ついにスタートした「Wake Up, Girls! 新章」。いつもと変わらない7人の日常と、ステージ上での7人。そんな「Wake Up, Girls!」メンバーの姿を再び見るのを待ち望んでいたファンは多いのではないだろうか。と同時に、本作は声優ユニットしても、声優としても成長した7人の姿もフィルムから感じることができる仕上がりとなっている。
そんな「Wake Up, Girls! 新章」について、島田真夢役の吉岡茉祐さん、片山実波役の田中美海さん、菊間夏夜役の奥野香耶さんにたっぷりと語っていただいた。
⇒2017秋アニメ
「WUGって何だろう」(吉岡)
――2014年に劇場版「Wake Up, Girls! 七人のアイドル」とTVシリーズ「Wake Up, Girls!」が始まりましたが、キャラクターと演者の下の名前が同じであったり、声優ユニット「Wake Up, Girls!」(以下、WUG)としても活動していたりと、ここまでキャラクターと演者の繋がりが深い作品というのは、それまでになかったと感じています。作品のスタートから3年が経った今だから感じる、WUGらしさとかWUGならではのものって何だと思いますか?
吉岡 WUGって何だろうっていうのは、最初の劇場版からずっとあります。見てくれているファンのみなさんの中にもある程度、WUGってこういうものだっていうのがあると思うんです。私は、「Wake Up, Girls!」が何なのか、あえて明言しないようにしているんですけど、……何だと思う(笑)?
田中 ね~(笑)。言葉にするのは本当に難しいんです。でも、今ではアニメのOPをキャストさんが歌ったり、そこでユニットを組んだりすることは多くあるんですけど、WUGは一般のオーディションから始まって、全然経験したことがない子が集まって、ゼロから一緒に活動をスタートしてるんですよね。この世界(声優の世界)を改めて知れば知るほど、「私たちって結構珍しい存在なのかな」と思うんです(笑)。デビューした形も新しかったし、いろんなことが挑戦だったなって。だから挑戦がよく似合うのが、WUGなのかなって思っています。
吉岡茉祐さん
──そうでしたよね。声優ユニットとしてもゼロから始まって、アニメの中でもオーディションを経て、ほぼゼロからみんな始まる。まるで2つの人生を生きているみたいですね。
田中 そうですね。キャラクターとも同じ名前ですしね(笑)。
──奥野さんはいかがですか?
奥野 アニメの「Wake Up, Girls!」では表ではキラキラしているけど、裏では本当にありふれた日常を過ごしているWUGのメンバーが描かれていて、その差がすごく面白いなって感じるし、それがWUGならではという感じでいいなって思います。
──表と裏との差は確かに大きいかもしれませんね。アニメで描かれた裏の部分を実際に経験するなんてこともありそうですね。
田中 「新章」の1話でもそうですけど、「(ステージに上がる直前に)忘れ物をしちゃった!」って気づくこととか結構あるんです。腕に付けるものを忘れちゃうとか。
奥野 別の靴を履いて出ちゃったりとか。
田中 私、靴のチャックが開いたまま踊っちゃった(笑)。あと物忘れは本当に多いですね。ツアーの早着替えも、忘れないようにスタッフさん総出で確認するんです。「腕付けた? ブーツ履いた? 髪付けた?」って。
吉岡 3点セットだね。
──それでも忘れちゃうこともある?
田中 去年あったよね? 美佑と七海が、「Beyond the Bottom」の白衣装の腕の金色の輪っかを忘れて(笑)。「あ、ない!」って。で、パッと横見たら、衣装さんがすごく焦った顔で「七海ちゃん! 美佑ちゃん!」って言ってたのが、今でも忘れられないです(笑)。
吉岡 「Wake Up, Girls!」ってそういった部分を包み隠さず全部出している感じがします。逆に、そこまで出していいんですね、って思いました(笑)。アイドルって(普通の人と)かけ離れた存在に見えるけど、意外と普通の人と変わらないんだよ、人間だしっていうところで、皆さんも親近感を持ってくれてるのかなって思います。
──そうですね。「新章」の1話もかなりぶっちゃけた内容ではありましたね(笑)。声優ユニット・WUGについての話になるのですが、2016~2017年はWUGにとって、たとえば別作品のタイアップ曲を歌うなど、かなり特殊な活動が増えた1年だったと思います。改めて振り返ると、どんな1年でしたか?
吉岡 まず、(他作品のタイアップを)やっていいんだって思いました(笑)。掟破り感がありますよね。だって「Wake Up, Girls!」なのに。それに関しては私たちも最初不安を感じていました。でもいざやってみると、声優ユニットとしてWUGを見てくれている人が多いんだなと感じられて、そこはすごく嬉しかったですね。
──やっぱり不安だったんですね。
吉岡 大きい会議室に集められて、何を言われるんだろうと思ったら、「タイアップをやります」って言われ、ええええ!!みたいな。
田中 ユニット名は「Wake Up, Girls!」のままでいいんですか?ととまどいましたね。最初のタイアップ曲「僕らのフロンティア」はTVアニメ「灼熱の卓球娘」のEDテーマで、作品の世界観ともすごく合っていて、爽やかな楽曲だったんです。だから、「WUGってこんな曲も歌ってるんだね」みたいな感じで、これまでとは違う形で私たちを知っていただけたので、みんなだんだんとプラスにとらえられるようになりました。
奥野 TVアニメ「恋愛暴君」のOPテーマ「恋?で愛?で暴君です!」は特になんですけど、これまでのWUGにはなかった曲調で、歌ってても楽しいし踊ってても楽しい。それにミュージックビデオも結構はちゃめちゃな感じだったので、同じメンバーでこういう見せ方もありなんだと新しい発見がありました。
──いろいろやったうえで、今回はまた原点の「Wake Up, Girls!」という作品に戻るみたいな感じですね。
吉岡 1周回ってきたって感じ。
田中 1年置いて、ここに戻ってきた感じですね。
「きっとがんばりが繋がったんだなって、嬉しかったです」(奥野)
──「新章」が制作されるという話は、結構前から知っていたのですか?
田中 別作品のタイアップをすると聞いたのと同じくらいのタイミングで、「来年秋にやるよ」と話をされました。
──その時はどういう気持ちだったんですか?
吉岡 個人的には、正直タイアップのほうが衝撃が大きくて(笑)。
田中 うん。(「新章」は)結構先だったからその時は実感も湧かず、それよりタイアップってヤバい!みたいな(笑)。
吉岡 だから「新章」は放送が近づいてきて、やっと実感が湧いた感じです。
田中 じわじわと嬉しさがこみ上げてきて、脚本を読んでいくうちに「楽しみだな」と思うようになりました。でも、私たちは舞台(「Wake Up, Girls! 青葉の記録」)もやっていたので、「Wake Up, Girls!」と離れている気持ちはありませんでしたし、すんなり気持ちをアニメに向けられました。
奥野香耶さん
奥野 私たちも(作品がない中で)どうやって、ワグナーさんを繋ぎ止めていけばいいんだろうって話したりもしていたんです。そんな中で「新章」をやると聞いたので、きっとがんばりが繋がったんだなって、嬉しかったです。
吉岡 だから何もない時期がすごく辛かったですね。「新章」のことを知らされるまで、目標も何もない期間が半年くらいあったので、そこで何を目指せばいいんだろう。でもとりあえずがんばらなきゃ次がないしというところで、すごくむしゃくしゃしていた感じはありました。
──その期間は、個々でダンスや歌のレッスンをしてたり?
吉岡 何か共通の目標を決めていました。東北6県ツアーだったり、さいたまスーパーアリーナだったり、聖地巡礼ライブだったり、いろいろと目標を立ててたよね。
田中 うんうん。
奥野 東北も、回りたいなって話をしていました。