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時代の正体〈560〉岐路の憲法【1】悲願へ、勢いづく右派

安倍改憲考

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2018/01/01 11:21 更新:2018/01/04 15:33
【時代の正体取材班=田崎 基】 師走が迫る2017年11月27日、東京・港区の東京プリンスホテルに約2千人が詰めかけていた。国内最大の右派団体「日本会議」の設立20周年記念大会。発言者を映し出す巨大スクリーンが前方と後方の計3カ所に据えられ、全国47都道府県の日本会議地方支部の旗がずらりと並ぶ。熱気に包まれた大会は「君が代」斉唱で始まった。

 日本会議に賛同する与野党国会議員約60人、地方議員約70人が出席する中、安倍晋三首相のメッセージが読み上げられる。

 〈憲法は国の未来、理想の姿を語るもの〉
 〈自由民主党は国民に責任を持つ政党として、憲法審査会における具体的な議論を美とし、その歴史的使命を果たしていきます〉

 昨年10月の衆院選と同様、緊迫する北朝鮮情勢や少子高齢化を「国難」と位置付けた上でこう呼びかけた。

 〈日本を世界の中心で輝く国としていく決意です〉

 2時間に及んだ記念大会は、日本会議国会議員懇談会政策審議会長の山谷えり子参院議員が壇上の中央に歩み出て締めくくった。

 「いま憲法改正は正念場でございます。ゆるゆるとしていていいものではありません。機は熟しつつあります。国民の皆さまの理解が広がりつつあります。私たちはそれぞれの場で今までに倍して倍して頑張り抜きましょう。それを誓ってこれからの勝ちどきを上げましょう」

 「憲法改正実現へ。国会での発議、国民投票の勝利に向けて、エイ、エイ、オー!」。参加者が一斉に腰に手を当てて拳を突き上げる。高揚感が会場を満たした。

熱気と高揚の中で


 「同じ思いを抱いている人が2千人も集まった。そのことを肌で感じることができたのが一番よかった」

 熱気が冷めやらぬ中、岐阜県から駆け付けたという男性(53)は意を強くしていた。

 採択した20周年記念大会宣言文にはこうある。

 〈いよいよ我々は、憲法改正実現のための正念場を迎えている。憲法改正によって、わが国は初めて自主独立の精神が明確となり、誇りある日本の姿を世界に示す道筋が開かれる〉

 憲法改正で自主独立の精神が果たして明確となるのか、誇りある日本の姿が示されるのか。男性に問いを重ねた。

 -憲法を変えても独立国家としての自立性が確保されるわけではない。日米地位協定や安全保障条約などで明らかなように、日本は米国に従属しているからだ。日米関係の在り方を見直すなど、改憲よりも先にやるべきことがあるのではないか。

 「確かにそうかもしれない。だがまずは改憲という結果を出さないと。衆参両院とも改憲発議に必要な3分の2以上の賛同は、2019年夏の参院選以降どうなるか分からない。いまからやれることをやる。それが現実的な対応だろう」

署名達成率「99%」


 このおよそ1カ月前。自民党が圧勝した衆院選の3日後の17年10月25日午後、日本会議が主導して設立した改憲推進団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(国民の会)が東京・千代田区で国民集会を開いた。ここでも満員となる700人が詰めかけた。

 共同代表でジャーナリストの桜井よしこ氏が基調提言し、安全保障法制を「合憲」と主張する憲法学者の一人、百地章氏が決議文を読み上げた。

 自民党が改憲4項目を公約に掲げた衆院選で、改憲に前向きな政党が議席の8割を占めるに至ったことを説明した上で、こう決議した。

 〈北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射は核開発と相まってわが国のみならず世界の平和にとって深刻な脅威になりつつある。わが国の平和と安全にとって不可欠な自衛隊を憲法上いつまでも曖昧な存在にしておくわけにはいかない。憲法施行から70年、自衛隊が創設されて以来63年が経過した今こそ、憲法9条を改正し自衛隊の存在を明記することが何よりも求められている〉

 〈首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生が予測されている中で、現行憲法には大規模自然災害等の事態に対処するための緊急事態条項が存在していない。世界各国で常識となっている緊急事態条項が現行憲法にないのは、憲法の根本的欠陥以外の何物でもない〉

 高らかな宣言に盛大な拍手が湧いた。

 日の丸が掲げられた壇上には「今こそ、各党は憲法改正原案の国会提出!」と「1000万賛同者拡大運動 989万8012名」が書かれた横断幕が掲示されていた。その達成率は99%。国民の会が14年10月から始めた改憲運動だ。用紙の裏には署名欄がある。氏名に加え、住所と電話番号を書き込むようになっており、注意書きに狙いが記されている。

 「国民投票の際、賛成投票へのご賛同の呼びかけをさせていただくことがあります」。有権者への浸透を目指す草の根運動の「声かけ名簿」として使われる見通しだ。

「草の根」運動再び


 憲法公布から71年を迎えた11月3日。寒風が吹く中、買い物客が行き交う横浜駅西口の高島屋前には日の丸が掲げられ、のぼり旗には「ありがとう 自衛隊さん」の文字がはためく。日本会議神奈川が主導して設立した「憲法改正を実現する神奈川県民の会」が街宣活動を行っていた。

 中心メンバーの木上和高さん(71)=鎌倉市=は今後の右派の草の根運動の展開をこう説明する。

 「護憲派の『9条の会』は少人数の勉強会を各地で開いている。改憲に消極的な女性の賛同がもっと必要だ。私たちも国民投票に向けて県内各地で勉強会を開いたり、こうして街に出たりして訴えていく必要がある」

 マイクを握り直した木上さんの訴えが街頭に響いた。

 「まずは第一歩として自衛隊を憲法に明記し、自衛隊が違憲だと言われるようなことがないようにしたい」


 戦後70年余りを経て、憲法改正が現実のものとなろうとしている。悲願に向け邁(まい)進する安倍首相は東京五輪に合わせた「2020年施行」を目指し、9条への自衛隊明記を含む改憲4項目を掲げる。国内最大の右派団体「日本会議」は2018年を「改憲」に向けた最重要年と位置付ける。岐路に立つ日本国憲法の正念場に迫った。

【連載】岐路の憲法(2)屈折するも一点突破

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