夏目幸明(なつめ・ゆきあき)
1972年、愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、広告代理店入社。退職後、経済ジャーナリストに。現在は業務提携コンサルタントとして異業種の企業を結びつけ、新商品/新サービスの開発も行う。著書は『掟破りの成功法則』(PHP研究所)、『ニッポン「もの物語」』(講談社)など多数。
経営者はよく「スピード」という言葉をよく口にする。筆者がIT企業の楽天を訪れたときも、社内の各所に掲出されている「成功の5つのコンセプト」の5番目には「スピード!!スピード!!スピード!!」とあり、「重要なのは他社が1年かかることを1カ月でやり遂げるスピード」という説明が加えられていた。
筆者は当時、なぜそこまでスピードを重視する必要があるのか、意味が分からなかった。
この言葉の意味に気付かされたのはリサーチ会社、マクロミルの創業者である杉本哲哉氏を取材したときだ。彼もまた「事業にはスピード感が~」と話すため、「なぜそれほどスピードにこだわるのか」と聞いてみた。すると彼は次のように話した。
「ここにカードが5枚伏せてあって、その中の1枚が当たりだとします。そんな状況で、必ず当たりを引く方法があるんですよ。何だと思いますか? カードを人の5倍の速さで全部めくるんです(笑)。結局、事業は“やってみなければ分からない”もの。新規性が高いものは、なおさらです」
杉本氏が言いたいことは「失敗を計画に内包せよ」ということなのだろう。逆に、最初から正解を求めようとすれば、他人がつくった正解の公式を利用するしかない。だが、ビジネスの世界、特にネット業界では大抵一番手が勝つ。だから、生き残るには新しい何かにいち早く挑戦するしかない。すぐに手をつけ、カードをめくってから考え、暗中模索していくことが正解への近道なのだ。
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