数百ページ書き上げた
こう言われた
「女の子が冒険する訳ないよね? エロく出来ないなら主役は男にしようよ」
「モンスターと戦うのはいいけどさ、暴政っつうのはちょっと・・・」
「ダメですか」
薄ら笑いを浮かべつつ、顎をなでた
それを見る僕の目は虚ろになっていく
「君の作品はさぁ、『正しすぎる』んだよね」
「正しさ、とは?」
あえて権力に下る! 表現の自由に挑戦する! 的なね 分かるかな」
そうか ぼくにはこの世界が向いていないのかも
思い起こすと虚しくなる
誰もが即物的快楽に生き、何がダメかの基準は至極単純な上下関係だ
だが、そのあとに残ったのは何か
そこはかとないやるせなさを感じ、たばこをベランダから投げ捨てた
下に通行人がいたのなら、きっとぼくの行為に憤慨してるかもしれない
だが高所に居るぼくが今のところ、強い側なのだ
完
セカイ系的思考回路だ