遠藤保仁が「体力B判定」でも活躍できたワケ
サッカー界の天才は日々何を考えているのか
「先読み」と「シンプル思考」を鍛えるには
当たり前に聞こえるかもしれませんが、サッカーというスポーツはフィジカルが強いほうが有利だとされています。相対的に体が小さい日本人プレーヤーが、フィジカルの強い外国人と真正面からぶつかれば、分が悪いのが普通です。
しかし、サッカーのうまさはそれだけでは決まらないというのが僕の持論です。もし、フィジカルで勝敗が決まるのであれば、僕は日本代表に呼ばれることはなかっただろうと思いますし、プロ選手として長くプレーすることも不可能だったはずです。実際、日本代表選手の中でも、僕の体力測定の数値は下から数えたほうが早かったぐらいです。それでも世界の舞台で戦えているのは、つねに「先読み」と「シンプル思考」を心掛けてきたからです。
サッカー選手としての僕を支えてきたのは「先を読む力」です。そして、「先を読む力」は、個人のセンスに左右される部分もありますが、ある程度は自分で磨くことができると考えています。ふだんの生活の中でも、先読みのトレーニングは可能です。
身近な話でいくと、僕は車の運転をしているとき、どの車線を走れば前が詰まることなく、スムーズに流れに乗ることができるか、つねに考えています。前方の混雑状況だけでなく、バックミラー越しに映る後方の交通量や道路状況なども考慮しながら、自分が走る車線を選択しています。
家族と一緒にスーパーへ買い物に出掛けたときも、どのレジに並ぶべきか、いつも予測しながら決めています。単純に列を作っている人の数を見るだけでなく、買い物かごの中に入っている商品の数もチェックしています。並んでいる人の数が多くても、買い物かごの中の商品が少なければ、列は早く進みますからね。
ベテランの店員さんは手際がいいので、素早くお客さんをさばいていきます。そんな要素を総合的に判断して、自分が並ぶべき列を決めています。