正しい転職コンサルタントの選び方とは?

大手の人材紹介会社でもコンサルタントの質が良いとは限りません。
また、人間ですから合う合わないもあります。
企業の採用担当者ですら、良いコンサルタントとどれだけ良い関係値を築けるか、がすべてです。
そのために、中小規模の人材紹介会社とも普段から交流をしていますし、ダメな担当者であれば交代させられます。

そうです。相性の良いコンサルタントとの出会いが転職の成否を分けるのです。

優秀なコンサルタントは、転職市場の情報収集に熱心なため、いつでも最新の情報を持っています。
例えば、
「E社は今リストラを行っている」
「B社は新規プロジェクトを立ち上げて、その責任者を募集している」
「N社は上場してはいないが、非常に業績が良いようだ」
などのように転職市場の動きをきちんと掴んでいるのです。

なぜかといえば単純で、業績が良いところ、新しいところを始める会社は人を採用したがるので良い条件がでますし、逆に業績が悪くリストラをするような会社からは人が流出するため、狙い目だからです。
また、個別企業だけではなく業界自体にも精通しており、今はこのIT業界が良い、それもスマホゲームの会社が良い、といったような情報をきちんと持っています。

相談にこられる求職者の中で、人材紹介会社とトラブルになった、という方がおられますが、原因の一つとしてコンサルタントとの相性の悪さがありました。
担当コンサルタントからいくつも案件を渡されるのですがどれもピンとこない、そうこうするうちに説教じみたことを言われた、というような話もありました。

これはコンサルタントに問題があるのでしょうか?
実際には求職者とコンサルタント双方の準備不足が挙げられます。

人と人の出会いは難しいものです。
自分の考え方に近い価値観を持っている人と出会うことは少ないのが当然です。
今までの同僚、友人、上司、部下、お付き合いをした女性でも構いません。
思い返してみれば合う人ばかりではなかったはずです。

まして、転職という人生を左右する決断において、親身になって考えてくれる人がどれくらいいるか、と考えるとほとんど思い浮かばないでしょう。
ですから、コンサルタントばかりに求めるというのもそれは間違っているのです。

余裕があるときに、相性の良いコンサルタントを探して良い関係を築いておけば、いざというときに困ることはありません。

転職をしなければならない、と考えたときに初めてコンサルタントを探すからこそ、なかなか良い人に巡り会えないのです。
結婚をするときと同じですね。
転職直前にコンサルタントを探すということは、結婚をすることを目的として急いで相手を探しているようなものです。

吉田松陰の人脈術

吉田松陰をご存じでしょうか?
彼は江戸時代末期(幕末)に「松下村塾(しょうかそんじゅく)」という私塾をつくった人物です。
彼がこの塾で指導したのは短い時期でしたが、その中から幕末より明治期の日本を主導した人材を多く輩出したことで知られています。

彼が多くの若者を育て結びつけたおかげで今の日本があると言っても過言ではありません。
塾の中で良い縁を作り上げたことが日本を変え、世界をも変えたのです。
松陰の塾では一方的に師匠が弟子に教えるものではなく、松陰が弟子と一緒に意見を交わしたり、行動を共にするという「生きた学問」を行ったそうです。

松陰はこのような意味のことを言いました。
「本当の誠実さを持ちながら行動を伴わない人はいない、本物の誠実さがあるというのであれば、行動しなさい(至誠にして動かざる者は未だこれ有らざるなり)
より誠実に転職市場と向き合うのであれば、あなたが行動するしかないのです。

情報収集にはお金ではなく時間を使いなさい

人材紹介会社への登録、コンサルタントやエージェントへの相談は無料です。
無料ですから、気軽に登録して構いません。
ですが、人材紹介会社の利益は求職者が転職した際の紹介料から出ていることは忘れないでください。

人材紹介会社もボランティアではないので、真剣に転職に向き合っていない人に対しては優先順位が下がります。
転職に乗り気でなさそうな求職者を相手にした場合、コンサルタントにとって、企業への応募数や採用率は評価に直結しますので、企業への応募数を増やそう、というケースすらあります。

もしコンサルタントに言われるがまま、場当たり的に企業への応募数を増やしても「自分に合う企業を見つける」という本来の目的が失われてしまうので絶対に避けなければなりません。
では、「今は転職するつもりはありません。とりあえず話だけ聞いておきたいのです」と宣言してみるのはどうでしょうか?
そのような話をすれば、途端にあなたに対する興味をなくすコンサルタントばかりです。

転職に対する考えがまだ決まり切っていない状況で、キャリア診断などを行いたい場合、情報を集めたい場合は「転職するつもりはない」という話をする必要はありません。
「これこれこういう理由で転職を考えているが、私に合う企業を見つけて欲しい」で構わないのです。

そして、お金がかからない代わりに真剣に転職コンサルタントに向き合う必要があります。
あなたが本気でないと、コンサルタントも本気にはなりません。
ですので、今は転職をする気がないとしても、本気で情報収集をしてください。
その姿勢が相手に伝われば、相手もあなたのために必ず動いてくれるはずです。

転職を考えていないのに情報収集だけしたい、という人たちはこのあたりがおろそかになりがちです。
結果としてコンサルタントに「あの人はやる気がないな」と思われてしまい、良い情報が得られなくなります。

紹介会社以外の方法もある

紹介会社を通さずに企業に直接応募することもできます。
最近は応募だけではなく「会社見学ツアー」や「採用に興味がある方への座談会」「カジュアル面談」といったような取り組みを企業が行っているケースも多々あります。

これらも基本無料です。
求職者は紹介会社経由で転職した方が有利というのが私の考えですが、直接企業とやりとりをして情報を得るのは悪くない考えです。
しかも、これらは「応募の一歩手前」ですので、こうした企業開催の各種イベントへ参加して情報を得ておき、実際の応募は紹介会社経由というのでも問題ないのです。

紹介会社に一切頼らないで転職をする、という方々も一定数おられます。
彼らは紹介会社をあまり信用していなかったり、今までに会ったコンサルタントがあまり良くなかったケースが多いのですが、紹介会社に頼らない転職を選択した場合、どうしても情報量や交渉面で不利になりますので、私はお勧めしません。

転職は神経をすり減らす戦いです。
まして、自分の人生を決定づけるものですから、誰しもがキャリアアップを望んでいます。
しかし、多くの人たちは正しい選択ができず転職に失敗します。

ですので、この難しい戦いを一緒に乗り越えられるコンサルタントを見つけ、常日頃から良い関係を築いておくことが何より大切なのです。

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