実写映画の可能性を感じさせる作品です
- hid***** さん
- 2014年3月2日 1時20分
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- 総合評価
ワタシは原作を読んだのは20年以上前に1回きりだから,さっぱり分かりません。
小豆島はまあいいとしても,最初の山岳の街の設定が個人的には若干ビミョーかと思いました。
イタリアとかスイスあたりの街のような印象を受けましたが,山の峰の間にあんなに蜘蛛の巣のようにつり橋を渡すには,費用対効果として意味がないなあなんて思いました。
おとぎ話っぽい街を描いたのだからいいのでしょうが,そういう設定が若干は気になりました。
それは,グーチョキパン店でも同じです。
やはりパン屋であれば,街中の商店街に開くのが当たり前なので,それを丘だか山だかの上の風車のところにしたのが,現実的にはちょっとどうかなと思いました。
その風車で小麦を挽くという設定なのでしょうか?
けど小麦を挽くならば風車ではなく水車だと思いますし。
そういう細かい設定はともかく,ストーリー的にめちゃくちゃ奇妙な設定があるわけではなく,魔女であるとそういう苦労があるのか,など,概ね理解できるもので,好感が持てました。
現代に魔女はいないとはいえ,女だから,田舎者だから,学歴が低いから・・・などと,なにがしかの理由で差別されるタネはそこらじゅうにあります。
魔女というのは,原作からしてそうなのでしょうが,差別を受けながら生きる人々のメタファーとして描かれていると捉えていいでしょう。
また,技術的にも,CGをふんだんに使うよりも,特撮的を多用したような感じで,体を張った演技に好感が持てました。
ただ,やはり特撮ですから,”吊り下げられてる”感はどうしても残っていると感じました。
やはり人間の演技が面白いのですから,基本的には特撮としながら,飛んでいるときの服のバタつきみたいな,ちょっとしたところを,上手いことCGにできないかなあ?などとも思いました。
あと,これまた細かい点ですが,特撮が主なので,どうしても光源が近くにある感じが否めないのは,残念といえば残念でした。
いまプロジェクションマッピングとかあるのですから,それを俳優の顔や体の上に対してやるイメージで, 無限遠からの太陽光とかを,演技する俳優の上に上手にマッピングできないものかと思います。
あと10年以内くらいには,特撮でありながら無限遠からの光をマッピングできる技術は出てくると確信します。
上で書いた,特撮の上で,服のバタつきみたいなちょっとしたところだけをCGにする技術もやはり,あと10年以内くらいには出てくるでしょう。
出てきて欲しいという願望でもありますが。
とにかく,これまで観てきたようなハリウッド映画のように,CGに頼り切ってないのはいいと思いました。
今後も,映画界はほんのちょっとだけ世界を変えるようなイメージの作品に,どんどん挑戦してみて欲しいと思いました。
そういう想像力をかきたてる映画でした。
そういう意味では,ジブリの作品は,よく,”実写でもできるんじゃないか”と言われながらも,アニメ化してきたことが思い起こされます。
これからは,いろんな技術を融合することで,ジブリがアニメ化したものやそれに類するものを,別の切り口から,自然な映画として実写化することが可能と思わせてくれました。
そんな映画でした。
小芝風花さん,可愛かったです。まずまず演技もできていたのではないでしょうか。
しかし,「萌の朱雀」で初めて尾野真千子を見たときや,「がんばっていきまっしょい」で田中麗奈を見たときの,えもいわれぬ輝きみたいなものまでは感じませんでした。
やはり,先に顔優先のオーディションで選ばれたらしきところを,どうしても感じてしまいました。
まあワタシは辛口批評なので,小芝風花さんには,その批評をバネにして頑張って欲しいと思います。
尾野真千子は,「萌の朱雀」のときに中学生の割にすごくなまめかしいイメージがあって期待していたのですが,それから長らく見かけずどうしたのかと思っていたら,近年見かけるようになって,今回もおソノ役で見られて個人的にはうれしかったです。
・・・まあ,さすがに「萌の朱雀」の輝きはいまでは感じなくて,だいぶおばちゃんになったなあ,なんて思っちゃうんですけど。
あと,トンボには空へのこだわりが宮崎アニメ版よりも強く感じられ,活躍シーンがいっぱいあって,ワタシが女性ならば,宮崎アニメ版よりもトンボに惚れてしまうなあ,と思いました。
とにかく,全体的になかなか面白かったと思います。
また,清水崇監督はホラー以外もできるし,やる意欲がある感じにお見受けしましたので,できれば今後は,もっとフツーの人々のちょっとしたできごとに焦点を当てた作品を撮っていっていただけたらと思いました。
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