昨年偶然、管賀江留郎さん(著)の『戦前の少年犯罪』(2007年刊)という本を見つけ、ミステリ小説を読みつつ、こちらも併読しておりました。
昭和2年~19年の少年犯罪となると、さすがあたくしの親でさえ、さっぱりわからない時代の事件ですから、まあたとえば親に聞いてみたとしても、知らない事件ばかりだと思います。
あのアンビリバボーの実録事件簿だって、戦前の少年が犯した事件なんて扱わないでしょう。
(内容も残酷、あまりにもグロすぎて)
まさにこれこそ〝事実は小説よりも奇なり〟でした。
親世代、祖父母世代、共に受難な時代を生き抜いてきたのかと思うと、まだ戦後も何年か後に生まれた自分は幸せなのかなとふと感じてしまいました。
この『戦前の少年犯罪』という本について、「おもしろい」などという感想はあったとしても不謹慎すぎて申せません。ですが、こちらを読むと、現在、少年(少女もいます)による猟奇的な殺人事件が起こると、まるで過去にはそんな残虐な事件はなかったように仰る方々に「ウソつき
というわけで、〝惨殺事件〟の大好きな(不謹慎)あたくしが、ちょこっとだけ簡単に魅力を
お好きな方のみどうぞ。
現代より遙かに凶悪で不可解な心の闇を抱える、恐るべき子供どもたちの犯罪目録
(表紙より)
戦前は――
小学生が人を殺す時代
脳の壊れた異常犯罪の時代
親殺しの時代
老人殺しの時代
主殺しの時代
いじめの時代
桃色交遊の時代
幼女レイプ殺人事件の時代
体罰禁止の時代
教師を殴る時代
ニートの時代
女学生最強の時代
キレやすい少年の時代
心中ブームの時代
教師が犯罪を重ねる時代
旧制高校生という史上最低の若者たちの時代
と、16の章に分かれているのですが、これを見ても今とまったく変わらず、「昔は良かった」というのは当てはまりません。
とにかく、昔の子どもは自分を抑えることを学んでいないため、カッとすると限度なしですから、とことんまでやってしまうわけです。〝とことん〟というのは〝死んじゃうまで〟です。
昔の小学生のほうがひっきりなしに殺人事件を繰り広げ、しかも数多く人を殺していたという事実。
さらに、今より甘やかされて育っているため、食べ物を粗末にしても、ケンカしてもほったらかし。躾けだとかうるさく云うようになったのは、つい最近の話だそうですから。
おまけにナイフを持っているのもあたりまえで、銃も身近にあり、当時は管理もいい加減で、小学生が銃で人を撃つ事件は頻発していたみたいです。
そうなると、学校での殺人事件や、殺人未遂事件も多く、実際には〝未遂〟の何割かは数日後に死んでいるのでは
今と違ってかなり残虐な小学生による殺人も数多く、小学校に入学する前の幼児による殺人も起きているのです。
女子児童の殺人も、何年か前に長崎で同級生を殺害した事件がありましたが、戦前にも起きております。
通り魔が跳梁跋扈していた戦前ですから、理解不能な不可解な凶悪事件も頻発していたのです。脳が異常としか云えないような少年が多数いた…といいますから、今と変わらないじゃないですか。
昭和17年、9人を次々と殺害し、6人に傷害を負わせた18歳の犯人N。そのうち家族は5人殺傷。逮捕直前に父親(重傷だった)が自殺。死刑判決が確定し処刑。
でも、この時代は、少年でも死刑になっていたのですね。悪い芽は摘んだほうが…
家族皆殺しが大流行した(不謹慎)戦前は、親だけでなく、兄弟姉妹もみんなまとめて殺害する一家皆殺し事件も多かったようです。
おまけに老人殺しの新聞記事がほとんど毎日のように出ていたといいますから、今よりかなり多く発生していたのでは…。
お金があるから犯罪に走る→昭和13年以降の少年犯罪で貧しさゆえのものなどほとんどなく、戦争がはじまる以前の不景気の時代にも、食べるに困っていないような少年たちが老人を襲っているという事実が怖いです。
そして、昔の若者は住み込みで働くことが多かったこともあり、主殺しも圧倒的に多かったようです。主人といえば、親も同然ですから、一種の親殺しですね。
いじめ――
壮絶だったみたいで、手にする武器もなんでもありですし。
女の子に対しても集団で情け容赦なく存分に暴力を振るうという時代ですから。
男子が女子を殺害したり、いじめ復讐殺人事件も頻発。
桃色交遊…なんてまあ、もう漢字を見ただけで意味はわかっちゃいます。
もしかすると、戦前のほうがお盛んだったのかも(笑)。
若者はやりまくり、戦争が泥沼化してもお嬢さまたちの援助交際もしまくり、ローティーンもやりまくり。どこが健全だったのでしょう(笑)。
「戦前は品行方正だった」とは、何のジョークでしょう。
結局、やりまくりの挙げ句、満足に至らないため、心中に走る…愛情表現法はより過激だったのかもしれません。
その乱れに乱れた戦前は、さらに――
猟奇殺人事件が極めて多かったみたいです。
幼女受難(レイプ殺人)といいますか、現代社会でも連れ去りとか、殺人とか起きておりますから。それも未解決の事件も多いこと。
事件があまりにもひどいのでここでの記述は避けますが、本当にひどい……。
昔も今も弱いモノイジメはなくなっていないということです。
あたくしは、男が女に手を出す、少年が女児に手を出すなんて昔はそこまでなかったと思ったのですが、まったく違っておりました。
おまけに、思い切りひどい目に遭わせた上、殺害しておいて、この犯人は見つかってないとかで。戦前の事件ですから、もう迷宮入り。犯人がほくそえんで長生きしていたとしたら、本当にやるせないし、許せないです。
少年が幼女を誘拐、殺害して体に文字を刻みつけるという…こちらも未解決事件のようです。
教師を殴るのはあたりまえで、教師に対する暴力事件も頻発していた時代だったようです。
昔のほうが働く意欲のないニートが多かったとは……もう笑うに笑えません。
ニートによる家族殺しもよく起きていたそうですし。
有名な横溝正史さんの『八つ墓村』のモデルになった〝津山三十人殺し〟も最初に自宅で祖母を殺害した満21歳のニートによる尊属殺人事件ですから。
女学生も最強で、これも現代と同じじゃありませんか(笑)。
こちらはあまりもダサすぎて笑っちゃいけないのですが、笑えます。
高等女学校生二人が酔ってケンカをふっかけて逮捕。(実は二人とも良家のお嬢)名前を名乗らないから身体検査をすると「全日本不良少女浮気稼業団 理事長ノッポのお梅」という名刺が(笑)。
ちなみに当時17歳の小娘が深夜飲み歩こうと親は放任だったようです。
赤ちゃんを産み殺す事件も頻発していたといいますから…。
ドロドロの事件は、モラルのない戦前らしさが漂っております。
キレやすい少年が多かった戦前は、学校での殺し合いも日常茶飯事。
校内での生徒の殺人、路上でも殺人、とにかく殺害の動機は「たったあれだけのことで…」というぐらいつまらないもの。こういう無駄な殺人をするのはお金持ちがわりと多いとか。
お医者さんの子どもは殺されたり、殺したり…まあ目立つのです(笑)。
また、怖いのは銃です。
戦前は届けを出さないピストルも多く流通していたため、少年犯罪でもよく使用されていたのです。
さらに、心中がブームの時代だなんて……。
貧困と関係ない自殺だけでも、今の自殺より多く、ブームに乗っかったムード的な自殺をする若者も極めて多かったみたいです。
聖職の性犯罪→実際にはひどい教師がはびこっていて、連日のように教師による性的事件が無数に発生し、新聞紙面を賑わしていたそうです。
妻と4人も子どもがいてとかで…シンジラレナイ!
さらに、校長(48)も同校女教師(24)と不倫。同時に逮捕とは、恥すぎます。
今でも、〝性的行為〟となりますと、表に出てこない事件もいくつもあると思います。
それにしても……いつの時代も教師の嫌な事件はなくなりませんよね。
この時代もやはり誰にも打ち明けられないから、表沙汰にならない事件はまだまだあると……。
はっきりいいまして、ここまでの事件は〝殺人〟ではありませんが、学校でこんなことされてしまった女の子たちは心を殺されたのも同然です。
知らないオトコに触られるだけでも不快ですし、トラウマになるというのに。
実際被害に遭った時に大声で叫びたくても、叫べないものなんですよ。
9歳とかでしたら、触られても何が起こったかその時はわからないんです、ただ怖いというだけで。
誰にも話せず、何をされたかわかるようになって〝痴漢〟だと気づく。
そういえば、あたくしの小学校にも、隣のクラス担任(たしか20代前半だったかと)が、やたら自分のクラスの女子に、それこそランダムにおサワリしていたことで有名でした。ただ…あたくしの友達のMちゃん曰く「私は触られたことがないよ」と(笑)。ちなみにMちゃんは頭は良かったのですが、ギスギスのガリガリ。N先生は選んでタッチしていたと思われます。
あとなんといっても、全国ネットのワイドショーにも登場したワイセツ高校教師。
コイツはあたくしの卒業した高校にいたのですが、あたくしが在学している時から、エロ行為を数年間繰り返していたみたいです。えこひいき教師でしたから逮捕されて「ざまをみろ」でした。
こんなあたくしの周りだけでも許しがたく、〝教師〟を名乗ってはいけないヤローがいたのですから、全国にはまだ潜伏していそう……
というわけで、若干脱線してしまいましたが、こちらの本、著者の管賀江留郎さんの書き方(口調?)もクセがあって面白いですから、ぜひ興味がありましたら読んで、『戦前の少年犯罪』についての知識を得てください。
なお、事件についての詳しいことは『少年犯罪データベース』にありますから、検索でも簡単に出てきますのでどうぞ覗いてみてみださい。
個別のものはけっこう簡単に出てきますよ、皆さん興味津々で検索してるのですね(笑)。
キレやすい少年というところで、戦前の事件ではないのですが、昭和44年の高校生首切り事件のこと、あたくしは知りませんでした。
壮絶ですね、殺すつもりのなかった気の弱い高校生が、いつもバカにする同級生にナイフを突きつけたのに…またバカにされ、カッとして滅多突きにして、首まで切り落としたという事件――
実際に人間が、少年が犯した事件となりますと、怖いとしか言いようがありません。
ですが、小説を読んでいても、「この人、殺されても文句言えない」とかありますから。
思っても言っちゃいけないことはわかっているのですが、つい