さて、新年が明けました。
つまり、メモ習慣を始めるタイミングです。
メモ管理システム
メモしましょう。簡単なことです。思いついたことを、書きつける。それだけです。
ただし、本当にそれだけでは利用は難しいので、一つのシステムを構築しましょう。アイデアメモを管理するためのシステムです。
必要なのは、書きつけたメモを保存しておくことと、後からそれを取り出せるようにすること。簡単ですね。
実装するためのツールは、いくらでも選択肢がありますが、今回はその中から四つを選りすぐって紹介します。
情報カード
アイデアメモの扱い方として伝統的なのが情報カード・システムです。やや厚めのカードに思いついたことを書き留め、そのカードを箱にまとめておく。わかりやすい手法です。
情報カードにはさまざまなサイズがありますが、B7サイズの京大型(あるいは京大式)と呼ばれるカードを使う方法は、『知的生産の技術』(梅棹忠夫)や『知的生活の方法』(渡部昇一)、『考える技術・書く技術』(板坂元)などに紹介されています。
さらに、アイデアメモ以外のメモを対象とした拡張型のカードシステムとして、PoICというシステムがあり、そのシステムでは5×3サイズの情報カードと測量野帳の併用が進められています。
どういうサイズを使うのであれ、1つの事項を1つのカードに書きつけ、それを一つの箱にまとめておくというのが共通する特徴です。
WorkFlowy
アイデアメモの扱い方として、新しく登場してきたのがアウトライナーです。特に、クラウドで使えるWorkFlowyがその用途に適性を持ちます。
使い方は、「アイデア」などと名付けた項目を一つ作り、その下にただひたすらに思いついたことを書き留めていきます。たまにそれらを見返して、編集したり、入れ換えたくなったら、実際にそれを行う。そういう手順を取ります。そのようなアウトライナーの使い方については、『アウトライナー実践入門』(Tak.)で詳しく紹介されています。
Evernote
21世紀のパーソナル・データベース・システムとして登場したEvernoteも、もちろんアイデアメモ管理システムとして利用可能です。こちらもクラウドであり、サードパーティーからさまざまな投稿アプリが出ているので、場所や機器を選ばずメモを投稿できるのがメリットの一つです。
使い方としては二種類あり、「アイデアノートブック」というノートブックを作ってそこにアイデアを書き留めていくか、「アイデアノート」というノートを作ってそこにアイデアを追記していくかの選択ができます。情報カードのメタファーとして捉えれば前者が、アウトライナーの親戚と考えれば後者が、その使い方になりますが、どちらも長所短所がありますので、適宜自分の環境に合わせて選択されるのがよいでしょう。
手前味噌になりますが、『EVERNOTE「超」知的生産術』(倉下忠憲)や『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』(同)が参考になるでしょう。
Scrapbox
最近、考えることが大好きな人たちの間で注目を集めているツールがScrapboxです。Evernoteと似た感触はありますが、運用方法は違っています。むしろ、「デジタル版情報カード」として捉えやすいのはScrapboxの方でしょう。
基本的には、1トピックを1ページに当て、話題をあまり膨らませないように注意しながら、その代わりにページにどんどんリンクを貼っていくのがメモの運用に向いています。このリンクは、Evernoteで言えば「タグ」なのですが、より自由度の高い、応用範囲の広いものになっています。
それ自身を大きな塊にするのではなく、小さな断片(≒Scrap)に留めておく。そして、それをリンクで繋いでいく。そういう使い方です。
運用のポイント
どのようなツールを使っても構いませんが、アイデアメモの扱いにおいて重要なのが、
「分類するな、配列せよ」
という梅棹忠夫さんの言葉です。
「分類するな」というのは、もっともなことで、もしそれが自明に分類できるなら、「アイデアメモ」ではなくどこか必要な場所に送られているはずです。そういう場所がないからこそ、「アイデアメモ」のようなふわふわとしたカテゴライズで扱われているわけで、それを無理矢理分類しても良いことはありませんし、アイデアが持つ越境的な可能性を狭めてしまう恐れすらあります。
ちなみに、Evernoteのノートにタグを付けたり、Scrapboxにリンクを貼ったりすることは「分類」ではありません。「属性の明記」です。前者は、一カ所にそのアイデアを固定してしまうのですが、後者にはそのような縛りは特にありません。その違いが重要です。
次に「配列せよ」ですが、これは、「時系列に並べよ」という含みもありつつ(時間というタイムスタンプは強力なのですが、その話は割愛しましょう)、それよりもむしろ「一カ所に並べる」の方がより強い意味を持つでしょう。
一カ所に並べることで、圧倒的に探しやすくなりますし、また「雑多なものが並ぶ」ことにより新しい思考の刺激が生まれることもあります。アイデアメモの役割から考えると、そのような特性を持たせることは必須とも言えます。
※私はこれを「ワン・アウトラインの思想」と呼んでいますが、それを解説する本はまだ書いていないので、参考文献はありません。
さいごに
現代はツール的に非常に豊かなので、「情報カードしか選択肢がない」ということはありません。アナログなツールでも多様ですし、デジタルツールともなると、選ぶのが困るくらい選択肢があります。
どのようなツールを使っても基本的には大丈夫ですが、とりあえずは、「分類するな、配列せよ」の心がけを守ることと、そこには「アイデア」以外のものはなるべく入れないようにすることがポイントとなります。
アイデアメモは雑多さが重要だと書きましたが、雑多過ぎると扱えなくなります。ゴルディロックスな雑多さを維持することが、大切なポイントです。
▼今週の一冊:
タイトル通り、日記の良さと始め方が解説されています。ブログが人生(についての認識)を変えるように、日記も人生(についての認識)を変えてくれます。アイデアメモと同じくらい大切なものですね。
え~、12月中に完成させる予定だった新刊が、物の見事に間に合いませんでした。すいません。というわけで、お詫びセールとして以下の本を今日(1月7日)までセールにしました。新年にぴったりな本なので、よろしければご覧ください。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。
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人生の時間は限られているので、あらゆることを経験することは不可能。となれば、誰かの経験を疑似体験することで糧にしていくしかない。
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