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"骨という美", is tagged with「デミアイ」「腐向け」and others.

アニメ視聴から凄い勢いで沼墜ちしました。オバロのデミウルゴス×アインズ二次創作で...

Aqvarium

骨という美

Aqvarium

10/24/2017 06:48
アニメ視聴から凄い勢いで沼墜ちしました。
オバロのデミウルゴス×アインズ二次創作です。
注:若干グロい表現を含んでいます。
(タグを入れるほどでは無いと思いますが)

噛み合って無い二人が好きです(笑)。
デミウルゴスsideの話も書いているので、書き上げられたUPしたいです。

表紙素材は此方からお借りしていますillust/51034251
「ふぅ」
青く蕩ける液体に身を浸し、アインズ・ウール・ゴウンは嘆息を吐く。
アンデット化した身にとって、数少ない娯楽。癒しの時間だ。
 身体を清潔に洗い上げた後は、たっぷりと沸かされた湯に身を沈める。普段はスライムで汚れを落とすだけだが、今日はゆっくり風呂を楽しみたい気分だ。
 最近、色々精神的に来るものがあった為だろう。
 凡人が賢者を演じねばならないこの状況。
 どうしてこうなった・・・とは言うべきじゃない。全部、自分の所為なのだから。
 なんだか、人間だった頃より風呂が好きになった気がする。風呂と言っても人間時代に入っていたのはスチームバスで、浸かるという経験は数える程度しかなかったのだが。
 骨の手で湯をすくう。手が目の高さに届く前に、正確には水面から浮き出た時点で、湯は手の中に残ってはいなかった。名残として水滴が、ぽたぽたと落ち小さな輪を水面に造るのみ。肉の無い骨の手なのだから仕方ない。それでも、何度か遊ぶように繰り返す。水面が揺らめく。今日の湯は乳白色を僅かに帯びた黒だ。
 なにやら銀色のラメが含まれていて、こうして水面が揺らめくとキラキラと踊り、綺麗だったりする。『温泉の原』というやつだろう。もっとオシャレな名称なのかもしれないが、そういう類の品だ。
  特に、アインズが指示している訳ではないが、自分で勝手に浴室に足を向ける時以外は、こういった細やかな用意がされている。
 薔薇が浮かべられていた時は、流石にちょっと戸惑ったし引いちゃったが、メイドに声をかけた瞬間キラキラした目で彼女は言った。
 『お気に召しましたか』と。
 返答は……言うまでもない。あれは否定してはいけないキラキラだった。アインズと薔薇風呂。……彼女らの感性はいまいち理解しがたものがある。しかし、『髑髏と薔薇』と考えればあながち間違ってもいないかもしれない。
 あれはそんなゴシックなビジュアルじゃなかったが、字面だけならセーフだろう。誰に見られるわけでも無し。


 湯から上り、寛げるよう整えられた隣室でだらりと過ごす。
アインズの私室には及ばないが、王侯貴族すら息を飲むような造りは相変わらずだ。
 ただ、さほど広くない。風呂上りに寛ぐという目的で作られた部屋に、すぎる広さは無粋だと製作者が判断した為だ。バロックな趣が少し気にはなるが、割と落ち着いた装飾をアインズは気に入っていた。

 微かに湯気が立つ身体には、ローブを一枚羽織ったきりだ。
黒い布地は絹。襟、袖、裾に、黒真珠の光沢を持つ糸で複雑細緻な刺繍がなされ価値は高い。それでも所有する衣服の中では、比較的ラフな品だ。
 宝飾など華美な装飾は無く、色も黒一色。 立派ではあるが、基本、他人の目にさらされることの無い衣類。いわゆる、寝間着か下着にといったニュアンスか。
 部屋にはアインズ一人きり。
 他の者は、隣の間に控えさせている。
 ナザリックの絶対的支配者アインズ・ウール・ゴウンの演技練習の時と同じだ。今回は完全に私的な理由での人払いだが、時にはこうした我儘も許して欲しい。
 風呂上りに一人、下着(パンツじゃなくてローブだが)でだらだら過ごす。
これは、癒しだ。間違いなく男にとっての癒しの時間である。

「あー生き返る」

 凝り固まった身体を伸ばす。骨だから実際はどうか知らないが精神的にはガッチガチだ。身体を倒しソファーとの仲を深める。思い切り手足を伸ばしてもまだ余裕のあるサイズにこの寝心地、最高だ。
 このまま微睡の真似事でもと思っていた丁度その時、ドアがノックされた。

「アインズ様、ご休息のところ申し訳ございません。デミウルゴス様がいらっしゃいましたが、どういたしましょうか」

今日のメイド当番が外から声をかける。
ドアが開かれないのは、人払いをした故だろう。

「帰ったのか。それにしても珍しいな」

 思わず独り言が口をついた。
 帰還に際してデミウルゴスが、アインズに挨拶に訪れるのは何時もの事だ。しかし、執務室以外を尋ねるのは珍しい。
 何か、急用か。それならメッセージを送って来そうなものだが。
 着替えるべきか。アインズは少し迷う。だが、このまま会うのも悪くない。普段とは違うラフな服装は、お前には心を許しているというアピールになる。更に主人もちゃんと休息をとっているから、お前も心起きなく休んで良いいんだよ、と言外に伝えるチャンスでもある。
 少し前なら、威厳低下や忠誠の揺らぎに繋がらないかと思案したところだが、今はその心配はしていない。
 むしろ、前者の方が重要だ。特にデミウルゴスには、本当に仕事を振り過ぎている。コキュートスの様に実直な生真面目さとは異なるが、デミウルゴスもまた、真面目な忠臣である。ナザリックの出来過ぎるほどに良く出来た長男といったところか。
 アインズの為とあれば、自分の休息は二の次、三の次…ならばまだ良い。完全に選択肢から除外されている可能性が高いのだ。
 特に、外で働いている為、目が配れていないのも心配だ。せめて『私は忙しく無いぞ』・『休む余裕あるぞ』とアピールをし、その上で『お前もちゃんと休息は取るんだ』と諭すのが上に立つ者の務めであろう。
 
「入室を許す。デミウルゴスを通せ」
「畏まりました」

足音が遠き、異なる足音が近づく。

「失礼いたします」
「入れ」

 扉が開かれデミウルゴスがその姿を見せた。
 相変わらず隙の無い、整った姿と所作である。
 あるのだが・・・一瞬、動きが止まった気がしたが、気のせいか。

「これは御寛ぎのご様子、失礼しました。改めて」
「よいよい、気にするな」

(なるほど。予想以上にプライベートな私の姿に怯んだのか。忠臣のデミウルゴスらしい。邪魔しちゃったと思ったんだな)


「それでは失礼ながら。帰還のご挨拶と、幾つか纏めた資料をお持ちしました」
「ああ、私が命じた物だな」
「はい」

 それは、アインズでは分類整理すら膨大な時間が掛かるだろう情報のまとめだった。量の問題よりは頭脳スペックの問題で・・・。
 しかし、そのまま精査もせず放置するのはさすがに拙いとデミウルゴスにまとめを頼んでみた。デミウルゴスを通すことによって、分かり安くなるかより難解になるか。これはアインズの今後に大いに影響する案件である。しかし、非常に個人的な問題でもあった。
 だから作成自体は急がず、けれど出来たら直ぐに確認したいから持って来てくれと振った仕事だ。

「ふむ、お前とこうして会うのは何やら久しぶりだな。それもこれも私がお前に仕事を多く任せている所為なのだが」

「有難き幸せ」

「デミウルゴスよ。多忙の身のお前には悪いが、その資料をお前の口から説明しはくれないか。直ぐに分かれるのは寂しいものだ。・・・それにお前の声は耳に心地良い」

魔王ロールを抜いて、直訳すると『ついでに説明もしていって下さい。忙しい所すみませんが、お願いしますデミウルゴス先生』である。最後に、取って付けたようなお世辞が必死さを醸し出している。

「喜んで」

 気のせいだろうか。
 今日のデミウルゴスは、時折動作に違和感を感じる。

「デミウルゴス…先ほどから少し落ち着かぬ様子だが、何かあるのか」

 聞いて置いた方が良いだろう。
 この悪魔はなにか異常があっても、主の手を煩わせるのを厭い自分で解決しようとする奥ゆかしさを持っている。

「御身を前にしてのご無礼許しください」
 
 気付かれた事が意外だったのか。
 尾が少し揺れる。

「余りの麗しさに…自失しておりました」

(はぁ?)

「御身の美しさは下々の目に触れるには過ぎるかと。アルベドは言うに及びませんが、血迷う者が後を絶たないでしょう」
「いや、そう言われてもなぁ。お前の方がよっぽども男前だろうデミウルゴスよ」
「何を仰られます。御体は至上の白磁。真珠すら濁り、白雪すら汚れて映るほど。白皙の美貌とは御身の為にこそある言葉。ご尊顔の端正な事は当たり前ながら、御身の骨格は、この世の造形物の到達点であるかと。」

いやいや、真珠は濁らないし、雪は白いぞ。白皙の美貌・・・。白皙だけは辛うじて当てはまらなくも無いが美貌は違う。それにしても、皆マジで俺が美しいと思っているのか。こればっかりは、全く理解も共感も出来そうに無い。
 だって、骨である。それに比べて。
 アインズはデミウルゴスをしげしげと観察した。
 平素は閉じられた切れ長い双眸が、感嘆に薄く開かれ覗く瞳の輝かしいこと。落とした照明すら貪欲に飲み込み、数倍もの輝きを発散させる宝玉。
 端正な顔にしなやかな身体。優美な所作を習得し、男としての魅力に溢れた叡智の悪魔。
 こんなのに褒めそやかされ喜べるほど、アインズの精神はお目出度く作られてはいない。
 正直に言おう。
 全然心に響かない。

「御身を前に血肉のなんと空しいことでしょう。そのお姿こそがこの世の真。美と言うもの真理と心得ます」

 死体愛好者のシャルティアも大概だが、デミウルゴスの骨への執心も大概だ。
 前者が『性癖』なのに対して、後者は『材料』の好みというマシな理由だが、造られた品を献上されたアインズとしは微妙に救われない。それにしても。

「骨であっても、お前の方がイケメンだろうよ」
「イケメン・・・?」
「男前、お前が言うところの造形美に優れていると言う意味か」

 この場合男としての造形ってことだが。
 嫉妬するのも烏滸がましい。それでもやっぱり男としては嫉ましい。

「ご冗談を。・・・いえ、そういう事ですか」
「ん?」
「それを御身が御望みならば、私に否はありません」

 なんか、深読みスキルが発動した。
 もはやデミウルゴスの常時発動型特殊技術(パッシブルスキル)とかした【深読み】。これが発動してアインズが苦労しなかったことは無い。

「アインズ様がご覧になりたいと仰るなら、幾らでもどの部位でもご覧にいれましょう」

 ちょっと待って、デミウルゴスさん。
 ご覧にいれますって、骨だよね。
 お前、血肉があるよね。
 削ぐの・・・何それグロ。
 忠臣が目の前でセルフ解体ショーを、おっ始めようとしている。

 うわぁー、無いわぁ。
 流石に引く。久々のドン引きだ。
 しかし、目の前の忠臣は本気なのだ。良い上司が、部下の高い忠誠からなす行動を否定して良い物か。しかも「何それ引くー」という軽い感想を口にして。答えは、否である。
 拒否ることは当然にしても、何かいい感じの台詞はないものか。出来れば、魔王っぽい感じの。
 思案の中、無意識に口元に引き寄せた手、中指骨の感触。
 その時、アインズの無い脳に天啓が舞い降りた。

「デミウルゴス。傍に」

 チョイチョイと、手を差し出し中指を揺らす。
 僅かに一歩、デミウルゴスがこちらへ踏み出す。
 だがまだ遠い。

「もっとだ。もっと近くに」

 少し戸惑いを纏いつつも、デミウルゴスは素直に従う。
 手の届く距離よりも近い位置まで来たところで、アインズは次なる命を口にした。

「そう、そこで良い。跪け」

 我ながら唐突だと思うが、命じられたデミウルゴスは何故か、嬉しげに膝を折った。ソファーに座るアインズよりも低い位置で艶やかな黒髪が揺れる。その顔を仰向かせるべく、アインズは中指の先でデミウルゴスの顎をすくい上げた。
 この時点で既に、後悔を覚えるが大事な仲間の子にセルフ解体をさせるよりは良いだろうとアインズは更に言葉を次いだ。

「口を開けよ」

 自分だったら絶対開けない。行き成り何を言ってんだコイツって思う。だが、デミウルゴスは違う。素直だ。もうちょっと、疑いを持った方がいいんじゃないかと思うくらい言われるがまま口を開く。
 覚悟を決めアインズは顎から離した指を、開かれた口の中に突っ込んだ。
 リングは全て外してある。風呂上がりなのが功を奏した。
 右手の人差し指、中指、薬指の計3本。歯を撫で垂直に下に滑らせる。指骨全てがデミウルゴスの口の中にずっぽりと飲み込まれた。口内は顎の方に以外と奥行きがある。
 さすがに驚いたのか、デミウルゴスは目を見開いた。 
 しかし一瞬震えただけで、身動いで逃れることも、口を閉じることもしない。ある意味、ここで逃げてくれた方が楽だったのだが。

「ほら、デミウルゴス。もっと、あーんしろ」

 もとより優雅な悪魔は口の開き方も上品だった。だが確りとかっ広げて貰わねば困るのだ。

「骨を照覧させてくれるのだろう」

 アインズは形の良い前歯の内を指の腹で撫でた。さらに即する意味も込め指先で軽く突く。コツリと以外に良い音が鳴った。
 デミウルゴスの口角が縦から横へと大きく開かれる。
(獣が牙を剥く様に近いか。)
 骨を、つまりは「歯を見せろ」との言葉を理解したのだろう。
 承諾したってことでもあるな。
 輪郭が歪むほど、打ち震え下顎を開く叡智の悪魔をしげしげと観察する。
 命じられた以上は、許し無く閉じることなど考えられないのだろう。
 口角から唾液が滴り、頬を汚しシャープな顎先までのラインを伝い落ちる。 
 一言で表すなら『無様』というのが一番相応しい。
 これが自分ならである。
 イケメンは何やっても『イケメン化』。
 なんだ、あれか『ただし、イケメンに限る』ってやつかクソッ。
 
「ァ…イン・・・さ・・ぁ」

(まぁ口に指を突っ込まれてちゃ喋れないよな)

 額には汗が滲み、眉間は苦悩に深い皺を刻む。それでも、必死で自分の名前を呼んでいるらしい姿には愛しさが湧く。しかし、どうにも嗜虐心をそそる表情だ。 
 ふむ。普段、褒め殺されている自分の気持ちを味あわせるのも一興か。もしかしたらアインズの気持ちを理解して、今後はあんまり過剰な褒め言葉を口にしなくなるかもしれない。

「お前は私を美しいと言うが…。己には疎いと見える」

歯の裏に当てた指を奥歯に滑らせる。

「お前は私を至上の白磁と言うが。お前も劣らず美しい」

そこから順々に端正に並ぶ歯に指を這わせた。

「真珠すら濁り、白雪すら汚れて映る…だったか。」

あら方、撫で終わると今度は存在感の強い八重歯に指を立てる。

「この造形。完璧とはこういう事を言うのだろうな。ふふふ、この牙、実に素晴らしい。悪魔として存在するお前を彩るに相応しい畏れを感じさせる。私の指すら切断できそうな鋭さだ」

「・・んぅ・・・・を・・・・い」

(うん。何を言ってるのか全然分からん。)

 しかし、ちょっとやり過ぎたな。
 自分の身を容易く傷つけようとした事に、少なからず怒りを抱いたのかもしれない。この位で終わりにしよう。
 指を抜くついでに、指先を歯の表面に滑らせた。
 打楽器かピアノの奏者が奏でるように。実際、デミウルゴスの歯も綺麗な音で鳴った。

「デミウルゴス、実に美しい骨であったぞ」

 最後は褒めて置こう。
 歯も広義の意味では骨だ。
 本当はやり過ぎたと、謝りたかったがそれでは折角の魔王ロールが台無しになりかねないので、断念した。

「堪能した」

 そう言って指を口から引き抜く。
 間接まで唾液に染みていたが、不思議と嫌悪感は湧かなかった。

「中々に有意義な時間を過ごせた。礼を言うぞデミウルゴス。報告の続きは執務室で聞く。お互い姿を整えて落ち合うとしよう。一時間、いや二時間後に私の私室で良いか。もし戻る用事があるなら、後日でも良いのだぞ」

「過分のご配慮ありがとうございます。何を置いても私が優先すべきはアインズ様以外にございませんが。もとより何日かナザリックで過ごすつもりで帰還しましたので、ご心配には及びません。二時間後、アインズ様の私室に訪ねさせていただきます」

「うむ。では後ほど語らうとしよう。楽しみにしているぞ」

「有難き幸せ。では一旦御前を失礼させていただきます」

 一礼の後、デミウルゴスは退室した。
 相変わらず優雅な姿だが、若干乱れていた。

「ちょっと、意地悪が過ぎたかなぁ」

後でフォローしよう。
そう心に決め、アインズはソファーから身を起こす。
死の支配者オーバーロードにして、至高と讃えられるアインズ・ウール・ゴウン。
そんな偉大なる御身と、部下の心中は今日も見事にすれ違うのであった。






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