JR九州は3月、九州新幹線や在来線の運行本数を減らすダイヤ改正に踏み切る。佐賀県関係では7本の削減、始発や最終便の時間繰り上げなどが予定されている。人口減少に伴う鉄道事業の合理化、地域の交通インフラ維持をどう考えていくのか。青柳俊彦社長に見解を聞いた。
-3月のダイヤ改正に踏み切った理由、経緯を教えてほしい。
JR九州が発足した1987年、列車を千本増やして約3千本にした。便数を1・5倍にして利便性を向上させた。30年が経過した今、少子化で状況は大きく変わった。福岡市など県庁所在地の利用客は増加しているが、2分の1となったところもある。そこで列車を1本ずつ調べ、利用が少なく使命を終えた便を削減することにした。早朝や深夜、昼間などできるだけ不便をかけないことを第一に改正した。
-突然の改正公表に驚いた住民や自治体は多い。事前に説明がほしかったという声もあるが。
公表前の昨年11月中旬以降、佐賀県を含む関係自治体に概要を説明してきた。社長就任以来、効率化を進めると言い続けてきた。手順は踏んできたと思う。
-改正を受け佐賀県は地域の要望を聞き、利便性向上を図るようJR九州に要請した。どう受け止めたか。
真摯(しんし)に向き合いたい。年間を通して地域の意見は聞いており、改正に関して説明する住民集会のようなものは考えていない。利用状況を見ながら修正はするが、現在考えるベストのダイヤと思う。理解いただきたい。
-株式上場し、株主からは経営合理化を一層求められている。1キロ当たりの1日平均乗客数「輸送密度」の2016年度実績を昨年発表した。
自治体やお客さまに現状を理解してほしくて公表した。鉄道単体では87億円の赤字が出ている。他事業の黒字で埋めるのではなく、コスト削減と増収に取り組むことが鉄道を永続させることにつながる。ただ、「路線の維持」は必要と考えている。
-「路線の維持」とは、現状の路線をそのまま残すという意味か。
それも一つ(の選択肢)なのだが、交通ネットワークを維持するという意味だ。(路線を自治体が保有し、JRが運行を担う)上下分離、バス代替などいろんなやり方がある。コストと利便性をてんびんにかけ、地域の方々が方向性を決めてほしい。こうした動きが醸成してから地域や自治体と議論したい。
-九州新幹線長崎ルートに関する今年の見通しは。
2022年度の武雄-長崎間のホームでの対面乗り換え運行(リレー方式)の考え方について、自民党の委員会が3月までに方向性を見いだすことが決まった。(国の)鉄道局を中心に議論、調査が進められていると聞く。われわれも求められれば意見を伝えたい。一刻も早く方針が決まることを望んでいる。