会社の旋盤で仕事してて長い穴繰りやセンターを押さずに外径切削をすると末広がりに仕上がっちまう。150ミリぐらい削って0.03ミリ近くずれてたのでH7(公差のことで径にもよるが0~0.02ぐらい)で仕上げると手前は-0.01で奥は+0.02って状態だった。
長年使っていくとベッドが磨り減ってしまいこういう状態になる。以前こうしたテーパー状態を直す方法を教えてもらっていたが、メーカーのサービスマンがすぐに来てくれることになったのでそのサービスマンの作業を見学することになった。
会社の旋盤はワシノLE19-K。ウチにあるのはこれの前の型LE19-J。基本的には同じなのでやり方さえきちんと覚えてしまえばウチのも調整できるじゃん。
機械を搬入、移動した場合、たいていは重量屋さんが水準器を使ってレベル出し(水平出し)をしてくれる。水平出し出来てればOKじゃんって思ってたがそれだけではダメらしく ひねり ねじれ もみなければいくら水準器で水平だとしても今回のようなテーパー状態になってしまう。
まず旋盤の刃物台をベッド中央に持って行き水平を出す。
水平出しは機械の足についてるボルトを締め込む方向で調整する。

機械によっていろいろあるがワシノの場合は全部で8箇所ある。チャック側4箇所芯押し台側に4箇所。この時機械中央よりの4箇所を強めに締めてベッド中央が若干持ち上がるようにする。水準器をのせたままチャック側から芯押し台にむかって動かし水準器の気泡がチャック側では芯押し台側に芯押し台側ではチャック側に来るようにする。これは切削時の負荷で刃物台が押さえられるのでこうしたほうがいいらしい。あくまで若干なのでせいぜい0.03ぐらいの話だが。

水準器でのレベル出しができたら太めの材料を100~150ミリ程度削ってみる。これでテーパーにならなければ問題無いのだが、もしテーパーになるようだったら今度はベッドをひねる作業をする。

外径を正にした場合、Cが太くAが細くなったら旋盤正面の中央よりの足ボルトを締めこんで持ち上げる。逆にAが太くCが細くなったら旋盤裏側の中央よりの足ボルトを締めこんで持ち上げる。この時締めこんだ足ボルトの対角の足ボルトも締めこむ。そしたらまた削ってみて様子を見る。この一連の作業を繰り返してA,B,Cをマイクロメーターで計って差がなくなるまで調整する。足ボルトの締め込みだが45度以上締めこんでしまうと水平自体が激しく狂ってくるので45度以上締めこまないほうがいいようだ。それでもまだテーパーが付いてしまう場合は主軸をずらして修正する。こうなったらメーカーサービス任せになるけどね。それとレベル、ひねりの作業をしたら機械の足ボルト下の敷板が遊んでいるやつがいないか見るのも忘れずに。新品の旋盤でも工場で許容範囲内で製造して出荷されるが設置してレベル出しても誤差が生じるのでこの作業は行うそうだ。
テーパー状態を修正して許容がどのくらいかってのはやる仕事によって変わってくるし機械自体のヘタリ具合でも変わってくる。精度の要求される仕事をするなら削った径の3倍くらい(Φ50なら150ミリ)は+-0にする必要があるが、そうでなくても0.01ぐらいまでには収めたいところ。ただ実際に材料を削って測定する作業になるので材質が違うと変わってくる可能性はあるようだ。
会社のLE19-Kは1980年製で使用頻度で見ると年数の割には少ないほう。これは150ミリ削って+-0になった。んでウチのLE19-Jは1960年代後半から製造の始まった機種で年式が分からない。年数がかなり経ってるのでさすがに+-0にはいかず0.005程度Cが太めの状態でいっぱいかな。年数の割りにこんだけ出てれば上等かとも思う。

ちなみにベッドの経たりは山型のレールの角を触ってみると分かる。山型のレールのてっぺんは擦れ合わないので新品からさほど減らず斜面部だけが減っていく。角の引っかかりが多いのはかなりヘタってるとみていいだろう。・・ウチのは減ってるけどね。
メーカーサービスマンがいるうちにもう一つ訊いてみた。

芯押し台にドリルチャックをつけ細いセンタードリルを材料に軽く当てると真ん中に行かず島が出来てしまう、ようは芯押し台が下がってしまっている状態は直すことができるかとたずねたら、芯押し台本体の下側ベッドとの当たり面が減ってしまうものらしくこれは直しようがないとのこと。芯押し台とベッドの当たり面もベタあたりではなく真ん中へんは逃がしてある。ベタ当たりだと重くて動かんらしい。四隅でベッドとあたってるので前のほうは減りやすくなるらしい。シム入れて高さの調整をしてるところもあるみたいだが一度クランプしたらシムも厚みが変わるから意味ないらしい。
新品で汎用旋盤を買うと500万~600万ぐらいする。
ワシノにオーバーホールに出すと200万前後で納期は約一ヶ月。製造されてから25~30年も経ったらオーバーホールしたほうがいいんだろうね。んでも自分一人専用で使うならボロを買ってオーバーホールするよりも新品買って大事に使ったら一生使えるんだろうなぁ、なんて思いながらウチの旋盤のテーパー修正をしてました。写真はウチのLE19-Jです。