サンフランシスコで大企業からスタートアップに転職した にも書いたけれど、スタートアップに転職したい、という気持ちがあって、実際に転職したので、その経験をまとめておきたい。実際に転職活動していたのは2017年8月だけど、書くのが遅くなってしまった。
応募まで
@hmskさんのツイートで知った A-List という求人サイトを主に利用した。A-Listは「top engineers&designersがtop tech companiesと出会える」というのを標榜している求人サイト*1で、AngelListによって運営されている。
A-List上でレジュメを提出して書類選考を通過すると、参加企業のうち自分のプロフィールに興味のある企業からメッセージが届く。自分の場合はレジュメを出してから数日のうちにapproveされて、その後A-Listの面接官を相手に45分くらいのコーディング面接をして*2、その後一週間くらいの間に30件くらいの企業からメッセージが届いた。
ところで、自分はA-Listを使うにあたって、超初期(一人目のエンジニア、シード調達したばかり、とかそういう)のスタートアップをなんとなく想像していたのだけど、実際に連絡が来た会社はシリーズA以降の会社が多い印象だった。転職サイトにお金払って人を増やすようになるにはある程度資金や成長の見込みが無いといけないので、まあ考えてみたら当然である。自分はプロフィールに小さい会社が良いと明記していたけど、AsanaやLeap Motion, Postmateなどの、すでにだいぶ成長しているスタートアップからも連絡が来た。
面接まで
実際に転職活動を初めていろんな会社から連絡をもらうことで、 自分にとっての重要な点が明確化されていったように思う。
などを基準として、自分が興味がありそうな会社からの連絡に返答し、面接の日程を調整していった。
なお、この時点では待遇や細かい職務内容は気にせず返事をしていた。
自分が見ていたサイズの会社だと、founder自身*5が直接連絡をくれるケースが多くて、やり取りをしている時点で会社の雰囲気など想像出来たのでよかった。
電話面接
連絡をくれた会社のうち興味がありそうな会社5つほどに返事をし、電話面接をした。面接の内容としては、コーディングが全体の90%をしめるようなものもあれば、ただCEO/CTOと話すだけというようなものもあった。ここで業務内容と自分のスキルがフィットしてない一社には落とされてしまったので、残る4社のオンサイト面接に進むことに。
オンサイト面接
このときはまだ当時の職場に退職の意志を伝えてなかったので、なんとか時間をやりくりしてオンサイト面接に行った。当時の職場は勤務体系などについてはだいぶ緩かったけど、オンサイト面接に行くとなると一社あたり数時間かかるので、微妙に大変だった記憶がある。
オンサイトの内容も会社によりけりで、4つのインタビューが全てコーディングにフォーカスしたものもあれば、半分くらいの時間を非技術者の人と話すような会社もあった。スタートアップとしてはカルチャーにマッチする人を雇うのは大切だと思うので、カルチャーマッチ的な面接がある会社のほうが自分としては好印象だったけど、自分のスキル的には英語で会話するよりホワイトボードにコーディングするほうがよっぽど気楽なので、ただ会話するだけの面接は大変であった。
また、自分は前職ではずっとAndroid開発を主にやっていたのだけど、転職を機にfullstack engineerとしてWebのバックエンドからフロントエンドまでをやるようなpositionでの面接が多かった。このあたり、前職ではほぼ経験がなかったので、サイドプロジェクトでいろいろやっていたことが役にたった。
面接の結果として、リファレンスを求められたり、こちらからお断りしたり、他の候補者を面接する間待っていてくれと言われたり、さまざまだった。
給与交渉
結局最初に受けた会社が良さそうだなということで、リファレンスチェックを通過したあと、給与などの詳細を相談することに。 僕は最初に新卒で入社したときのオファーにまったく交渉しなかったことをひそかに後悔しており*6、今回はどのようなオファーを貰おうともちゃんと金額を確認し交渉するつもりだった。
一方で、現実的にはスタートアップの給与はGoogleなど大企業と比べて低くなってしまう傾向にある*7。実際に、自分が提示された金額は、前職と比べるとそれなりに下がる金額であった。
一般に、スタートアップでの現金給与は大企業より低く、その分をストックオプションで埋め合わせることになる。このストックオプションがいくらの価値を持つか、というのは諸説あるところだけれど、この記事では、ストックオプションの価値の目安として、前回資金調達時の20%としている。この記事で言及されているような点や、自分の現在の給与など*8を根拠に、期待している金額では無いことを伝え、何度か電話した後、結局希望通りとは行かなかったものの、少しだけストックオプションを増やしてもらうことにした*9。
関連記事
転職を考え始めた時期に、同様にアメリカ国内で転職されている二人の記事をたまたま拝見して、勇気づけられた。
- サンフランシスコで転職活動をしました - Jeffsuke is not a pen.
- Achievement unlocked: アメリカ国内で H-1B のまま転職した(1/2) – Fumiaki Yoshimatsu – Medium
ビザについて
自分は一社目の会社でグリーンカードをスポンサーしてもらい、退職前にグリーンカードを取得していたのでビザ面の心配はなかったので幸運であった。 一方で、自分が入社した会社でもH1Bのトランスファーで入ってきてる人がいるので、意外と小さい会社(彼が入社時点ではまだ社員10人くらいだったはず)でもH1Bのスポンサーしてもらえるのだな、という印象。
その他利用したサイト
当初は似たサービスの hired も併用しようと思っており、登録まではしていたのだけど、A-List経由での連絡に返事するだけで手一杯になってしまい結局利用しなかった。
転職活動で自分の興味のある分野がある程度明らかになったため、AngellistやTechcrunch経由で興味のありそうな会社を見つけ、いくつか直接連絡してみた。これは正直あまりうまく行かなかった(そもそも返事が来なかった)。原因として推察されるのは、ある時点でTechcrunchなどでいい感じに紹介されていた会社でも、常にactiveに採用しているわけではないといういことだろう。
*1:余談だけど企業側のフィルタリングがどの程度されてるのかは疑問が残る…A-List側に応募企業をフィルタするメリットはあまりないような気がするので
*2:このステップはoptionalであった。もしこれに通過すると、その後受ける企業での一次面接をスキップできる、共通一次面接的な位置づけと書いてあったけど、真偽の程は謎。僕が入社した会社はこのシステムの存在すら知らなかった
*3:これまで関わったサービスは無償のC向けサービスで、ガツンとユーザ獲得してその後マネタイズを考えるタイプの製品ばかりだったので、セールスチームがソフトウェアを売り込むようなビジネス形態に興味があった
*4:ポール・グラハムもStartup = Growth といってたし
*5:まあfounderのアカウントを使った人事担当者かもしれないけど
*6:自分が生活する上では必要以上の金額をもらっていたのだけど、エンジニアにとって働きやすい社会の実現のためには個々人が自分の市場価値に見合うだけの給与を要求することが重要だ、という考えになったため
*7:参考: THE $350K GOOGLE SALARY IS HURTING STARTUPS
*8:書いてから思ったけど、自分の給与ではなく自分と同様のレジュメを持つ人の市場的な給与を根拠にすべきだった
*9:とはいえ交渉後の額もたいしたことはない(?)気がするので、結果的に丸め込まれている可能性はある