<技術⑤>レンジ・ブレイク【RB】

RB-レンジブレイク

上下にスイングを繰り返すレンジからのブレイク

チャートの中には、ある一定の値幅を繰り返し上下するような動きになる事があります。この様な値動きの事をレンジと言い、そのレンジの最大の特徴は、トレンドが発生していないという事です。

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レンジでは上下に2本の水平ラインを描く事ができます。レンジの上側の足をつないだ直線を抵抗線、レンジ下側の足をつないだ直線を支持線と言います。(※以降は2本の抵抗線として解説)

またレンジになると、この2本の抵抗線がバリアになるようにローソク足が接しては反転し、スイングするように上下の動きを繰り返します。そしてスイングをしながら徐々にその力を溜めていき、いずれ一方向の抵抗線をブレイクします。これをレンジブレイクと言います

ファーストブレイクやセカンドブレイクなどは、発生したトレンドの方向にポジションを仕掛けていく順張りの手法でした。ただしこのレンジブレイクはトレンドが発生していない為、どちらの方向にブレイクするのかを、チャートから売り買いの強弱を読み取って仕掛けていく必要があります

チャートから売り買いの強弱を分析するのは難しいと思うかもしれませんが、FXを始めたばかりの人でも簡単に見分けられるポイントがあるのです。

それでは実際にチャートとあわせて、何をチェックすればよいのか見ていきましょう。

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こちらはユーロ/ドルの70ティックチャートです。

スイングを繰り返しながら、上下のラインをきれいに枠で囲う事ができるレンジが発生しています。レンジの序盤は売り買いの力が拮抗しているものの、徐々にその均衡が崩れ、終盤では上昇する圧力に押されています。このチャートから上昇の力が強まったとわかる理由を、簡単にまとめると次の様になります。

 

①でレンジブレイクを試している側の抵抗線に、ローソク足が溜まっている。

これはブレイクしようとする側に力が溜まってきた事を意味しています。またこの溜まっているローソク足の本数が多いほど、その力強さを表します。さらにここでは移動平均線(20EMA)が、ローソク足をレンジの外に押し出すような恰好になっている為、⑥がより信頼できるエントリーポイントとなっています。

②でレンジブレイクを試す前の安値が、徐々に切り上がっている。

レンジは単純に上下のスイングを繰り返しながら、徐々にブレイクする側への力を溜めていきます。このチャートでは⑥のブレイクの前に、反対側の③-④-⑤の安値がどんどん切り上がっており、上側への圧力が溜まってきた事を簡単に捉える事ができます。

以上の事をふまえ、実際にレンジと判断できるまでの流れを見てみましょう

222この枠中では約1時間のレンジの値動きを示しています。

当然①~②の段階ではレンジと判断する事は困難ですが、③から反転して④に向かう途中では、①~③で高値と底値が同じラインで抑え込まれている為、レンジを意識する必要があります。そして④の時点でも、②と同じ高値で抑えられた為、ここでレンジに入ったとはっきり認識できます。

そしてレンジのゾーンに入ったら、レンジブレイクのタイミングを意識します。

ここでは④で高値にタッチした後、すぐに⑤~⑥で底値が切り上がり、レンジ上側の抵抗線のすぐ内側に細かい足が密集し始めました

上記で解説したとおり、レンジ内で徐々に上側への圧力が溜まってきた為、底値を切り上げながら、上の抵抗線に張り付くようにローソク足が密集しています。このような値動きがしばらく続くと、抵抗線にローソク足が押し込んでいくような恰好となり、レンジブレイクの期待値も上がります。

そして⑦にて、移動平均線(20EMA)がローソク足をすくい上げるようにブレイクしました。このチャートのレンジブレイク前の動きは、とても仕掛けやすいエントリーポイントになっています。この基本形はしっかり覚えておくようにしましょう。

それでは次に、レンジブレイクのトレードを行う上で、最も注意しなければならない事について解説します。FXではいかにもブレイクしそうに見せかけて、実際にはブレイクしないというダマシという動きがあります。これはトレーダーを困惑させ、ミスポジションを誘うチャート上の罠です。FXではこの罠をスルーし、本物のブレイクをとらえる必要があります。これもチャートを見ながら解説していきましょう。

 

 

223上昇トレンドの中間にレンジが発生しています。その中でよく見てほしいのが、①のポイントです。確かに、下側の抵抗線を一瞬下回っていますが、すぐに下ヒゲとなりレンジ内に引き込まれています。

視覚的にここでラインをブレイクしたからと売りポジションを取った場合、その後に損切りする事になってしまいます。

レンジ内の売り買いの力の偏りが、まだ拮抗している状態の時に上下の抵抗線を一瞬抜けた場合は、ダマシとなるケースが多くあります。上記で解説した上側にレンジブレイクする前の値動きと全く違います。

抵抗線のすぐ内側を沿うように、ローソク足が溜まっていませんし、下側に突き抜けるのを移動平均線(20EMA)がサポートするような恰好にもなっていません。そして高値の切り下がりも①の時点では見て取れません。

このように売り買いの力のバランスがまだ均等である場合、レンジ内に引き戻そうとする吸引力が働くため、①のようなタイミングで仕掛けていくのは危険が高まります

しっかりと売り買いの強弱が偏ってきたのを確認してから、仕掛けていくようにしましょう。

最後に、こんなパターンのレンジも見ていきましょう。

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一見普通のレンジに見えますが、よく見るとレンジの枠を何度もダマシの足が下側に抜け出ているのがわかります。レンジブレイクを試みるも、まだ力不足によりレンジ内に引き戻された結果ですが、徐々にレンジ内の高値が切り下がり、ブレイクする側にローソク足が偏ってきている為、売り圧力が高まっている事は間違いないです。

こういった場合は、そもそものレンジの底値を考え直す必要があります。レンジブレイクを狙った3本の足が①-②-③のラインでしっかりと止められています。このため、このレンジを下にブレイクしたと判断するには、レンジ枠のすぐ下に新しく発生した点線のラインを突破した時になります。FXではこのような応用が必要な時もあります。柔軟に対応できるよう、しっかりとレンジブレイクを理解しておきましょう。

この記事の著者

Dr.ScalpinスキャルピングFX投資家

スキャルピングを始めて12年目を迎えた2児の父です。5年前から専業スキャルパーとして活動していますが、日本ではスキャルピングの情報が少なく、間違った情報が蔓延しているので『スキャルピングFX大辞典』として情報配信を始めました。なお、いろいろ試した結果「ボブ・ボルマン氏のスキャル手法が最強」という結論です。

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