一種の体内体重計のように機能する生体メカニズムが発見された。これは体重を脳に伝え、必要に応じて食事の摂取量を増減させるように働く。
その体内体重計は座っているとスイッチが入らない。メカニズムは座っているときには発動されない。食べ過ぎた時に脳から注意せよという警告が発令されるのは立っているときや動いているときだ。
現段階ではマウスでしか確認されていないが、人間にも同じようなシステムがあり、新しい肥満治療などの発見につながるのではないかと期待されている。
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体重増加は下肢で検出される
新しい体脂肪制御プロセスが明らかにされたのは、レプチンが発見された1994年以来のことだ。
脂肪細胞からから分泌されるレプチンは、 食欲を抑制し、エネルギー代謝を活性化させる機能をもつペプチドホルモンである。
「ごく簡単に言うと、体内体重計の存在を示唆する手がかりが得られたわけです」とスウェーデン、ヨーテボリ大学のジョン=ウロフ・ヤンソン(John-Olov Jansson)教授。
「体重は下肢で検出されます。体重が増加傾向にあれば、食事を減らせというサインが脳に送られ、体重を一定に保とうとします」
マウス実験で体内体重計の存在が明らかに
そもそも今回の研究は、座っている時間が長いと肥満のリスクが高まる原因を探るためのものだった。立っていた方が健康にいいのは分かっているが、その具体的な理由は今のところはっきりしていないのだ。
実験では、もともと肥満しているマウスをさらに太らせ、その経過を観察した。すると体脂肪が減少し、血糖値が改善した。
実に加えられたのと同じだけの体重が減っていたのである。このことから余分な体重を検出し、食事を監視している機構が体内に存在することがうかがえた。
image credit:Fatmouse - Adipose tissue - Wikipedia
体内体重計は座っているときには働かない可能性
研究はまだ初期段階であるが、これは人体での現象をも説明できる可能性がある。つまり座っていると体重が重くないと勘違いされてしまい、食べ過ぎに注意せよという警告が発令されないのではないかと推測されるのだ。
仮に同じようなメカニズムが人体でも確認されれば、レプチンと体内体重計を組み合わせた肥満治療を開発できるかもしれない。
体内体重計の鍵は体の下部にある骨
この体内体重計の仕組みはまだはっきりとは分かっていないが、その後の研究から、体の下部にある骨が関与しているのではと推察されている。骨細胞が骨にかかる重量や負荷を検出し、それを脳に伝えているようなのだ。
骨細胞を取り除いたマウスを使った実験では、体重を付与してもそれまで見られたような食事量の減少は確認されなかった。
人間の場合、長時間座っていると体重を支えている骨細胞の負荷が低下し、体重を調整するためのサインが脳に発せられなくなるのかもしれない。その結果として、肥満につながることになる。
詳しいことは今後の研究が待たれるが、近いうちに肥満の理解がぐっと進むかもしれない。
References:pnas / sciencedaily / newatlas/ translated by hiroching / edited by parumo
とりあえずはずっと座りっぱなしの生活を何とか改善しなくては。30分に1度は立ってうろちょろしよう、そうしよう。
関連記事:座りっぱなしは体に危険!デスクワークが多い人の為の5つの簡単エクササイズ
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コメント
1. 匿名処理班
面白い!体に体重を調整する機能がないはずがないし、座ってると体重を軽く感じるってのは納得。
二足歩行に参加した弊害?
2. 匿名処理班
オレは大丈夫
ほぼ1日座ってるけど、ちょくちょく勃ってますからね
3. 匿名処理班
足の筋肉が衰えるからメシ時や部屋で遊ぶとき、いよいよ疲れたとき以外は座らないかな。
バス停で地べたに座ってダベる学生をみると何だかな~と思う。
4. 匿名処理班
立ち食い蕎麦と立ち飲み屋のブーム到来
5. 匿名処理班
そもそも立ってるだけでも疲れるよね
6. 匿名処理班
立ち仕事毎日10時間。
痩せまくる。
7. 匿名処理班
ちょっと信じられない
これが本当だとすると、運送業などの重いものを運ぶ人は体重が増えないことになる
肥満はしないかも知れないけど、筋肉もつかなくなるんじゃないの?
8. 匿名処理班
分かる気がする
太り過ぎたなあって思った時はなるべくつま先立ちをするようにしてる
そうすると引き締まった気がして、安心する
9. 匿名処理班
すぐさま立って箪笥の上にPC置きました
10. 匿名処理班
Sitting is killing youと言われてるし、座りっぱなしは健康にも悪い