大きさ約25センチほどの深海性のナマコの一種、「ユメナマコ(Enypniastes eximia)」は、赤紫色のボディーをゆらゆらさせながら深海生活を営んでいる。
その姿優雅な姿から、「ドリーマー」や「スパニッシュダンサー」などというニックネームがつけられているが、遠隔操作ビークル(ROV)の操縦士たちは親しみを込めて彼らをこう呼んでいる。
「ヘッドレス・チキンモンスター」と。
骨なしチキンは食べやすくておいしいけど、
首なしチキンはユーモラスでおいしいんだ。
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NOAA dive captures footage of 'headless chicken monster
ユーモラスなユメナマコの舞い
このユメナマコは、メキシコ湾の探索中に発見された。ナマコの他の仲間と同じく、ほとんどを海底で過ごしているが、危険な捕食者が近寄ってきた時など、時折海を泳ぎ回ることもある。この時、体重をできるだけ軽くするためにさっとフンを排出する。
「ヘッドレス・チキンモンスター」というニックネームの由来について確かなことは不明だが、おそらくニワトリのような外見と目的もなくさまよっているような姿に関係しているのだと思われる。
ほとんどのナマコには本当の意味での脳が存在せず、きちんとした感覚器官も持たない。しかし皮膚に神経終末があり、これで触れたものや光に対して反応する。
アメリカ海洋大気庁が行っているメキシコ湾の深海調査
メキシコ湾の下に広がる深海の生態系がほとんど分かっていないことから、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は一帯の調査を進めることにした。
昨年11月30日から12月20日まで、昼の間にROVを潜行させ、夜通しマッピング作業を実施。この探査の最中、ダンボオクトパス、虹色のイカ、奇妙なウミグモなど、多くの珍しい生物に遭遇した。
クモガニを乗せたオオグソクムシ(深海545メートル)image credit:oceanexplorer.noaa
コロネートクラゲ(Periphylla periphylla)image credit:oceanexplorer.noaa
テヅルモヅルとその一派image credit:oceanexplorer.noaa
深海のヤドカリ(Paguroidea sp.)image credit:oceanexplorer.noaa
クモヒトデ(Asteroporpaimage)credit:oceanexplorer.noaa
調査は一帯の海洋生物を理解する上で極めて重要な役割を担っている。メキシコ湾には深海のサンゴや海綿群など、数多くの脆弱な海洋種が暮らしており、泥火山をはじめとする地理的特徴もユニークな場所である。
また海洋活動の拠点となってきた地域でもあり、米国の歴史についても知見が得られることだろう。産業活動によって大幅に変化してきた地域であるだけに、本調査が政府の政策策定の指針になるという点でも重要だ。
フィールドワーク自体はすでに終了しているが、2018年春にはさらに2度の調査が予定されている。その様子がライブ配信されることを期待しよう。
References:noaa/ translated by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
タイトルが深海「クラゲ」になっちゃってます…
2. 匿名処理班
海の生き物、特に深海の生き物の造形はいつも狂気を感じさせる
でなきゃ絶対バグだよねぇ
たまに可愛いから困る
3. 匿名処理班
ヘッドレスチキンとユメナマコ、ネーミングに此処まで差が出ると面白い
あ、片っポは渾名か
4. 匿名処理班
足だと思ったら体がひっくり返って翼になるのか
何を考えたらこう進化するのか、生命の神秘だね