高齢者をターゲットにマルチ商法を展開し、銀行から取引停止処分を受け倒産に追い込まれた「ジャパンライフ」。国民生活センターが昨年12月29日に設置した「ジャパンライフ専用ダイヤル」には6日間で計273件の相談があった。

 ところが、過去10年で約1500件もの相談が寄せられていた大問題だというのに、大手メディアはなぜかあまり報道していない。そもそも、これまで消費者庁から4回も業務停止命令を受けたのに、ほとんどニュースになっていなかったことが不可思議なのである。

 日刊ゲンダイは、ジャパンライフが問題ビジネスを続けてこられた背景に、政官との癒着が影響している可能性を報じ、安倍政権との接点も指摘してきたが、実は大手メディアにも“毒”が回っているのではないか、とみられるのだ。

■新聞社幹部は顧問を務めていた

「ジャパンライフの山口隆祥会長がマスコミ関係者と懇意にしているのは有名な話です。会長は、自ら主催した勉強会にメディア幹部を招いたり、中元、歳暮なども定期的に贈っていたといいます。実際、大手新聞社の関連団体の幹部は、かつてジャパンライフの顧問を務めていたほどです」(専門紙記者)

 ジャパンライフは、マスコミ各社に自社製品の広告記事も頻繁に出稿している。同社のホームページ(HP)には「弊社の商品がメディア掲載されました!!」とデカデカと宣伝され、大手新聞社や週刊誌などへの“広告掲載実績”が紹介されている。HPには、09年以降の実績が掲載されているが、16年末に消費者庁から行政指導を受けた後も、たびたび広告を出稿し続けていたのだ。

「昨年9月の消費者庁会見で、岡村和美長官は記者からの質問に答える形で、ジャパンライフが16年末で339億円もの債務超過に陥ったことを明かし、問題視しました。会見で個別案件について言及するのは異例のことです。長官は非公式な場で『しっかり報道してほしい』とまで話したといいます。それでも、大手メディアはほとんど報じませんでした」(前出の専門紙記者)

 昨年12月20日に、愛知県の被害対策弁護団に告発されて以降、山口会長と長女のひろみ前社長は、今も行方をくらませている。大手メディアが“忖度”し報道を控えているのなら、問題である。