2018-01-07
平直行だから、ここまで書けた…「UWF外伝」から、特に前田日明関係の話を紹介。
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- 作者: 平直行
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2017/11/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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UWFから日本の総合格闘技の歴史は始まった――。プロレスであったはずのUWFが切り拓いた格闘技の扉。
シューティング、シュートボクシング、リングス、K-1、そしてUFC。のちに迎えるPRIDE全盛期に至る前に、
一つの作品がヒットすると関連書籍が次々と出されるというのは本当にありがたいもので、そうでなければこういう本が日の目を見ることはなかったのではないか。
ボーナストラックと言ってもいい。
ただ題名はちょっとギリギリセーフかアウトか、というもので…ご存知の通り平はシュートボクシングから「さまよえる総合格闘家」となり、その後プロレスから柔術まで行ったのだが 、直接 「UWF」 のリングには上がっていないのだ。ただまー、自分のことを「 UWF の外伝」と言いたくなる事も分からんではないほど、その周辺に出没している。
リアルタイムで彼の活躍を知っているモノから見ると色々 感慨深い。
ただ・・・・読む前から、他人事とはいえ気になっていたのが「平直行、実験リーグなどでは選手、その後、レフリーとしてリングスにがっつりかかわってたよな…前田日明のこと…というか前田日明の『試合』のこと…どう描写するのかね…」
とね。ただ読んでみたら「ああ」と腑に落ちる描写だった。それをこれから書こう。
元々、平直行は人間的に前田日明とすごく親しみがあるようで…またさらにすごいのは、前田は指導者としても理論家としても優秀だったと自身の体験談として語っているのだ。
まじか。
まじだ。
一度紹介した、平のブログ記事があるのでそれを再度紹介しよう。
※なお、平の本はもともとこのブログを下敷きにしているらしく、ここも含めてかなり紹介されるエピソードに重複がある。ブログの方が、分量の関係で詳しいところも多い。
前田日明に関する「多重アリバイ」が最近印象深かった - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20170306/p2
でも引用したこれ。
初めて教わったグランドテクニック。 - 平 直行 ブログ 柔術で充実是日々好々 - Yahoo!ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/strapplestrapple/56343323.html
…前田さんは僕に教え始めた。
チェスのように動きを積み重ねて相手を制して一本を極めるまでの流れ
そして駒の動かし方と意味。
つまり本当の基本の技を教えてくれた。
そんな簡単な事さえ僕は全く知らなかった。
話が終るとスパーリングを再開した。
あっという間に動きが変ったのが不思議だった。
前田さんを見ると笑っていた。
そしてこう言った。
テクニックは頭で使い動かすんだ。
この描写だけでびっくりびっくりだ。
じゃあ、前田のイイ話、まとめて先に紹介しよう
他にもこんな場面がある。
格闘技オリンピック、石井館長が野望の大きな一歩となったあの大会で、前田日明はこのブログでも何度も紹介した、木村浩一郎との「(ひそかに)スタンドはエキシ、寝技はガチ」エキシビションマッチをやっている。平直行はエデレンボスという選手とリングスルールで試合をし見事に一本勝ちした。
…試合後のリング上での全員集合挨拶の時、前田さんは僕を見つけると、すっと近づいてきた。あのよく知られたゴンタ顔でぐっと顔を寄せてくる。あれ、気づかないうちに何かやらかしたか、。僕の顔が少しひきつる。
良い話だなー。
さらに。
僕がまだシューティングのインストラクター見習いだった頃、アマレスの強豪選手がスーパータイガージムに来たことがあるその晩狭山さんは不在だったがなぜか前田さんがいたどういう経緯かは分からない。(略)
前田さんは練習が始まると、アマレスのタックルやグラウンドテクニックについて色々質問し、実践形式で教えてもらっていた。 それを遠くから遠慮がちに見ていた僕に、前田さんが声をかけてくれた。
「おい遠慮するな。こっちに来て一緒に教わっていいんだぞ。学ぶ時は皆平等なんだから」
イイハナシダナー。
はっきり言って、前田日明には客人として接するのが大正解で、 間違っても内弟子になるべきではないようだ(笑)坂田との扱いの違いが…
そして、前田日明の「試合」については、ドン・中矢・ニールセンでの試合がプロレスだったことに失望した…と書いてる。だが、新日本プロレスとUWFは「プロレスだった」と書いても前田的にセーフなんだよね。
むしろ、踏み込んだのはシュートボクシング、シーザー武志についてだった。
…試合はあっさりと終わった。あっさりというよりもあっけなく。あっけなくというよりも疑問を抱かせて。
1R2:36、 シーザーさんのミドルキックによる KO 勝ち。シーザーさんのミドルを食らったパーヤップは、大げさなゼスチャーで悶絶し、そのまま起きてこなかった。僕の目には…自分から寝たように見えた。
僕たちシュートボクシングの若手はショックを受けた。どう考えても八百長に思えた。
(略)僕らの心にはどんよりとした想い雲が立ち込めた‥ 失望はすぐに怒りへと変わった。信じていた気持ちが強かったぶん怒りは膨れ上がる一方だった。心の整理がつかない僕たちは試合後、深夜のファミレスにそのまま移動した。まだ若かった僕らは本気で怒っていた。「もうやめよう」
(※なお、そのあと「今の僕はあの試合について別の捉え方をしている」とも補足している)
ここでひとことだけ。
こうやって見ると、「最後の勝者」、あとから答え合わせをして一番正解に近かったのは、フルコンタクト空手の山田編集長だよ!! シュートボクシングもリングスも含めて、彼が言ってたことが正解だったよ!
なーんか、隔靴掻痒だなあ、と思うでしょう? 自分が、「リアルファイトか否か」に焦点を当ててこの本を読み直し、再構成すると、「結論」みたいな部分は、ここに描かれている。なんと彼は、本をかく段階で、偶然リングスの野呂田ドクターと会ったのだ。
会場に入ると廊下で偶然、リングドクターの野呂田秀夫先生とばったり出くわした。
僕は今度 UWF や日本の総合格闘技に関する本を書くことになった、と伝えた。
「そうか。あのね、前田は私利私欲がないんだ。リンクスの頃、膝がすごく悪かった。でも団体のために試合を欠場することはできない状況だった」
(略)
前田さんの膝は日に日に悪くなりただ立つだけでも辛い状態だったそうだ。立っていても膝がまっすぐにならない。そこまで前田さんは頑張っていた。自分のためではなく、 みんなのために。野呂田先生は真剣な顔で僕に言った。
「これ書いてくれよ。あいつは誤解されている。いいやつなんだ、漢だよ。本当はあいつも”格闘技”をやりたかったと思うよ。みんなのために我慢したのかもしれないよ」
野呂田氏。
最初から最後まで、一人去り二人去っていく前田のもとにとどまり続け、最後まで支援していた人だ。
ただ…その人が前田のために弁じたのが「いや、前田は格闘技の試合をしていたよ」ではなく「本当はあいつも、”格闘技”をやりたかったと思う」だった、という。
………もう、これで十分ではないか。
これで、結論ではないか。
個人的には、一瞬そう思ったな。とはいえ一瞬そう思っただけで、おそらく今後ともこのブログではこのテーマを何度も蒸し返しますが(笑)
平は、感慨を込めて言う。
……総合格闘技が誕生する過渡期には、怪しい試合がたくさんあった。改めて見ると、いくらでも突っ込みどころがある。だが、今の選手があの時代にリアルな試合をやっても観客はついてこられず、総合格闘技の火は消えてなくなっていたかもしれない。僕は当時の格闘家がつるや楽をしていたとは全く思わない。それぞれが真剣に考えた格闘技の夢を実現するために考え、努力していた。結果として過渡期に怪しい試合やリアルファイトではない試合があったから今の総合格闘技は存在する。
現在の基準で過去を批判するのは簡単だ。だがことの当事者たちはもがき、苦しみながら目の前の現実と戦わなければならない。過去の礎により、今は創られている。あの時代の出来事のすべてが今の礎になっている。
しかし、これらの描写や総括ができるのは、平直行という人の赫赫たる戦歴、本当の格闘技を求めてさまよった苦悩の歴史、前田日明との良好な個人的関係…などいろいろなことがあったからだとはいえる。
そういう点では「奇跡の一冊」ともいえる。
平氏の、前田日明との個人的なやり取りは、まだ面白いところもあるので、あとで稿をあらためて紹介させてもらいます。
(ひとまず了)
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