第871号 Jun 10,1999
■CGアートの世界で活躍する
1979年千葉県生まれ。理工学部情報学科2年。趣味は作曲など。
▲今年開設されたホームページ。吉永さんの作品が実際に見られる。
【URL】http://www.e-mile.com/x/loveseed
コンピュータグラフィックス(以下CG)を駆使して自分の世界を描き上げる、吉永龍樹さん(理工2年)。今年度の『マイルストーン』の表紙をはじめ数々の作品を生み出している。
幼い頃から好奇心旺盛だった吉永さんがCGアートに興味を持ち始めたのは小学校三年生の時。「自分で作ってみたい」という想いが募り、高校一年生で念願のパソコンを購入。知識は主に本から吸収していると言う。「解説本は高いので、何時間も立ち読みをして、家に帰って実行する。また立ち読みをしに行く、という繰り返しですね」
そうした積み重ねの結果、多種多様な仕事の依頼が来るようになった。「いろいろな雑誌の表紙CGを手掛けたり、東京マルチメディア専門学校の非常勤講師をしたりしています。お陰様でどんどん仕事が来るんですけど、給料はほとんど機材を買う方にまわしてしまいます。お風呂もない部屋に住んでいるんですけれど、パソコンだけは超一流です(笑)」
この若さで専門学校の講師を務めるのは並み大抵のことではない。しかし、なぜ講師の仕事の依頼が来たのか? 「基本的に運が良かったんだと思います。自分でも怖くなってしまう位(笑)。この仕事も知り合いの早稲田のOBの方に紹介して頂きました。OBの力は偉大だなと思いますね」。吉永さんの運が良いだけではない。それまでの努力の積み重ねが完成度の高い作品を生み出す力となり、その結果先輩方にも認められたのだろう。
依頼されて作った作品は数知れず。脱帽するのは同じ作品がないということ。アイデアはどこから湧いて出てくるのであろうか? 「日常生活で見聞きすること全てがヒントになっています。普段からモノの見方が他の人とは違うんじゃないかな、と思いますね。ただのひねくれ者なのかも知れませんが(笑)」。小さい頃、「コンセントの二つの口の大きさが違うことを発見して喜んだ」という話も。
また、吉永さんには一つのこだわりがあると言う。「デジタルは言わば包み紙だと思うんですよ。その包み紙は昔はカンバスだったりしたんですけど、中身は今も昔も変わらず『こころ』だと思います。作品を作るときは常に『こころ』を意識していますね」
将来の夢は? の問いに「世界中をアッと言わせたい」という野望めいた力強い言葉が返ってきた。これからも幅広い活躍を期待したい。