【ソウル米村耕一】韓国大統領府によると、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は4日昼、元慰安婦8人や支援団体の関係者と懇談し、2015年の慰安婦問題に関する日韓両政府合意に関し「みなさんの意見を聞かず、意図に反する合意をしたことを大統領として謝罪する」と述べた。また、合意を「真実と正義の原則に反し、内容と手続きの全てが間違っていた」と強い調子で批判した。一方、一部の元慰安婦らが求める破棄や再交渉は、容易でないとの認識も示した。
合意の取り扱いについて、韓国政府は康京和(カン・ギョンファ)外相直属の作業部会が昨年12月に公表した合意に批判的な検証結果を受け、今月初旬にも決定する。
文氏はこの日、午前中にソウル市内の病院に入院中の元慰安婦を見舞い、昼食会に臨んだ。合意に関しては「慰安婦問題が解決されたとは受け入れられない」と改めて主張した。
一方、「両国間の公式な合意でもある」とも述べて重要性を指摘。病院を訪問した際にも「両国関係の中で(問題を)解いていくことは簡単ではない」と述べ、再交渉などは現実的には困難との認識も示した。
昼食会に出席した元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さん(89)は日本の「公式謝罪と法的賠償」を求めた。
康外相は4日に放送された韓国CBSラジオとのインタビューで、合意の破棄や再交渉について方針は決まっていないと強調した。
日本政府が抗議
日本政府は4日、文氏の発言に対し、ソウルの日本大使館を通じて韓国外務省に「合意を変更するなら日韓関係は管理できなくなる。断じて受け入れられない」と抗議した。