遅咲き女優・桜井ユキが語る、20代最後につかんだ映画主演への自信と誇り

写真:WakuBaマガジン

新鋭・二宮健監督による商業デビュー映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』(10月21日公開)で、29才にして映画初主演を飾ったのが、女優の桜井ユキ。2011年に女優活動を本格化させた“遅咲き”ながらも、園子温監督、三池崇史監督ら鬼才から愛される“裏ミューズ”としても知られている。そんな業界最注目の女優が初主演映画で見せたのは、ヌード&バイオレンス&ラブありのリミットオーバー熱演だった。本作への熱い思いとともに、女優業への自信と矜持について語ってもらった。

桜井ユキ プロフィール
1987年2月10日、福岡県生まれ。2011年より芸能活動をスタート。主な出演作に映画『リアル鬼ごっこ』(15年)、映画『極悪大戦争』(15年)、フジテレビ系「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(16年)、テレビ東京系「下北沢ダイハード」(17年)がある。

脚本の段階で強く惹きこまれた

――映画初主演おめでとうございます! 映画主演を初めて務めたその心境を教えてください。

桜井:ありがとうございます。この作品をやらせていただいて、自分の演じる役が作品の中でこんなに密度が濃いものとなる経験ができるなんて、という気持ちです。でも“主演”ということに対してのプレッシャーは実はありません。それは演じたアキに関して後悔がなくて、撮影が終わったときに自分の力を全部注いだと思ったからです。私としてはアキを生き抜いたという思いしかなかったので、こうやって取材を受けてから初めて“自分は主演を務めたんだ!”という実感が後付けでやってきたような感じです。

――時間軸がシャッフルしたり、作品の構成はかなり複雑です。脚本を読んだ際の印象は? しかも初ヌード挑戦もあります。

桜井:脚本を読み終わった瞬間に「やる!」って思いました。脚本の段階で強く引き込まれ、ハードなシーンやベッドシーンもそこだけが特化して見えず、物語の中の流れの一つとしてとらえることができました。この作品世界に入れるならば、そんなことはまったく気にならないと思える、それだけ魅力的な脚本であり、役柄でもありました。自分の心にあったのは、この作品をやり切った後に自分はどうなっているのだろうか? という未来に対する好奇心ばかりでした。

――ナイトクラブでの乱痴気騒ぎあり、マジック串刺しシーンあり、ベッドシーンあり、ガンアクションありと…それはそれは大活躍でしたね!

桜井:撮影中は毎日色々なシーンが目まぐるしくあって、人間って本当に大変だと、「大変だ」と思う暇がないということを発見しました。体はキツイけれど、大変だと感じる余裕がない。その感じが、ギリギリのところで必死で生きているアキの心境と近いのかなと思って、助かった部分でもあります。撮影期間を振り返ると、リミッターすれすれの精神状態の中でボロボロになりながらも覚醒しているような感覚がありました。撮影後1週間くらいは魂が抜けたようになり、夢の中で撮影を繰り返している状態でした(笑)。

『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』 Ⓒ2017 KingRecords

ベッドシーンで吐きそうになった

――ぶっちゃけ、ヌードシーンやラブシーンへの抵抗はありませんでしたか?

桜井:日本の場合は“脱ぐ”という行為に対して過剰反応されることが多くて、自分がいくらマイナスに思っていなくても、マイナスに捉えられてしまうことも理解しています。でも私としては、そういったネガティブな反応があったとしても、もちろん100%不安じゃないと言ったらウソになるけれど、惚れ込んで挑んだ仕事である以上は、自信と誇りを持っています。

――大ブレイク中の高橋一生さんとの一糸まとわぬベッドシーンは美しく、最高でした。

桜井:そのシーンに入る直前に、ド緊張したのを覚えています。それまでは平然としていられたのに、いざ本番となった途端に心臓がバクバクして吐きそうになりました。あまりにも緊張が酷かったので、高橋さんに「やばいかもしれません」と言ってしまったくらい。そうしたら高橋さんは「だよね、でも大丈夫」と。それで緊張が吹き飛んだような気がしました。10月に屋上で撮影したのですごく寒かったというのも印象深いです。

『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』 Ⓒ2017 KingRecords

役者として生きていきたい

――病院での幻想的かつバイオレントな銃撃シーンも見事で。まるで『ニキータ』のようでした。

桜井:ガン・アクションシーンがここまで本格的なものになるとは想像以上で、ただただ必死でやりました。当日、優しく厳しいアクション監督からご指導いただき、「やるぞ!」というよりも、指示に対して「はい!はい!」という状態でしたが…。もともと体を動かすのは嫌いではなかったので、それは良かった点です。ちなみに学生時代の体育の通信簿は5段階中3。可もなく不可もなくという感じでしょうか(笑)。

――銃撃戦のベストショットは、拘束着を羽織った桜井さんの黒下着ヒップがきちんと見られる場面ですね!

桜井:最初の案としては、見えてもいい短パンを履く予定でした。でも黒のスリットに黒の下着という姿がアキのシンボルでもあるので、短パンが見えると、アキのそれまでの姿やスタイルからして、映画を観ている方が冷めてしまうと思ったんです。私自身も観客として観ているときに、細部に違和感があると映画の世界から現実に引き戻されてしまうような経験があるので、それは避けたいと思いました。

『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』 Ⓒ2017 KingRecords

――この仕事を通して桜井さんに訪れた変化はありますか?

桜井:役者で生きていきたいという思いを再確認しました。ここまでの役に出会えるとは思っていなかった中で、この作品と出会い、これから先の人生にワクワクを与えてくれました。やはりどこに何があるのかわからないし、自分だけの狭い価値観でジャッジするのはやめようと思いました。役者という仕事が色々な感情や人との出会いを教えてくれたし、好きだからこそできるんだという実感も得ました。映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』は20代最後の私にとっての記念碑的作品。これから女優としてどんなに忙しくなろうとも、一つ一つの仕事を大切にし、新鮮な気持ちで挑んでいこうと改めて心に誓いました。

画像:WakuBaマガジン

写真・取材・文:石井隼人
ヘアメイク:辻有見子/スタイリスト:萩原真太郎

映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』
原案・脚本・監督:二宮健
出演:桜井ユキ/古畑新之、佐々木一平、新川將人/成田凌、山谷初男、満島真之介/高橋一生
配給:アーク・フィルムズ
2017年10月21日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次公開

関連:映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』

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