値があるのはモノで、それに付随している情報には価値がない」と思い込んでいる人は多いですけれど。
竹内さん写真
角田:
まさにそこです。情報革命は農業革命や産業革命の延長線上にあるのではなく、圧倒的に概念が違う革命だと理解しなければいけません。情報革命は、過去にあった文明の大きな転換期に比べると、概念的には圧倒的に上位の革命だと考えています。日本の歴史に当てはめると、農業革命は弥生時代、産業革命が黒船、情報革命が現在。とすると、明治維新よりすごい変革がこれから起こるのではないかと。
竹内さん、角田さん写真
幕末イメージ

坂本龍馬は、
自分が“幕末”に生きていたと知らなかった

竹内さん、角田さん写真
竹内:
先ほど角田さんも触れていらっしゃいましたが、大きな転換の時代という意味で、今は幕末に似ているのではないかと考えることがあります。幕府には“古い頭”の人たちが多くいて、彼らには未来が見えていない。そのせいで社会のシステムが煮詰まってしまっているのに、完全にひっくり返せない。つまりは閉塞状況です。
角田:
明治維新より大きな波が来ていることに世の中の人たちは気づいているのかな、と不安に思うこともあります。先ほど、2017年は大政奉還150周年と話しましたが、江戸開城は大政奉還の翌年1868年で、この年に元号が明治に変わりました。現代も、このまま行けば2019年に元号が変わりそうで、明治維新の流れが再び巡ってきたような歴史の繰り返しを感じます。しかし、やはり全く同じではありません。
竹内:
もう1つ、戦後にも例えられるかもしれません。第二次世界大戦で負けたことによってそれまでの社会のシステムが壊れました。その後、高度経済成長などを経て企業が勢いを取り戻しましたが、成熟してしまって身動きが取れていないのが現在です。この閉塞をどうやって壊すのかっていう問題があると思うんですよ。
角田:
「壊されるのが怖い」という意識があるのかもしれません。AIやIoTがメディアに取り上げられる機会も増え、何やら人知の及ばないものに支配されそうと思っている人も多そうです。しかし、流れは止まらないでしょう。大切なのは、「今が情報革命のまっただ中である」ということに気づくこと。たとえば、坂本龍馬は自分が幕末に生きていることを知らなかったわけです。1867年に亡くなっていますから、維新を見届けることはできなかった。ただ、彼は「幕府がなくなるかもしれない」、つまり、閉塞した古い社会システムがなくなるかもしれないと気づいていて、それに向けて行動しました。
竹内:
確かに、幕末にも、過去を見ている人たちと、維新の先を見ている人たちがいました。現代にも、AIやIoTが来ていることを理解していて、変わろうとしている人も多いんですよ。一方で、モノの時代からなかなか抜け出せない人や組織もあります。そうした人たちにも、時代を大きな流れでとらえ、状況に気づいてほしいですね。

クリエイティブな思考を活かし、
“好きなことを仕事にせざるをえない”
時代が来る

角田:
AIの登場は、一部で「仕事がなくなる」という不安を生み出しているようです。たとえばですが、自動運転技術の発展で「ドライバー」という職業はなくなってしまうかもしれません。
竹内:
産業革命時代の機械化では、多くの人が“配置転換”されました。たとえば機械化によって、人間が運んでいたものを機械が運んでくれるようになった。すると、運んでいた人間は、一時的に仕事がなくなるわけです。ただ、その人たちの仕事が一生なくなったわけではなく、違う仕事が生まれてそこに従事しました。
角田さん写真
角田:
情報革命でも同様のことが起こりそうです。ただ、配置換えもネガティブにとらえられがちですが、そこに向けてどうしたら良いとお考えですか。
竹内:
人間が生き抜くための方策があって、基本はクリエイティブになることなんですよ。いま考えなければならないのは、「本当に自分がしたいことが何か」だと思います。面倒な仕事や単純作業からAIに置き換わる。だからこそ、そこはAIにお任せして、自分はやりたいことを仕事にする。そのほうがいいと思いませんか。
竹内さん写真
角田:
今までは、「好きなことを仕事にする」という内容の本が売れていたんですよ。それって裏を返せば、「いまの仕事は好きなことじゃない」と考えている人が多いということです。ところが、これからは“好きなことを仕事にするしかない”社会になる。

運転なら、「移動手段としての車を運転するドライバー」という仕事はなくなるかもしれませんが、「楽しみとして運転する」ことは残るでしょう。現代では馬を移動手段に使わなくなったけれど、趣味で乗馬を楽しむ人や教える人がいるように、運転も本当に好きなら、趣味性を活かす方向で仕事にできるのではないでしょうか。
竹内:
「したい」が「するしかない」に変わるわけですね。面倒なことをAIがやってくれるおかげで、クリエイティブなことをするために、趣味を高める時間がより多く使えるようになることは、大きな価値でしょう。
竹内さん、角田さん写真
未来イメージ

情報革命は第二のルネサンス。
技術と科学、芸術が融合する時代へ

竹内さん、角田さん写真
角田:
そう考えると情報革命は人間を人間らしくしてくれる「第二のルネサンス」とも言えるのかもしれませんね。産業革命は、人間を機械に近づける側面がありましたから。
竹内:
第一次産業革命が始まって以来、機械化という流れは止まりませんでした。現在は「第4次産業革命」とも称されますが、ここにきてようやく産業革命の本質が変わってきたのではないでしょうか。私も情報革命では人間性のようなものがクローズアップされるようになると感じますね。
角田:
情報革命を支える技術者も、アーティストに近づくと考えています。アートの語源はラテン語の「ars」。技術という意味になります。産業革命前のアートが「美しい技術」を意味していたように、情報革命後には技術と芸術の融合が起こるのではないでしょうか。
竹内:
日本では、科学と技術をひとくくりに「科学技術」と言いますよね。実は、科学者と技術者は歴史的に見ると、その出自が異なります。科学者は、学術分野における研究者です。一方、技術者はギルド(組合)を構成する職人の徒弟性で育てられた人たちです。私は、技術者がより科学者に近づく時代になると考えていたのですが、そこにクリエイティブな芸術も融合すれば、さらに面白くなりそうですね。技術者の方には「そういう時代が来るかもしれない」という、先を見通す視点を持って、勉強を続けてほしいです。
竹内さん、角田さん写真

「いま」を正しく捉え、
「未来のニーズ」を作り出す

オムロンは、「SINIC理論」を羅針盤に、機械が人の能力を引き出す「融和」の世界を体現していきたいと考えています。
「SINIC理論」とは、オムロンの創業者・立石一真が、21世紀前半までの社会シナリオを高い精度で予測した、画期的な未来予測。時代の本質を正しく捉え、「SINIC理論」が示す未来社会へ向け、さまざまな領域の社会課題に取り組み、解決していきます。

SINIC理論の図